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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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【一会】『ダンジョン飯 6』……諍いと死闘、そして更なる深層へ

ダンジョン飯 6巻 (ハルタコミックス)

 古き良きファンタジーRPG的な世界観のもと、地下迷宮で魔物を食べるという要素を中心に据えた冒険物語として始まり、次第にダンジョンという概念自体を再検討する意識が顕わとなってきた九井諒子氏の『ダンジョン飯』。少し間が空きましたが4月に刊行された6巻について書きたいと思います。

 ようやく救出したファリンと語り合う間もなく、再び彼女と離ればなれになったライオス一行。明らかに常軌を逸したファリンの様子は、マルシルの用いた古代魔術のためか、あるいはダンジョンそのものの経緯によるものか。その辺りはまだ判然としませんが、このままではファリンの再救出は覚束ないとライオスは判断しました。ようやく見つけた上り階段の手前で鋭気を養っていた一行に、かつての仲間シュロー・野心家カブルーの連合パーティーが行き会ったところから、今巻は始まります。

 以前からライオスのやり方に懐疑的だったカブルーですが、直接ライオスと話して少し静観することに決めた様子。シュローも別にライオス達とケンカ別れしたつもりでもないようで、再会は比較的和やかな雰囲気です。
 ファリンへの好意から、シュローは食べるものも食べずに進んできたらしく。そんな彼を気遣ったライオスの一言で、大所帯での食事の準備が進められます。その間ライオスは、これまでの経緯をシュロー・カブルーに聞かれるままに答えることに。炎龍(レッドドラゴン)を倒し、ファリンを蘇生させたまではよかったものの、その後“狂乱の魔術師”に襲われ、ファリンはさらにダンジョンの深部に連れ去られてしまいました。魔物食の話も交えつつライオスは語りますが、ファリンの蘇生にマルシルが古代魔術を用いたことは、軽々には口にできません。カブルーには外してもらって、旧知のシュローにだけ明かすことにしたようです。

(さらに…)

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【一会】『ダンジョン飯 5』……「めでたし」からの急転直下

 まるで往年のコンピューターRPG『ウィザードリィ』あるいは『ダンジョン・マスター』のような迷宮探索と、そういう世界観での食にまつわる記載がミックスされた、九井諒子氏による妙に所帯じみた“剣と魔法”系ファンタジー『ダンジョン飯』。現在6巻まで刊行されていますが、まだ述べて……

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【一会】『ダンジョン飯 4』……決戦の果て、癒やしのひと時と暗雲

 コンピューターRPGを思わせるダンジョンの中、その深層でドラゴンに喰われた仲間を救うため、生息するモンスターを調理して栄養補給しつつ冒険を進める一行を描いた『ダンジョン飯』。4巻が出たのも2月の話になってしまいましたが、改めてその概要と感想を記したいと思います。  ち……

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【一会】『ダンジョン飯 3』……水棲系食材の宝庫で思う、迷宮の環境学

 コンピューターRPGの古典『ウィザードリィ』(wikipedia)を思わせる「狂乱の魔術師」によるダンジョンを舞台に、生息しているモンスターを捕食するという『ダンジョンマスター』(wikipedia)っぽい要素を組み込み、モンスター料理を味わいながらの探索行を描く、九井……

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第146夜 スパイスの香りに、みんなが集まる…『今日、カレー!』

「やっぱりおなじがいいね」「ん?」「あのね/やっぱり/おなじものを おいしいって おもうって/なんか うれしいね」 『今日、カレー!』縞野やえ 作、マッグガーデン『月刊コミックブレイド』掲載(2011年9月~2012年2月)  美しい自然に囲まれ、採れる魚も野菜も……

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第133夜 奇妙奇天烈な食べ物と変な色気で星3つ…『奇食ハンター』

「・・・・・・・・・・残していい?」「ヌ!?/逃げるな! 奇食ハンターとして恥ずかしくないのかッ!!」「な・・何? その奇食ハンターっていうのは?」 『奇食ハンター』山本マサユキ 作、講談社『週刊ヤングマガジン』掲載(2007年6月~2010年3月)  旧車漫画『……

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第129夜 行間から浮かぶ、在りし日の彼らの食生活…『文豪の食彩』

「例えば明治期/日本人は何を旨いと思って喰っていたのか?/そこにどんなドラマがあったのか?/それは今どこで食えるのか?/それは今も旨いのか?/…とかね」 『文豪の食彩』五十子肇観→壬生篤 原作、本庄敬 作画、日本文芸社『別冊漫画ゴラク増刊 食漫』掲載(2009年12……

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第63夜 街をさまよう、まだ見ぬ郷愁の味を求めて…『孤独のグルメ』

「モノを食べる時はね/誰にも邪魔されず/自由で なんというか救われてなきゃあ/ダメなんだ」 『孤独のグルメ』久住昌之 原作 谷口ジロー 作画、扶桑社『月刊PANJA』掲載(1994年8月~1996年4月) ※2008年1月より扶桑社『SPA!』にて不定期掲載  井……

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第41夜 豪華で特濃。中華をめぐる仁義なき戦い…『鉄鍋のジャン!』

「料理は勝負だ! 勝てばいいんだ!! 」 『鉄鍋のジャン!』西条真二 作、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(1994年12月~2000年3月)  国内最高峰といわれる東京銀座の五番町飯店に、謎の挑戦者がやってきた。飯店のものよりも美味しい炒飯を手際よく作った、……

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第38夜 杯を満たす葡萄の香に、人生の喜怒哀楽は映る…『ソムリエ』

「本当に正しい組合せというのは/料理とワインの間ではなく/ワインとお客様の間にあるんじゃないかな」 『ソムリエ』城アラキ 原作、甲斐谷忍 漫画、堀賢一 監修、集英社『MANGAオールマン』掲載(1996年1月~1999年6月)  パリで暮らす日本人、佐竹城(さたけ……

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