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【一会】『七つの大罪 39』……ラストバトルを君らと

      2020/03/11

七つの大罪(39) (講談社コミックス)

 ラストスパートに入り怒濤の展開が続く、それぞれの“罪”を背負った七人が中心となって織り成される英雄譚『七つの大罪』。引き続き、39巻の内容を追って行きたいと思います。

 物語の開幕は、前巻から引き続き、〈七つの大罪〉団長である〈憤怒の罪(ドラゴン・シン)〉メリオダスと、その弟ゼルドリスの身体を乗っ取った魔神王との戦いの舞台であるソールズベリーの湖から。
 前巻ラストで駆けつけてきた仲間たちに、巻き込みたくないメリオダスは「帰れ」と云います。けれど、バンたちが異口同音に云うとおり、やっぱりここは力を合わせなくてはならないでしょう。何しろ相手は最高神と渡り合う魔神王です。

再び心の戦場へ

 結局メリオダスも承知して、戦いは〈七つの大罪〉VS魔神王という構図に。しかし、ソールズベリーの魔法の湖から供給される魔力で、魔神王の元来の魔力である「支配者(ザ・ルーラー)」が使用可能になりつつあります。これは、自身への攻撃・弱体化を全て治癒・強化に反転させるという反則のような魔力です。
 とはいえ、魔力のオン/オフは魔神王の目視による判断によるもののようで、フェイントなどはそれなりに通用する様子。その辺りを逆手に取りつつ、やはりメリオダスが魔神王に身体を乗っ取られた時と同じように、外界で渡り合いながら、内的世界にも入り込んで、本来の身体の持ち主であるゼルドリスの意識を回復させるしかないようです。

 精神世界へとダイブするメリオダスと〈色欲の罪(ゴート・シン)〉ゴウセルが抜けるため、現実世界での戦いが苦しくなりますが、そこに七人目の男、〈傲慢の罪(ライオン・シン)〉エスカノールが満を持して参戦。得意のポエムを口ずさみつつ、命をかけて…というよりも、ほとんど捨て身の覚悟で、エスカノールは魔神王との殴り合いに身を投じます。
 エスカノールが時間を稼いでいる間に、ゴウセルの助力を得て、メリオダスはゼルドリスの精神内へと侵入に成功したようです。

ゲルダ、その愛

 潜り込んだゼルドリスの精神世界は、昔メリオダスが弟を連れて行ったことのある龍の狩り場という形を取っていました。
 ゴウセルの忠告によれば、精神世界はゼルドリスと魔神王のもので、メリオダスたちが直接的に干渉することはできないといいます。ここで眠り続けるゼルドリスに対して、思考で訴えかけることで、どうにか覚醒させるしか手はないということですね。
 メリオダス達の行く手に待ち受けていたのは、前巻でゼルドリスの意識を眠りにつかせた恋人ゲルダの偽者。魔神王の化身とでも云えそうな存在でしょう。
 実のところ、ゼルドリスはとっくに偽者だと見抜いていたようですが、それだけでは彼は解放されません。彼が自分の肉体の主導権を握るには、精神世界で魔神王を斃さねばならないのです。
 偽ゲルダの策により、ゴウセルは一足先に現実世界へと帰還してしまい、状況は悪化…と思いきや、ここで本物のゲルダが精神世界へと介入してきました。現実世界での様子を見るに、吸血鬼族である彼女の再生能力はすさまじいものがあります。加えて云うと、ゲルダはかなり気が強い女性のようで、ゼルドリスは若干押され気味。けれど、そんな関係が2人にとって自然なのでしょう。
 精神世界では、魔神王によってゼルドリスの偽者が大量発生していましたが、その中からゲルダは一発でゼルドリスを見つけます。やはり、愛ゆえに、でしょうか。
 ゲルダに呼応したメリオダスが偽ゼルドリスらを一掃し、ひと足先に現実世界へ。あとは、ゼルドリスが魔神王にいかに抗うかです。

最後の任務

 一方の現実世界では、〈強欲の罪(フォックス・シン)〉バン、〈怠惰の罪(グリズリー・シン)〉キング、エスカノールたち前衛組が魔神王と渡り合っていました。魔力の供給源がある魔神王に対して、旗色は良くありません。
 そこにメリオダスが帰還し、戦いは仕切り直し。ここで〈嫉妬の罪(サーペント・シン)〉ディアンヌが切り札を切ります。巨人族の長となった彼女の「大地創造(マザー・クリエイション)」により、魔神王へと無数の石塊で攻撃するとともに周囲の地形は激変、湖から魔神王への魔力供給を遮断することに成功したのでした。
 魔神王討伐の“任務”に意気の上がる〈七つの大罪〉ですが、中でもキングからの告白もあって、ディアンヌの士気は大いに高揚しているようです。
 さらにもう1人、戦意に満ちあふれる男がいました。時はまさに正午。といえば、エスカノールです。
 「天上天下唯我独尊(ザ・ワン)」状態となったエスカノールは、他の団員に手出しをさせず、魔神王とタイマンを張ってほぼ互角。凄まじい乱打戦が続く中、正午の1分間を過ぎても、エスカノールの独尊状態は終わりません。

横柄な口ぶりで、感謝を

 エスカノールが「傲慢」の罪を受け、〈七つの大罪〉最後のメンバーとなった経緯を描いた外伝短編「王は孤独に歌う」を挟んで、解けない独尊状態の秘密は明かされます。「天上天下唯我独尊(ザ・ワン)」の「極み(アルティメット)」。それは、既に暗示されていたように、己の生命力を魔力に変換して独尊状態を維持するというものでした。
 残りの命を全て燃やす覚悟で拳を振るうエスカノールを、メリオダスは押しとどめようとします。が、エスカノールは傲慢な言葉で、それでも感謝を述べます。
 かつて、自らの魔力「太陽」を制御する術を知らなかった自分に体当たりでそれを教え、さらには〈七つの大罪〉という居場所を与えてくれたことが、どれほど嬉しかったか。それに報いるために、エスカノールは魔神王との戦いで命を使い果たそうとしているのでした。
 しかし、そう云われて、そのまま見ているだけの者は、〈七つの大罪〉には居ませんでした。友が命をかけるのなら、自らもまた、そうしよう。強大なものに挑む時、彼らを奮い立たせるのは、いつだってそんな気持ちだったのかもしれません。

 改めて一丸となった〈七つの大罪〉。最終決戦はまだ、これからが本番です。
 …というところで、今巻の物語は閉幕。2月17日に刊行された40巻へと、読み継いで参ります。

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