「やっぱりアレですか。/居候するならドジでメガネでひとりっ子の男の子ですか?」「そりゃあもちろん。/キャラならみんなが憧れる環境じゃないですかね。」「僕、ひとりっ子とドジっていうのはなんとなくわかるんですけど、/メガネの理由がわかんないんですよね。」「さあ…おいらにも説明はできな……
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【一会】『蟲師 外譚集』……近く遠く、たゆたう話が五つ
2度目のアニメ化もおおむね好評だった『蟲師』。漆原友紀先生による、虫のような植物のような原初的な生命のかたちをもった蟲と、人の営みを描いた漫画です。
この漫画に関連した作品集が先ごろ(4月下旬)出版されました。その名も『蟲師 外譚集』。漆原先生ではなく、『蟲師』の世界観をベースに異なる5人の作者によるオリジナル読切作品を収録した単行本です。こういうのをトリビュートと云うのでしょうか。昨年の『蟲師 特別篇』(【一会】『蟲師 特別編 日蝕む翳』……再会と、満ち欠けへの祈り)もそうでしたが、緑が濃くなっていくこの時期の刊行というのが、何だか「らしい」なと思います。
時代や人物など、割とバラバラな5編ですが、唯一の共通点としては、本来の主人公であるギンコが(ほぼ)登場しない、ということでしょうか。ちょうどいい数ですので、以下、1編ずつ個別に述べていこうと思います(作者の敬称略にて失礼します)。
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【一会】『おるたな 宇河弘樹短編集Ⅱ』……三味線と、硝子の靴と、ピー○君
作者の代表作『朝霧の巫女』(100夜100漫第56夜)の外伝(というか自己パロディ?)が収録されている、というのが恐らく一番の話題であろう短編集『おるたな 宇河弘樹短編集Ⅱ』が発売されました。「~短編集Ⅱ」とされているのは、2000年に出た『妖の寄る家』が短編集……
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第166夜 ひと皿ひと皿に込められた、“本当の私”…『寿司ガール』
「寿司ごときに私の生き方が変えられるなんて/認めたくないけどね!!」 『寿司ガール』安田弘之 作、新潮社『月刊コミック@バンチ』掲載(2011年1月~2012年5月) 深夜の回転寿司で、ふと入った寿司屋で、行きつけの店のカウンターで。それぞれの人生を抱えつつも、……
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第153夜 全ては、街の中で過ぎていく…『今日も渋谷のはじっこで』
「わたしはちょっと東京に染まりすぎたのかな/戻れないんだよ/わたしはもう/きっと/地元の習慣は合わない/……/いいね/きみにはまだ/帰れるところがある/夏休みが終われば帰れるんでしょ/わたしには/終わりなんてないけど」 『今日も渋谷のはじっこで』平尾アウリ 作、祥伝……
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【一会】『夜とコンクリート』……自然と人工物を並べる美しさ
標題作。不眠気味の建築士の、少し疲れてやがて眠れる一夜。 「夏休みの町」。暇暇な大学生たちと、丘の上の戦闘機とお爺さん。からの、反転。 「青いサイダー」。つんけんした母親に色々言われながらも、空想に遊ぶ僕少女。と、屋上のおじさん。 「発泡酒」。その時の“本当……
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第147夜 ぐちゃぐちゃな、自意識と外界の間で…『空が灰色だから』
「物心も付いてない頃/家族で出かけた遠い町 太陽光を浴び黄金色に燃えていた麦畑に今度は私が連れていくから/火が鎮まるまでお話しよう/その後は一緒に流れ星を探そう/古旅館の頼りない窓を優しく開けてせーので見上げた夜空には/星なんてひとつもなくて」 『空が灰色だから』阿……
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第144夜 死は炙り出す。誰もが“誰かの為の誰か”と…『潔く柔く』
「あの人のことを/とてもよくわかっていますか?/あの人を……/…とてもよく………わかりたいです」「そりゃあ無理だ/とてもよくわかるなんて/他人の傲りだ/そんなこと言う奴は信用できない」 『潔く柔く』いくえみ綾 作、集英社『Cookie』掲載(2004年1月~2010……
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第136夜 エイリアンたちと、黒く楽しく異文化交流…『レベルE』
「現在 地球には数百種類の異星人が飛来している/気づいていないのは地球人だけなのだ/彼らの目的は様々で 国家レベルの策略から個人レベルの研究・犯罪まで多岐にわたる/なかには/何のために地球に来たか忘れてしまった奴も いるだろう」 『レベルE』富樫義博 作、集英社『週……
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第110夜 少年よ、選択肢を切り抜けろ…『Doする!?パラダイス』
「ど ど ど どうするよ/オレ~~~……!?」 『Doする!?パラダイス』玉越博幸 作、講談社『コミックボンボン』掲載(2005年8月~2006年10月) クラスのアイドル、腐れ縁の幼馴染、ちょっと近寄り難かったはずの委員長……。そんな彼女たちに、気付けば少しだ……