漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 家族 」 一覧

【一会】『乙嫁語り 10』……それぞれ人生の使い方

乙嫁語り 10巻 (ビームコミックス(ハルタ))

 年上のお嫁さんアミルと、まだ少年と云った方が近い風情の夫カルルク。2人と家族たちの生活から始まり、19世紀の中央アジア諸方の結婚と夫婦を描く『乙嫁語り』。先日11巻が刊行されましたが、先に2月刊行の10巻について書きたいと思います。

 前巻のあとがき漫画での予告通り、アミルの兄であるアゼルたちの北方での暮らしぶりが今巻前半のエピソードです。意外なのは、彼らの中にカルルクの姿があること。
 町でアミルや家族たちと暮らしている彼が、なぜ冬を前にアゼルたちと狩りをしているのか。どうもそれは、自ら望んでのことのようです。

そのままでも大丈夫

 回想場面によればカルルクは「弓を習いたい」と願い出たようですが、実際のところは弓だけでなく、色々な面で男として強くなりたい、ということの模様。
 ともあれ、やがて来る冬に備えて人手は多いに越したことはないといういうことで。過去には色々とありましたが、今はカルルクはアゼルたちの越冬地に置いてもらい、協力して狩りに出る毎日のようです。弓の扱いは未熟ながら、カルルクの意欲は充実しています。
 アゼルにとってカルルクは妹の夫。なので「婿殿」と呼ぶのは筋が通ってはいるのですが、研修生のような今のカルルクの立場からすると、照れくさいというか過分な気がするというのも分かります。確かに呼び捨てにしてもらった方が落ち着くでしょう。
 そんなやり取りをしている2人を見ていると、末っ子として育ったカルルクにとって、冷静で思慮深いアゼルは、なかなか良い兄貴分かもしれません。アゼルの従兄弟ジョルクの気楽な感じも、やはり従兄弟のバイマトの超然とした感じも、またタイプの違った兄貴たちのようで悪くなさそうです。

(さらに…)

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【一会】『Spotted Flower 3』……“汚れた大人”になった夜

 作者の有名作『げんしけん』(100夜100漫第3夜)で見覚えがあるような、二次元ヲタクな夫と一般人で夫ラブな妻。2人を中心とした“日常&妊娠→出産ストーリー”のような体で綴られてきたこの漫画『Spotted Flower』。  予想よりも全然はやく3巻が出たのも、もう……

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【一会】『いぬやしき 10(完)』……老いたる元・霊長類の生命への賛歌

 ふとした切っ掛けで(といっても、いま思えばそれも何か1つの運命だったのかもしれませんが)、人知を超えたアンドロイドとなった老人と青年。それからの、相反するかのような2人の生き様を提示してきた奥浩哉氏『いぬやしき』の、最終巻となった10巻を読みました。  今巻の刊行は昨……

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【一会】『双亡亭壊すべし 6』……命を振り絞るということ

 呪わしいおばけ屋敷に対抗する人間たちの知恵と能力を結集した、亡者VS生者の物語と思いきや、屋敷に干渉する宇宙の彼方からの意思が明らかとなり、にわかにSFチックホラーアクションの色を帯びてきた『双亡亭壊すべし』。先日に引き続いて、昨年10月刊行の6巻について書きたいと思い……

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【一会】『いぬやしき 9』……束の間の平穏、そして迫る大災厄

 普通の人間だった初老男性と男子高校生が、異星人が起こしたアクシデントによって高性能のアンドロイド化。それぞれ極に振れた2人を対比し、人智を超えた能力を誇る機械となった男子高校生・獅子神皓(ししがみ・ひろ)の暴走を食い止めようとする初老男性・犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろ……

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【一会】『月影ベイベ 9(完)』……一切は、楽の音と共に流れていきます

 毎年9月初頭に行われる富山市八尾の風習「おわら風の盆」までの季節を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)を始めとした「おわら」に親しむ高校生たちと、それを見守る光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)を始めとした大人たちの群像も描いた……

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【一会】『いぬやしき 8』……意識不在の決戦

 普通の人間だった初老男性と男子高校生が、異星人が起こしたアクシデントによって高性能のアンドロイド化。一方は人を救い、一方は人を殺すという両極に振れた彼らの対比と対決を描く『いぬやしき』の8巻が、1月に刊行されました。色々あって4か月も経ってしまいましたが、その概要と感想……

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【一会】『アルテ 6』……まずは自分の場所で

 ルネサンス末期の16世紀。その古典文化復興の中心地となったイタリアの、男社会な絵画界に、ひとり飛び込んだ貴族の娘アルテを描く絵画修行漫画『アルテ』。1月に6巻が刊行となりました。読んで思ったことを書きたいと思います。  師匠レオのアトリエに住み込んで研鑽を積んでい……

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【一会】『月影ベイベ 8』……母への想いと告白の舞

>  富山県富山市八尾に伝わる、越中おわら節に乗せて人々が舞う祭「おわら 風の盆」。その「おわら」をモチーフに、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)らの関係を描く『月影べイベ』。8巻が出たのも昨年の話に……

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【一会】『Spotted Flower 2』……“攻略法”と、(ある意味)危険な後輩が夫に迫る

 二次元ヲタクな夫と、“一般人”で妊娠中の妻。名前こそ明らかにされていませんが、どこかで見たような(具体的には作者の代表作『げんしけん』[100夜100漫第3夜]の斑目さんと春日部さん方面)夫婦の、割と赤裸々な欲求と不満な日々を軽妙に描いた『Spotted Flower』……

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