裏表紙に配された「悪役を演じきれますか?」という警句も小気味よく、図らずも高校女子バレー界のヒール的役どころを引き受ける黒曜谷高校バレー部を中心に描かれるハイセンス&メンタルな女子高生バレー漫画『少女ファイト』。12巻の時の予想通りぴったり1年で、この5月末に最新刊……
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【一会】『少女ファイト 14』……順調な勝ち上がり、不穏な場外戦
最強レベルの実力と弱いメンタルを兼ね備えた女子高生バレーボール選手・大石練(おおいし・ねり)と、彼女の所属する黒曜谷高校女子バレー部が、ヒール的役どころを甘んじて引き受けて活躍する様を描く『少女ファイト』。ほぼ13巻時の予告どおり、昨年7月に14巻が刊行されています。大幅に遅れましたが、語りたいと思います。
今巻の表紙は、通常版は春高優勝世代の黒曜谷チームの一角で、今は延友厚子(のぶとも・あつこ)の継母になっている知花さん。特装版は今巻前半で練たちと試合をしている小岩素(こいわ・もと)です。ちなみに特装版の付録は、カラーイラストの線画24点を収録した「ぬりえブック」(入手できませんでした…)。ついでに、巻ごとに異なる各話サブタイトルのネーミングは、今回は種々の広告の名キャッチコピーから…といった感じでしょうか。
本編に入りましょう。目下、高校バレーの一大イベントである“春高バレー”こと全日本バレーボール高等学校選手権大会に出場中の黒曜谷高校。前巻で山吹矢を下して1回戦を勝ち抜き、自分たちの鏡像のような人物たちで構成される福岡の墨日野高校と試合中です。
黒曜谷が若干リードしてはいますが、名前も何だか練に似ている墨日野のレフト・小岩素がチームプレーに覚醒し、黒曜谷を脅かします。墨日野のお互い遠慮のないコミュニケーションは黒曜谷から見たら異質なものですが、そういうのがハマるチームもあるということですね。
そんな墨日野の中心である素ですが、彼女が置かれた境遇もまた練と鏡映しのよう。思わず共感した練は、彼女を敵として戦うことを一瞬だけ戸惑いますが、さすがにもう、そこで立ち止まる彼女でもありません。例え負けたとしてもそれが相手の利益になるわけではありませんし、ここはただ、全力でぶつかるのが礼儀というものでしょう。真剣なプレーは観ている者の真剣さも呼び起こすということを、試合が決した瞬間の素の表情が物語っているように思いました。
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【一会】『銀の匙 Silver Spoon 13』……部活引退。そして彼が動き出す
進学校の私立中学から受験に失敗し逃げるように農業高校に進学した八軒勇吾(はちけん・ゆうご)とエゾノー生たちの農業&畜産青春グラフィティ『銀の匙 Silver Spoon』。遅くなりましたが新刊の13巻を読了しましたので書かせて頂きます。 前巻後半から作中の時間の……
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第175夜 水面に映る明朗快活…『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』
「ここで泳ぐ意味ないことないよ/レベルとか/そんなこと言っちゃダメだよ/ここではみーーんな/楽しいから泳いでるんだよ」 『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』はっとりみつる 作、講談社『週刊少年マガジン』掲載(2005年7月~2008年4月) “ウミショー”こと県立……
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第171夜 思い出になる日々を、呑気さで奏でよう…『けいおん!』
「梓 さっき何で私が外バン組まないのか聞いたよね/やっぱり私はこのメンバーとバンドするのが楽しいんだと思う/お茶飲んだり/だらだらすることもあるけど/それも必要な時間なんだよ」「……本当に?」「多分…」 『けいおん!』かきふらい 作、芳文社『まんがタイムきらら』……
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第168夜 髷と笑いの軌跡…『県立伊手高柔道部物語 いでじゅう!』
「ご、ごめんね。なんか変な奴ばっかりで…/けど、よかったら見学くらいしていってよ!」「(いい!)」「林田達のかけ合いは、桃ちゃんのお笑い心に火をつけた!」 『県立伊手高柔道部物語 いでじゅう!』モリタイシ 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(2002年7月~2005……
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第151夜 「楽しさ」を原動力に、痛くっても、進め…『ハックス!』
「「もうね/この人/頭おかしいんじゃないかってくらい」/「楽しいことだけ考えたらいいんですよ」「大変ですけど/それでアニメはうんと楽しくなります」」「やりましょう/こうしてう…/お/いる場合ではないですよ私たち!」 『ハックス!』今井哲也 作、講談社『月刊アフタヌー……