履帯式牽引車両ケッテンクラートに乗った2人の少女、チトとユーリ。終わりゆく世界の多層構造都市を上へ上へと向かう彼女たちの旅を描いてきた、つくみず氏の『少女終末旅行』の、完結巻となった6巻を読みました。 正直なところ、結末を知るのが怖くて、なかなかページをめくれなかっ……
「 哲学 」 一覧
【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 鬼籍の闇の契約者 3』……若き死者たちの“しゃべり場”
先だって2巻について言及した『3×3EYES 鬼籍の闇の契約者』。12年ほど前(『3×3EYES』本編[100夜100漫第100夜]を参照)はオカルトアクションど真ん中という感じでしたが、今エピソードではその中にも「平和とは何か」というテーマが織り込まれ、一味違った味わいです。7月刊行の最新刊3巻に追い付いたので、さっそく中身の話に入りましょう。
思念体での前哨戦
前巻ラスト、さらわれた三只眼を救うため、エディアカラに居る喜一、スキウロスらの前に思念体として現れた八雲と依子。ウロボロスによって呼び寄せられ、闇の能力の使い手となった若者たちが立ちはだかり、激突します。
ここで改めて明示されたのは、喜一らは既に死んでおり、ウロボロスの力によって闇の者としてこの場に居るということ。生身の人間からはかけ離れた、彼らの超高熱や電磁波や鋼鉄化といった彼らの能力は、闇の者となったが故のものです。八雲が彼らが作ろうとしているものを「死人の国」と呼ぶのはそのためでしょう。
八雲と彼らの戦いは、やはり闇の者となったギークっぽいアメリカ人・アレックスによって制止させられます。他の者は多かれ少なかれ八雲と敵対的なのに対し、なぜか関西弁で話す彼は八雲の意見に賛成する、と云います。その意見とは、「自分の平和」を望むのと「みなの平和」を望むのは違うのではないか、少し云い換ると、争いはなくなることなどないのではないか、というものです。だいぶドライな意見にも感じられますが、長らく戦いの場に身を置いて、全人類の闇を知った(本編の頃の話です)彼は実感したのだと思います。
この議題について、じっくり話し合いたいと云うアレックスですが、大統領の指示によってアメリカのイージス艦が接近しつつあり、ついでにロシアの原潜も向かってきている状況では、その時間はありません。忘れていましたが、ここエディエカラが建っているのは、未知の策源地サンハーラの直上です。力のある国はどこも「自分の平和」のため、ここを我が物としたいというのが本音なのでしょう。各国にとっては、喜一らは目的を占拠する「敵」に他なりません。
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