漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 バトル 」 一覧

【一会】『七つの大罪 9』……“英雄の戦い”の幕開けか?

七つの大罪(9) (少年マガジンコミックス)

 予想通り2か月で1巻ペースで刊行の『七つの大罪』。今巻9巻は全編戦いのさなかです。
 囚われたエリザベスと、欠けた剣の柄に隠されていた祭器「常闇の棺」を取り戻すために王都に潜入(というか突撃)したメリオダス、バン、ゴウセル。時を同じくしてキャメロットの新王アーサー・ペンドラゴンの一団が王都の南門に出現したため、状況は「七つの大罪」、王都の聖騎士たち、アーサーの三つ巴の様相を呈してきます。

 が、今巻ではアーサーと聖騎士長ヘンドリクセンの戦いはさわりだけで、あとはほとんど「七つの大罪」VS聖騎士の戦いに費やされています。しかも団長とバンは今回あまり出番なしで、主役となるのはディアンヌとゴウセルの2人。
 これまでもヘルブラムなんかとは死闘を演じてきた「七つの大罪」ですが、今回は輪をかけて凄惨な戦いです。王都のど真ん中ということで、民衆は「七つの大罪」のことを国家の破滅をもくろむ極悪人の集まりと認識していますし、ドレファスやヘルブラムといった強敵の力は圧倒的でもあります。
 そんな戦いの中、ディアンヌのとった行動は誇り高い。今まで“団長大好き”というところが強調されていてあまり感じませんでしたが、この巨人族の女戦士の原動力はまさに大地のような慈しみなのでしょう。183ページの笑顔に熱いものが込み上げてきました。
 そしてとぼけた魅力のゴウセルも持ち味を発揮して活躍します。たまたま非番だったカイーデ(=“暁闇の咆哮(ドーン・ロアー)”のスレイダー)と街中で鉢合わせしての一戦も彼らしいアクションが楽しいですが、やはりドレファスとの戦いがハイライトでしょう。精神に働きかけるゴウセルの魔力が、図らずもドレファス…の意識の底にいる何物かを察知した様子。真相が気になります。
 そんな2人に加えて、今巻ではハウザーとギーラという意外な人たちの奮闘も。即席の連携技を駆使して己の正しいと思うことに命を懸ける2人の姿もまた、熱いです。
 「七つの大罪」に聖騎士、キャメロットと役者が出揃ってきたこともあって、これから群雄割拠の“英雄の戦い”となっていくんじゃないでしょうか。

(さらに…)

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【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?

 気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である『いぬやしき』1巻が刊行となりました。  事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりました……

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【一会】『月光条例 29(完)』……そして、物語は円環する

 「ヒジョーにメイワクな話をしよう」から始まった、おとぎ話(というか全ての物語)を巻き込んだ、ある意味で傲岸不遜、ある意味では史上最後の物語『月光条例』も、遂に語り終えられる時が来ました。最終巻だけに、頭の中を整理してから書きたいことも色々ありますが、あまり時間をおくのも……

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第176夜 夢現と血まみれの刃の向こう、優しさの咲く…『竹光侍』

「要するに、今の某(それがし)に刀は無用。」「大事な子を一人忘れておいでだよ、お前様」「ん……/見慣れぬ子だな……」「覗いてごらんな、ふふふふふ…」 『竹光侍』永福一成 原作、松本大洋 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(2006年8月~2010年3月) ……

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【一会】『七つの大罪 8』……その者の名前、マーリン

 祝アニメ化、ということで徐々に出版社も力を入れ始めている気がする『七つの大罪』。単行本の刊行ペースは2か月に1巻のようですね。  今回の8巻で、なんとなーく、メリオダスたちが罪を着せられている10年前の王国転覆疑惑事件の手がかりらしきものが示されてきました。メリオ……

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【一会】『月光条例 28』……いまはまだ、泣くべき刻じゃないぜ

 26巻から毎月連続刊行されている『月光条例』。今巻で28巻となりました。このまま最終巻まで行くのでしょうか。 (さらに…)……

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第158夜 狂わざれば、その時代を生きること能わず…『シグルイ』

「士(さむらい)の命は/士の命ならず/主君のもの/なれば/主君のために死場所を得ることこそ/武門の誉れ/封建社会の完成形は/少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」 『シグルイ』南條範夫 原作、山口貴由 作画、秋田書店『月刊チャンピオンRED』掲載……

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【一会】『魔法陣グルグル2 2』……魔王とグルグルと、大人になるということ

 例によって少し経ってしまいましたが、これは書かねばなりますまい。  一度は世界を救っちゃった(100夜100漫第28夜)勇者ニケとグルグル使いククリの、二度目のへっぽこ冒険道中を描く『魔方陣グルグル2』も2巻目。前作から登場し、前巻終盤でまさかのパーティー入りを果たし……

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【一会】『七つの大罪 7』……ひねくれ者の仲間思い

 書こう書こうと思っていながら遅くなってしまいましたが、最近の人気作でもあるし、『七つの大罪』の新刊7巻について、ちょっと思った事を書こうと思います。  メリオダスの暴走と例の欠けた剣の喪失(黒目がちな無表情が恐ろしい!)、そんな彼を痛めつけた相手へのディアンヌの怒……

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第154夜 状況の千変万化に踊らず信念を貫け…『絶園のテンペスト』

「愛花が殺されたのは不合理だ/魔法も不合理だ/なら二つをぶつければ辻褄が合う/愛花を殺したやつを/この手で殺してやれる」 『絶園のテンペスト』城平京 原作、左有秀 構成、彩崎廉 作画、スクウェア・エニックス『月刊少年ガンガン』掲載(2009年7月~2013年3月) ……

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