東京都豊島区に建つ、謎めいて不吉な建築物〈双亡亭〉が引き起こす奇怪な出来事と、そこに巻き込まれ、これを破壊せんとする者たちを描いた『双亡亭壊すべし』。4巻が刊行されたのは4月のことです。既に先月下旬に5巻が出ていますが、追っかけで思ったことを書いておきましょう。 〈……
「 随意散漫 」 一覧
【一会】『月影ベイベ 9(完)』……一切は、楽の音と共に流れていきます
毎年9月初頭に行われる富山市八尾の風習「おわら風の盆」までの季節を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)を始めとした「おわら」に親しむ高校生たちと、それを見守る光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)を始めとした大人たちの群像も描いた『月影ベイベ』。最終巻となる9巻が、この5月に刊行されました。現実の「風の盆」まで3週間たらずとなった今、読んだ思いを書き留めたいと思います。
今巻は、時間軸で云えば作中9月1日から3日の3日間、「おわら風の盆」の一部始終が大半を占めています。そこで織り成された出来事たちは、いずれも物語の締めくくりに相応しいものだったと云えそうです。
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【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 4(完)』……ここぞ胸突き八丁、けじめの刻
戦後まもなくソ連に占領され、共産主義が台頭したパラレルな1950年代の日本を舞台に、擬人化された猫たちによる遊侠活劇を描いた『猫瞽女―ネコゴゼ―』。完結巻となる4巻が、今春刊行されました。 盲目の女芸能者・瞽女(ごぜ)にして三味線に仕込んだ暗殺剣の達人でもある夜梅(……
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【一会】『進撃の巨人 22』……覚悟の海
“正体不明の巨人との戦い”に始まり、次第に物語の全貌が明らかになってきている『進撃の巨人』。4月の話ですが22巻が刊行されました。遅れ馳せもいいところですが、流れを追いつつ思ったことを書き留めようと思います。 前巻に引き続き、エレンの意識に混濁した父・グリシャ・……
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【一会】『コトノバドライブ 4(完)』……その5分間は、きっと誰にでも
海の見える土地で、店長と2人で営む小さなスパゲティ屋「ランプ」で働くすーちゃん。ふとした瞬間に彼女が垣間見る、ちょっと不思議で怖くもあり、それでいて有り難さも漂う不思議な時空間と不思議な出会いを描いた『コトノバドライブ』が、3月刊行の4巻で完結となりました。 作中は……
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【一会】『七つの大罪 25』……3000年の過去で見るものは
伝説的騎士団〈七つの大罪〉と魔神王に従う〈十戒〉という2つのグループの戦いを中心に、物語の舞台ブリタニアをめぐって絡み合う各種族の思惑が描かれつつある『七つの大罪』。周回遅れ気味(既に次巻が出ています…)ですが、3月刊行の25巻について書きたいと思います。 今巻の限……
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【一会】『ダンジョン飯 4』……決戦の果て、癒やしのひと時と暗雲
コンピューターRPGを思わせるダンジョンの中、その深層でドラゴンに喰われた仲間を救うため、生息するモンスターを調理して栄養補給しつつ冒険を進める一行を描いた『ダンジョン飯』。4巻が出たのも2月の話になってしまいましたが、改めてその概要と感想を記したいと思います。 ち……
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【一会】『白暮のクロニクル 10』……イヴの決着
厚生労働省の夜間衛生管理課(通称「やえいかん」)の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、その夜衛管が管轄する不死人種“オキナガ”の少年(に見えて中身は88歳の“ご老人”)雪村魁(ゆきむら・かい)。このバディを中心に、12年ごとに女性を惨殺するシリアルキラー「羊殺し」の追跡……
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【一会】『いぬやしき 8』……意識不在の決戦
普通の人間だった初老男性と男子高校生が、異星人が起こしたアクシデントによって高性能のアンドロイド化。一方は人を救い、一方は人を殺すという両極に振れた彼らの対比と対決を描く『いぬやしき』の8巻が、1月に刊行されました。色々あって4か月も経ってしまいましたが、その概要と感想……
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【一会】『魔法陣グルグル2 7』……そして魔王となったもの
基本はファンタジー&メルヘンだけど、随所に滲む日本の観光地のお土産屋さん的な(良く云えばアットホーム、悪く云えば所帯じみた)雰囲気が特徴的なRPG的冒険譚の続編『魔法陣グルグル2』。1月末に7巻が出ました。初代から数えて3度目のアニメ化も決まったとのことで盛り上がる中、……