100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

*

「 人生 」 一覧

【一会】『プリンセスメゾン 6』(完)……そして今日も暮らしが始まる

プリンセスメゾン(6) (ビッグコミックス)

 居酒屋勤務で年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)のマンション購入の顛末を描きながら、彼女と関係が有ったり無かったりする人々(主に女性たち)の、暮らしと住まいと孤独を描いた漫画『プリンセスメゾン』。

 最終巻となる2019年の1月刊行の6巻を読みました。その感想などを世界最遅と思われる今、語りたいと思います。

伊達家の人々

 今巻の冒頭から描かれているのは、持井動産のリーダー格で幸の物件探しも全面バックアップしてくれた、伊達さんの実家の様子です。昨年の年末年始は実家に戻らなかった(3巻参照)彼ですが、そのときの宣言通り、今年は帰ったようですね。

 物語の開始当初こそ、ずいぶんとドライに見えた伊達さんでしたが(1巻を読み直して驚きました)、実家の人々との関わり方はとてもウェット。振り返ってみれば、ボートに乗れないところなど、意外と感情が表に出る人物だったようにも思います。

 そんな彼の実家ですが、団地の一角にありました。普段は彼のお母さんが一人暮らしをしており、そこに子ども達が集まるのが伊達家のお正月のよう。伊達さんには上に2人のお姉さんがいるようですが、なかなか大変な人たちみたいです。
(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『プリンセスメゾン 5』……つづく日常の中で生きる

 26歳、年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)のマンション購入を主軸に、様ざまな人物の暮らしと、住まいと、そして孤独を描いた漫画『プリンセスメゾン』。5巻が出たのは、2018年の3月。もう2年以上前の話になってしまいました。  ながらく自分が記事を書……

thumbnail

【一会】『謎のあの店 3』(完)……「ふらり」や「ついに」を、いつまでも

 “前を通ったり電車から見かけたりしても入ったことはない、だけど気になる”お店に突入してみるエピソードをメインとしつつ、そこに作者の追憶や思いも込めて綴る、脱日常実録随想漫画『謎のあの店』。最終巻である3巻が出たのも丁度1年前になってしまいましたが、読んだので、あ……

thumbnail

【一会】『Spotted Flower 3』……“汚れた大人”になった夜

 作者の有名作『げんしけん』(100夜100漫第3夜)で見覚えがあるような、二次元ヲタクな夫と一般人で夫ラブな妻。2人を中心とした“日常&妊娠→出産ストーリー”のような体で綴られてきたこの漫画『Spotted Flower』。  予想よりも全然はやく3巻が出たのも、もう……

thumbnail

【一会】『いぬやしき 10(完)』……老いたる元・霊長類の生命への賛歌

 ふとした切っ掛けで(といっても、いま思えばそれも何か1つの運命だったのかもしれませんが)、人知を超えたアンドロイドとなった老人と青年。それからの、相反するかのような2人の生き様を提示してきた奥浩哉氏『いぬやしき』の、最終巻となった10巻を読みました。  今巻の刊行は昨……

thumbnail

【一会】『少女終末旅行 6(完)』……Fly Girls to The Moon

 履帯式牽引車両ケッテンクラートに乗った2人の少女、チトとユーリ。終わりゆく世界の多層構造都市を上へ上へと向かう彼女たちの旅を描いてきた、つくみず氏の『少女終末旅行』の、完結巻となった6巻を読みました。  正直なところ、結末を知るのが怖くて、なかなかページをめくれなかっ……

thumbnail

【一会】『銀の匙 Silver Spoon 14』……想い、叶う。それはそうと急展開

 札幌で勉強漬けだった中学生活から、逃げるように十勝の大蝦夷農業高校に進学した八軒勇吾(はちけん・ゆうご)。彼の価値観の転換と“本当にやりたいこと”の探索を中心に、淡い恋と部活動、そしてひたすら農地と家畜と労働の群像劇を描いてきた『銀の匙 Silver Spoon』の……

thumbnail

【一会】『進撃の巨人 24』……あの時、君が思っていたのは

 巨人化する力を持つ“ユミルの民”を擁するエルディア人と、その力を軍事的に利用してきたマーレ、彼らが勢力を維持するために壊滅を狙うパラディ島壁内のエルディア人。そんな構図を成す“物語を規定していた「壁」の外側”から、これまでの戦いが再記述されている『進撃の巨人』。昨年12……

thumbnail

【一会】『アルテ 8』……帰郷。そしてこれからの選択肢

 ルネサンス後期のイタリア、貴族のお嬢様ながら画家を目指す少女・アルテの修業の日々を描いている『アルテ』。引き続き、1月刊行の8巻について書きたいと思います。  前巻ラストで、名門ファリエル家の有力者ユーリからのパトロンの申し出を断り、故郷フィレンツェへと帰ることを……

thumbnail

【一会】『白暮のクロニクル 11(完)』……白い夕べの中で

 厚生労働省の夜間衛生管理課(通称「やえいかん」)の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、夜衛管が管轄する不死人“オキナガ”である雪村魁(ゆきむら・かい)。数奇な因縁のある2人が、諸々の事件を解決しつつ、12年ごとに女性を惨殺するシリアルキラー「羊殺し」を追う幻想社会派ミス……

広告

広告