15歳でプロ棋士となり、対局に高校生活に悩んだり悔やんだりしつつ成長する桐山零(きりやま・れい)を主人公に置き、棋士たちの群像劇と、東京・月島界隈を思わせる“川の見える町”三月町に暮らす、あかり・ひなた・モモの川本家3姉妹の日々を描く『3月のライオン』。現状の最新巻であ……
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【一会】『乙嫁語り 10』……それぞれ人生の使い方
年上のお嫁さんアミルと、まだ少年と云った方が近い風情の夫カルルク。2人と家族たちの生活から始まり、19世紀の中央アジア諸方の結婚と夫婦を描く『乙嫁語り』。先日11巻が刊行されましたが、先に2月刊行の10巻について書きたいと思います。
前巻のあとがき漫画での予告通り、アミルの兄であるアゼルたちの北方での暮らしぶりが今巻前半のエピソードです。意外なのは、彼らの中にカルルクの姿があること。
町でアミルや家族たちと暮らしている彼が、なぜ冬を前にアゼルたちと狩りをしているのか。どうもそれは、自ら望んでのことのようです。
そのままでも大丈夫
回想場面によればカルルクは「弓を習いたい」と願い出たようですが、実際のところは弓だけでなく、色々な面で男として強くなりたい、ということの模様。
ともあれ、やがて来る冬に備えて人手は多いに越したことはないといういうことで。過去には色々とありましたが、今はカルルクはアゼルたちの越冬地に置いてもらい、協力して狩りに出る毎日のようです。弓の扱いは未熟ながら、カルルクの意欲は充実しています。
アゼルにとってカルルクは妹の夫。なので「婿殿」と呼ぶのは筋が通ってはいるのですが、研修生のような今のカルルクの立場からすると、照れくさいというか過分な気がするというのも分かります。確かに呼び捨てにしてもらった方が落ち着くでしょう。
そんなやり取りをしている2人を見ていると、末っ子として育ったカルルクにとって、冷静で思慮深いアゼルは、なかなか良い兄貴分かもしれません。アゼルの従兄弟ジョルクの気楽な感じも、やはり従兄弟のバイマトの超然とした感じも、またタイプの違った兄貴たちのようで悪くなさそうです。
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