基本はファンタジー&メルヘンだけど、随所に滲む日本の観光地のお土産屋さん的な(良く云えばアットホーム、悪く云えば所帯じみた)雰囲気が特徴的なRPG的冒険譚の続編『魔法陣グルグル2』。1月末に7巻が出ました。初代から数えて3度目のアニメ化も決まったとのことで盛り上がる中、……
「 不思議 」 一覧
【一会】『コトノバドライブ 4(完)』……その5分間は、きっと誰にでも
海の見える土地で、店長と2人で営む小さなスパゲティ屋「ランプ」で働くすーちゃん。ふとした瞬間に彼女が垣間見る、ちょっと不思議で怖くもあり、それでいて有り難さも漂う不思議な時空間と不思議な出会いを描いた『コトノバドライブ』が、3月刊行の4巻で完結となりました。
作中は夏の盛りから冬を経て早春にかけてのエピソードですが、初夏の宵に読んでもなかなか乙なもの。心に残ったことを書いていこうと思います。
上に書いた通り、今巻の季節としては夏の後半くらいからまだ寒さが残る頃くらいまで。描かれるエピソードたちは、死者を思わせる者との話、土地神や動物神っぽいものとの話、もっと曖昧な“かみさま”を思わせる話、自分の過去と自らが交錯する話、個々の意識に“見えているもの”についての話など、分類の仕方で色々な云い方ができると思います。
例によって印象に残ったものを挙げていきます――と思ったのですが、今巻はほとんど全話が印象に残るものでした。最終巻ですし、ここは全話について思ったことを語ろうと思います。
広告
-
【一会】『双亡亭壊すべし 3』……人は、辛い過去の奴隷ではない
東京都豊島区にある“おばけ屋敷”、双亡亭が引き起こす奇怪な凶事と、そこに巻き込まれ、これを破壊せんとする人間たちのドラマ『双亡亭壊すべし』の3巻が、1月に刊行されました。ついに双亡亭内に侵入した駆け出し絵描きの青年・凧葉務(たこは・つとむ)と魔を払う〈刀巫覡(かたなふげ……
-
【一会】『双亡亭壊すべし 2』……〈双亡亭〉突入。そこで待つのは絶望か
東京都内に建つ謎の建築物〈双亡亭〉をめぐり、絵本作家志望の青年、〈双亡亭〉に立ち入ってしまった少年、その姉で退魔の力を有する〈刀巫覡(かたなふげき)〉の少女、そして、時の彼方から還ってきた少年、といった人物たちによって紡がれる“おばけ屋敷”ホラー漫画『双亡亭壊すべし』。……
-
【一会】『双亡亭壊すべし 1』……何を憎み、何ゆえ破壊を願うのか
『うしおととら』(100夜100漫第64夜)『からくりサーカス』(第27夜)『月光条例』(一画一会第26巻以降)など、藤田和日郎先生の作品には多く言及してきましたが、先月、新たな連載作品『双亡亭壊すべし』の1巻が刊行されました。ひと月ばかり遅くなりましたが、読んで思った……
-
【一会】『コトノバドライブ 3』……不思議に遇って、ふと物思い
こぢんまりとしたスパゲティ屋「ランプ」の店員・すーちゃんの日常に、1話あたり1つだけ、5分間の不思議な時空を添えて描かれる、少し不思議系日常漫画『コトノバドライブ』。3巻が出てだいぶ経ってしまいましたが、読みましたので書き留めたいと思います。 今巻では、昨秋から……
-
【一会】『魔法陣グルグル2 5』……勇者さらわれる。乙女パーティ結成
シロップと粉砂糖たっぷりのパンケーキにハーブティー、そこに何故か具がたっぷり入った豚汁というセットメニューをダンスフロアでいただくような、RPG風メルヘンチックアドベンチャー漫画『魔法陣グルグル2』。先日新刊の5巻が発売となりました。 幻のグルグルと云われる「か……
-
【一会】『コトノバドライブ 2』……緩やかに拡がる彼女の世界
ヒゲの店長(けっこう剃っちゃってますが)と2人でスパゲティ屋を切り盛りしつつ日々を暮らす、すーちゃんの日常に、1話あたり1つ、ほんの5分間の不思議を織り交ぜて綴られる小エピソード集『コトノバドライブ』の2巻が先月刊行されました。今巻はカラーページが無いのがちょっと残念で……
-
【一会】『魔法陣グルグル2 4』……「ウソ」と「ホント」で禍根の予感
今回も、前巻からきっちり8か月で4巻の刊行となりました『魔法陣グルグル2』。前巻でサビーナ山の「ともだちのダンジョン」を無事にクリアした勇者(?)ニケとグルグル使いククリたちの一行。しかし、ククリと同じミグミグ族である魔王によって、膨大な魔力を誇る魔神「月」は奪われ、夜……
-
【一会】『蟲師 外譚集』……近く遠く、たゆたう話が五つ
2度目のアニメ化もおおむね好評だった『蟲師』。漆原友紀先生による、虫のような植物のような原初的な生命のかたちをもった蟲と、人の営みを描いた漫画です。 この漫画に関連した作品集が先ごろ(4月下旬)出版されました。その名も『蟲師 外譚集』。漆原先生ではなく、『蟲師』の世……