東京都豊島区にある“おばけ屋敷”、双亡亭が引き起こす奇怪な凶事と、そこに巻き込まれ、これを破壊せんとする人間たちのドラマ『双亡亭壊すべし』の3巻が、1月に刊行されました。ついに双亡亭内に侵入した駆け出し絵描きの青年・凧葉務(たこは・つとむ)と魔を払う〈刀巫覡(かたなふげ……
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【一会】『アルテ 6』……まずは自分の場所で
ルネサンス末期の16世紀。その古典文化復興の中心地となったイタリアの、男社会な絵画界に、ひとり飛び込んだ貴族の娘アルテを描く絵画修行漫画『アルテ』。1月に6巻が刊行となりました。読んで思ったことを書きたいと思います。
師匠レオのアトリエに住み込んで研鑽を積んでいたアルテですが、現在は名門貴族ファリエル家のユーリに請われる形でフィレンツェを離れ、ヴェネツィアにいます。
ユーリに依頼された仕事は、一家の肖像画を描きつつ、家庭教師としてユーリの姪っ子であるカタリーナに礼儀作法を教えるというもの。出会った当初のカタリーナは、礼儀作法は完璧に身についているにも関わらず、家族の前ではだらしなく振る舞い、アルテには授業をさせず居眠りまでします。
彼女の秘密の趣味を知ることを通じ、その本心を知ったアルテでしたが、同時にその不作法は、平民との“違い”ばかり追求する貴族という立場を嫌悪するが故であることを告げられ、立ち尽くすのでした。
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【一会】『七つの大罪 24』……情を知った弱さ、それを捨てた強さ
騎士団〈七つの大罪〉を筆頭とする人間側と、〈十戒〉の率いる魔神族との戦いを描く鈴木央的アーサー王物語『七つの大罪』。昨年12月に24巻が発刊されました。3か月遅れとなりましたが、色々と書いてみたいと思います。 ちなみに今巻の限定版付録である「いろはかるた」は、今年の……
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【一会】『乙嫁語り 9』……同じ方を見ている2人
昨年暮れに出た、中央アジア諸方お嫁ストーリー『乙嫁語り』の第9巻。だいぶ遅くなりましたが、つれづれ感想などを書きたいと思います。 前巻に続きまして物語は、手先も態度も不器用系なパリヤのエピソードです。 アミルの実家ハルガルの襲撃により家がほぼ全壊し、以来アミ……
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【一会】『月影ベイベ 8』……母への想いと告白の舞
> 富山県富山市八尾に伝わる、越中おわら節に乗せて人々が舞う祭「おわら 風の盆」。その「おわら」をモチーフに、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)らの関係を描く『月影べイベ』。8巻が出たのも昨年の話に……
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【一会】『進撃の巨人 21』……命の選択、“壁の外”の来歴
やはり前巻の予告通りの発刊時期となった『進撃の巨人』21巻。遅くなりましたが、読んで思ったことなど書いていきたいと思います。 決着が近づくウォールマリア奪還戦。前巻において、どうにか敵主力の多くを打倒した人類側ですが、支払った代償もまた大きなものでした。大多数の……
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【一会】『少女終末旅行 4』……おしまいを歌うものたち
静かに終末を待つ未来世界。黒髪黒瞳・しっかり者のちーちゃん(チト)と金髪碧眼マイペースなユー(ユーリ)が、履帯式牽引車両ケッテンクラートに揺られつつ、呑気なのか深刻なのか分からない旅を続ける、つくみず氏『少女終末旅行』。昨年11月に4巻が刊行されましたが、ようやく概要と……
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【一会】『プリンセスメゾン 3』……ロマンティック重要事項説明
居酒屋「じんちゃん」で働く、年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)の“運命の物件”探しをメインストーリーに、女性たちの“住まいと孤独”を描く池辺葵氏『プリンセスメゾン』。昨年の話になってしまいましたが、10月末に3巻が刊行されました。遅きに失するのもいいところ……
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【一会】『双亡亭壊すべし 2』……〈双亡亭〉突入。そこで待つのは絶望か
東京都内に建つ謎の建築物〈双亡亭〉をめぐり、絵本作家志望の青年、〈双亡亭〉に立ち入ってしまった少年、その姉で退魔の力を有する〈刀巫覡(かたなふげき)〉の少女、そして、時の彼方から還ってきた少年、といった人物たちによって紡がれる“おばけ屋敷”ホラー漫画『双亡亭壊すべし』。……
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【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 幻獣の森の遭難者 4(完)』……失敗やあやまちは、イコール破滅じゃない
作中・現実世界ともに12年の時を経て、かつての最終決戦に連なった新編「幻獣の森の遭難者」が発表されたアジアン伝奇バトルロマン『3×3EYES(サザンアイズ)』。その最終巻となる4巻が、先月発刊されました。 三つ目の聖なる存在、三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)のパイ……