漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 随意散漫 」 一覧

【一会】『Pumpkin Scissors 21』…… 今、押込めていた「正義」を語ろう

Pumpkin Scissors(21) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

 そろそろ刊行が1年前になろうか(2017年8月刊行)という事実に戦きますが、それでも『Pumpkin Scissorsパンプキン・シザーズ)』第21巻について、色々と書こうと思います。
 長らく続いた“帝国”と“共和国”の戦争。停戦から3年を経ても、その傷痕は種々の「戦災」として残存し、その最大級のものが“抗・帝国軍(アンチ・アレス)”による同時多発テロという形をとって“帝国”を襲いました。折しも“帝国”は、周辺諸国の要人が集う「西方諸国連盟(ネビュロ)合同会議」の会期中。8輌もの高々機動戦術装甲車「蠍の類型(グラフィアス)」、狡猾な情報戦といったアンチ・アレスの攻勢に、武勇で、知略で、新技術で、覚悟で、帝国陸軍の将兵はそれぞれに応戦します。“お祭り部隊”と揶揄されながらも「戦災」復興を旨として頑張ってきた陸軍情報部第3課「パンプキン・シザーズ」の面々も他に劣らぬ活躍を見せ、ようやくこの大規模テロも事態収拾に向かってきた、かに見える。21巻は、そんな時点から始まります。

 前述の通り、徐々にではあるものの事態は収拾へと向かい、帝国陸軍は残党を掃討しつつ、秩序回復に向けて動きます。アンチ・アレスの刺青に込められた「情報毒」が、厭らしく効力を顕しますが、アリス達の上司でもある“八つ裂きハンクス”の悪名により、人々は落ち着きを取り戻すことに。この漫画には、こういう“毒を以て毒を制す”な図式が様々な形で登場しますが、そんな役どころを何の逡巡もなく遂行するハンクスは、流石といったところでしょうか。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『ダンジョン飯 6』……諍いと死闘、そして更なる深層へ

 古き良きファンタジーRPG的な世界観のもと、地下迷宮で魔物を食べるという要素を中心に据えた冒険物語として始まり、次第にダンジョンという概念自体を再検討する意識が顕わとなってきた九井諒子氏の『ダンジョン飯』。少し間が空きましたが4月に刊行された6巻について書きたいと思いま……

thumbnail

【一会】『ダンジョン飯 5』……「めでたし」からの急転直下

 まるで往年のコンピューターRPG『ウィザードリィ』あるいは『ダンジョン・マスター』のような迷宮探索と、そういう世界観での食にまつわる記載がミックスされた、九井諒子氏による妙に所帯じみた“剣と魔法”系ファンタジー『ダンジョン飯』。現在6巻まで刊行されていますが、まだ述べて……

thumbnail

【一会】『進撃の巨人 25』……その信念の意味と価値

 巨人化する能力を有するエルディア人の一種族“ユミルの民”、彼らの力を軍事利用してきた軍事国家マーレ、その両方がそれぞれの思惑から殲滅を願うパラディ島の“壁”の中に逃れたエルディア人たち。当初の“人類VS巨人”という構図から大きくかけ離れた世界の実態が明らかとなりつつある……

thumbnail

【一会】『進撃の巨人 24』……あの時、君が思っていたのは

 巨人化する力を持つ“ユミルの民”を擁するエルディア人と、その力を軍事的に利用してきたマーレ、彼らが勢力を維持するために壊滅を狙うパラディ島壁内のエルディア人。そんな構図を成す“物語を規定していた「壁」の外側”から、これまでの戦いが再記述されている『進撃の巨人』。昨年12……

thumbnail

【一会】『進撃の巨人 23』……遠く離れた壁の内側で

 巨人から逃れ壁の中で生き延びた人類が、その存亡をかけて、壁外から襲い来る巨人と戦う。そんな当初の前提から、大きく変容した世界の構図が明るみに出た『進撃の巨人』。  既に今月25巻が刊行されていますが、プレイバック的な意味合いも含めて、過日の22巻に続き23巻から読んで……

thumbnail

【一会】『少女ファイト 14』……順調な勝ち上がり、不穏な場外戦

 最強レベルの実力と弱いメンタルを兼ね備えた女子高生バレーボール選手・大石練(おおいし・ねり)と、彼女の所属する黒曜谷高校女子バレー部が、ヒール的役どころを甘んじて引き受けて活躍する様を描く『少女ファイト』。ほぼ13巻時の予告どおり、昨年7月に14巻が刊行されています……

thumbnail

【一会】『アルテ 8』……帰郷。そしてこれからの選択肢

 ルネサンス後期のイタリア、貴族のお嬢様ながら画家を目指す少女・アルテの修業の日々を描いている『アルテ』。引き続き、1月刊行の8巻について書きたいと思います。  前巻ラストで、名門ファリエル家の有力者ユーリからのパトロンの申し出を断り、故郷フィレンツェへと帰ることを……

thumbnail

【一会】『アルテ 7』……一つの仕事の終わりに

 ルネサンス後期のイタリアを舞台に、貴族出身の少女アルテの画家修業を描く『アルテ』。現在8巻まで刊行されていますが、まずは昨夏刊行の7巻について書きたいと思います。  名家ファリエル家の若き実力者ユーリに請われ、一家の肖像画を制作し、同時に当主の娘カタリーナの家庭教……

thumbnail

【一会】『双亡亭壊すべし 7』……2つの再会と、2つの遭遇

 地上の悪意と遙か彼方からの悪意。双方が絡み合って建立されたかのような奇妙な館〈双亡亭〉をめぐり、総理が、能力者たちが、異星からの帰還者が、父を亡くした子どもが、そして絵描きが死力を尽くす宇宙的怪奇熱情活劇『双亡亭壊すべし』。つい先日刊行の7巻に追いつきました。概要と思っ……

広告

広告