漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 人生 」 一覧

【一会】『いぬやしき 10(完)』……老いたる元・霊長類の生命への賛歌

いぬやしき(10) (イブニングKC)

 ふとした切っ掛けで(といっても、いま思えばそれも何か1つの運命だったのかもしれませんが)、人知を超えたアンドロイドとなった老人と青年。それからの、相反するかのような2人の生き様を提示してきた奥浩哉氏『いぬやしき』の、最終巻となった10巻を読みました。
 今巻の刊行は昨年9月。原作完結後にはアニメ化もありましたし、映画化もされました。その流れも一段落し、遅れに遅れた感じではありますが、読んだ感想など書きたいと思います。

 誤解を怖れず云えば、実のところ今巻には、語るべきことはそれほど無いように思えます。犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)は、迫り来る巨大隕石を辛くも粉砕し、世界を救いました。煎じ詰めてしまえば、その一言に尽きてしまいそうです。
 もちろん、そこには幾つかのドラマがあります。壱郎と対を成す存在である獅子神皓(ししがみ・ひろ)も、そのドラマと無縁ではありません。しかし、そうしたプロセスの委細を語るのは、終了後1年を経た今をもっても無粋に感じられます。ですので、ここでは読みながら思ったことを2つだけ、語るに留めたいと思います。

(さらに…)

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【一会】『少女終末旅行 6(完)』……Fly Girls to The Moon

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【一会】『銀の匙 Silver Spoon 14』……想い、叶う。それはそうと急展開

 札幌で勉強漬けだった中学生活から、逃げるように十勝の大蝦夷農業高校に進学した八軒勇吾(はちけん・ゆうご)。彼の価値観の転換と“本当にやりたいこと”の探索を中心に、淡い恋と部活動、そしてひたすら農地と家畜と労働の群像劇を描いてきた『銀の匙 Silver Spoon』の……

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【一会】『進撃の巨人 24』……あの時、君が思っていたのは

 巨人化する力を持つ“ユミルの民”を擁するエルディア人と、その力を軍事的に利用してきたマーレ、彼らが勢力を維持するために壊滅を狙うパラディ島壁内のエルディア人。そんな構図を成す“物語を規定していた「壁」の外側”から、これまでの戦いが再記述されている『進撃の巨人』。昨年12……

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【一会】『アルテ 8』……帰郷。そしてこれからの選択肢

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【一会】『白暮のクロニクル 11(完)』……白い夕べの中で

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【一会】『ベルセルク 39』……桜舞う里の憩い、彼女の深層への旅

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【一会】『プリンセスメゾン 4』……真摯さに、祝福あれ

 26歳、年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)のマンション購入を主軸に、色々な人物の住まいと暮らしと孤独を描いた『プリンセスメゾン』。昨秋はNHKでドラマ化などもされた本作の4巻が6月に刊行されました。例によっていささか遅いのですが、内容と感想を書いていきたい……

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【一会】『いぬやしき 9』……束の間の平穏、そして迫る大災厄

 普通の人間だった初老男性と男子高校生が、異星人が起こしたアクシデントによって高性能のアンドロイド化。それぞれ極に振れた2人を対比し、人智を超えた能力を誇る機械となった男子高校生・獅子神皓(ししがみ・ひろ)の暴走を食い止めようとする初老男性・犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろ……

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【一会】『月影ベイベ 9(完)』……一切は、楽の音と共に流れていきます

 毎年9月初頭に行われる富山市八尾の風習「おわら風の盆」までの季節を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)を始めとした「おわら」に親しむ高校生たちと、それを見守る光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)を始めとした大人たちの群像も描いた……

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