100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 ロボ 」 一覧

【一会】『アップルシードα 2(完)』……新世界は素敵ですか?

アップルシードα(2)<完> (モーニング KC)

 2巻の発刊から早や2か月ほど経ってしまいましたが、じっくりと読みましたので書いておきましょう。『茄子』(100夜100漫第1夜)の黒田硫黄先生による、士郎正宗先生の未完の代表作『アップルシード』のリブートという異色作『アップルシードα』の2巻にして最終巻です。

 40年にもわたる非核大戦が行われ疲弊した世界。ちょっと間抜けな感じが拭えないサイボーグ双角を市長とし深刻なエネルギー問題を抱えるニューヨーク、原作とほぼ同等な高度文明を有するオリュンポス、そして機械を嫌ってニューヨークにもオリュンポスにも与しない人間農場の3勢力が存在している、というのがこの漫画のバックグラウンドです。
 その対立とも相互無関心とも取れる微妙な3者共存状態のただ中に、廃墟を渡り歩いてやって来たのが元SWATの女性デュナン・ナッツとサイボーグのブリアレオスというカップル。高性能なH級(ヘカトンケイレス)サイボーグであるブリアレオスは双角から歓待されます(「ブリやん」とか呼ばれて嫌がっていますけど)が、人間であるデュナンは戦闘サイボーグ優先の政策が進められるニューヨークで冷遇を受けます。
 人間への配給はバターオンリーだし、バッテリーと人工血液がなければ満足に動けなかったブリアレオスへの微かな不満もつのるし…ということで、デュナンは人間農場との交易成立を試みんとする動きに同調、指導者格のジョニーたち人間農場の面々と行動を共にすることに――というのが、1巻のあらましと云っていいでしょう。

(さらに…)

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【一会】『いぬやしき 5』……それは、果たして贖罪なのか

 地球外生命体らしき存在たちの事故に巻き込まれ、現在の人類には不可能な能力を付与されたアンドロイドとして復活した、初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)の、それぞれの“生きている感じ”をめぐる活躍と殺戮を描く『いぬやしき』。先月後半に……

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【一会】『いぬやしき 4』……ヒーローの条件は

 地球外生命体がらみと思しき事故に巻き込まれ、ハイパースペックなアンドロイド(サイボーグ?)になってしまった初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と、男子高校生の獅子神晧(ししがみ・ひろ)。1人は人を救い、1人は人を殺め、いずれ直接対決に至るか…といったSFチックな物語……

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【一会】『いぬやしき 3』……完全なるか、勧善懲悪

 ふとしたきっかけから超強力な戦闘能力を有する改造人間(というよりほぼロボット?)となってしまった初老男性の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と男子高校生の獅子神晧(ししがみ・ひろ)。そんな2人それぞれの「生きてる感じ」を味わうための行動を対比して描く、奥浩哉先生の『いぬ……

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【一会】『アップルシードα 1』……ヘタった世界、の2人、の交錯と乖離

 刊行から2週間ほど空きましたが、ようやく読めたので書きます。  『攻殻機動隊』と並ぶ士郎正宗の代表作で、未完で凍結されている『アップルシード』のリブート(新たに一から語られ直し)版を、『茄子』(100夜100漫第1夜)の黒田硫黄先生が描くという離れ業な漫画『アップルシ……

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【一会】『新世紀エヴァンゲリオン 14(完)』……たなごころを、きみに

 超が付くメジャー作品の漫画版で、自分がここで語ることなどもはや無いようにも思うけれど、やっぱり直撃世代として、語りたいので語ります。『新世紀エヴァンゲリオン』、その漫画版の最終巻となる14巻です。  ちなみに通常版の発売はまだちょっと先(26日)です。自分は限定版(2……

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【一会】『いぬやしき 2』……孤独と恍惚を抱え、戦う機能をイメージする

 刊行からはや1か月弱ということで、かなり出遅れた感がしますが、『いぬやしき』2巻について一くさり語ります。  会社でも家庭でも肩身の狭い、歳よりもかなり老けて見られる犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)58歳が、ふとしたアクシデントによって、自分の記憶や意識を保ったまま……

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【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?

 気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である『いぬやしき』1巻が刊行となりました。  事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりました……

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第148夜 神様の原作から名手が描く、機械達の挽歌…『PLUTO』

「その角の意味……なんだと思う?」「ヨーロッパの古き神々……/死の神には、角がついていた……」「角……戦士の魂を奪う狩人ハーンは“角の王”と呼ばれた……/ギリシア神話においては、冥界の王ハデス……あるいは、/ローマ神話の冥王……」「冥王……」「プルートウだ。」 『P……

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第93夜 仮想ロボバトルと男の娘の惑い…『バーコードファイター』

「そのゴーグルを通して見た物は、ゲーム世界での現実なの。/烈ちゃんは今、パイロットスーツに身を包んで愛機のコクピットに座る……、/バーコードファイターなのヨ!」 『バーコードファイター』小野敏洋 作、小学館『月刊コロコロコミック』掲載(1992年3月~1994年6月……

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