年上のお嫁さんアミルと、まだ少年と云った方が近い風情の夫カルルク。2人と家族たちの生活から始まり、19世紀の中央アジア諸方の結婚と夫婦を描く『乙嫁語り』。先日11巻が刊行されましたが、先に2月刊行の10巻について書きたいと思います。 前巻のあとがき漫画での予……
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【一会】『乙嫁語り 11』……いざ復路の旅へ
姉さん女房なアミルとカルルクという若夫婦を筆頭に、中央アジアの諸地域における人々の結婚と生活を描いている『乙嫁語り』。最新刊の11巻も読みましたので、色々と書き記したいと思います。
今巻はほぼ全編、スミスさんのお話。中央アジアの文化に興味を抱き、イギリスからやって来たこのフィールドワーカーも、ただの観察者というわけにはいかなくなってきました。
冒頭の「寒中歌」は、アミルたちの冬の暮らしを描いたもの。彼女たちの出番は今巻ここだけだったりします。
各ページ1枚画に少しのネームという、絵本のようなバンド・デシネ(欧州の漫画表現)のような形式は、この漫画でたびたび登場するものですが、ここでは冬の暮らしの楽しみを詠った詩のように思われます。2巻でも、アミルやカルルクが馬に乗りながら即興で作る歌のしりとりみたいな遊びをしていましたが、この時代・この地域では、季節や景色を歌にするというのは割と普通のことだったのでしょう。
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【一会】『謎のあの店 3』(完)……「ふらり」や「ついに」を、いつまでも
“前を通ったり電車から見かけたりしても入ったことはない、だけど気になる”お店に突入してみるエピソードをメインとしつつ、そこに作者の追憶や思いも込めて綴る、脱日常実録随想漫画『謎のあの店』。最終巻である3巻が出たのも丁度1年前になってしまいましたが、読んだので、あ……
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【一会】『月影ベイベ 9(完)』……一切は、楽の音と共に流れていきます
毎年9月初頭に行われる富山市八尾の風習「おわら風の盆」までの季節を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)を始めとした「おわら」に親しむ高校生たちと、それを見守る光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)を始めとした大人たちの群像も描いた……
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【一会】『コトノバドライブ 4(完)』……その5分間は、きっと誰にでも
海の見える土地で、店長と2人で営む小さなスパゲティ屋「ランプ」で働くすーちゃん。ふとした瞬間に彼女が垣間見る、ちょっと不思議で怖くもあり、それでいて有り難さも漂う不思議な時空間と不思議な出会いを描いた『コトノバドライブ』が、3月刊行の4巻で完結となりました。 作中は……
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【一会】『アルテ 6』……まずは自分の場所で
ルネサンス末期の16世紀。その古典文化復興の中心地となったイタリアの、男社会な絵画界に、ひとり飛び込んだ貴族の娘アルテを描く絵画修行漫画『アルテ』。1月に6巻が刊行となりました。読んで思ったことを書きたいと思います。 師匠レオのアトリエに住み込んで研鑽を積んでい……
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【一会】『乙嫁語り 9』……同じ方を見ている2人
昨年暮れに出た、中央アジア諸方お嫁ストーリー『乙嫁語り』の第9巻。だいぶ遅くなりましたが、つれづれ感想などを書きたいと思います。 前巻に続きまして物語は、手先も態度も不器用系なパリヤのエピソードです。 アミルの実家ハルガルの襲撃により家がほぼ全壊し、以来アミ……
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【一会】『月影ベイベ 8』……母への想いと告白の舞
> 富山県富山市八尾に伝わる、越中おわら節に乗せて人々が舞う祭「おわら 風の盆」。その「おわら」をモチーフに、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)らの関係を描く『月影べイベ』。8巻が出たのも昨年の話に……
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【一会】『アルテ 5』……“違い”なんて、無いからこそ
16世紀初頭イタリア。女性の社会進出が難しかったこの時代を舞台に、貴族の出ながら画家を目指して奮闘する少女アルテの修行の日々と、当時の人々の生活をつぶさに描く『アルテ』。6月下旬に5巻が出ましたが、このほど読みましたので書きたいと思います。 前巻で、生まれ育った……
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【一会】『月影ベイベ 7』……なのに、心に沁み入るのは彼の言葉で
富山県八尾を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)の3人による淡い三角関係を中央に置き、八尾の伝統舞踊“おわら”をめぐる人々を描いた『月影べイベ』。一時休載もあったようですが無事に再開され、ひ……