100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 バトル 」 一覧

第202夜 血溜まりに“真の友情”を映して…『バトル・ロワイヤル』

「オレもだ……/オレもお前も少しずつ間違っていたんだ…/――だから俺とお前でだっ」「えっ!?」「オレの判断とお前の心(ハート)が一つになって……/本当の正解だっ」「………/……………ありがとう/川田」「――ったく………/お前ってヤツは涙腺の涸れねえ男だなっ」


バトル・ロワイアル (1) (ヤングチャンピオンコミックス)

バトル・ロワイヤル高見広春 原作、田口雅之 作画、秋田書店『ヤングチャンピオン』掲載(2000年2月~2005年2月)

 極東の全体主義国家、大東亜共和国。軍事政策を推し進め、アメリカを筆頭に世界各国と対立し半鎖国状態にあるこの国は、それでも優秀な工業輸出産品のために国民1人当たりGDPは世界一であり、一見、人々の暮らしは豊かだった。敵性音楽として目くじらを立てられるロックンロールも、ヤミルートなどの抜け道があって規制は案外緩い。
 しかし、この国には「ほんとうに最悪なシロモノ」もあった。正式名称、大東亜共和国戦闘実験第68番プログラム。1947年の第1回から毎年、全国の中学3年生からランダムに選出された50クラスに対し、閉鎖された空間で最後の1人になるまで殺し合いをさせる国家プロジェクトである。政府が“国家防衛上の必要から”と説明するこの制度は、当初こそ国民の猛反発があったものの、現在は表だって異を唱える者も少なく、毎年厳然と実施されていた。
 1997年、リトルリーグ時代は天才ショートと呼ばれ、ご法度のロックンロールを愛する“ワイルドセブン”こと七原秋也(ななはら・しゅうや)は、修学旅行に行くバスの中で眠らされ、見知らぬ教室で目を覚ます。彼ら香川県城岩町立城岩中学校3年B組の42人は、今回の“プログラム”実施対象である50クラスのうち1クラスに選ばれたのだ。
 秋也たちのゲームの舞台となるのは、香川県沖木島。外界から隔絶された世界で、1人ずつ異なった武器が支給され、クラスメイト同士による“椅子取りゲーム”が始まった。
 デス・ゲームの中、親友の国信慶時(くにのぶ・よしとき)が思いを寄せる中川典子(なかがわ・のりこ)と出会った秋也は、彼女を護ることを誓い、たくましい体躯をもち顔に傷を刻んだ転校生、川田章五(かわだ・しょうご)と共にこの“プログラム”そのものを破壊し政府にカウンターパンチを食らわそうと誓う。
 しかし、クラスメイトたちの思いは1つではない。無機質な天才、桐山和雄(きりやま・かずお)。既に魔性の芳香を放つ相馬光子(そうま・みつこ)。秋也に匹敵する運動神経とコンピューターの知識を持ち合わせるクールな色男の“ザ・サードマン”三村信史(みむら・しんじ)。ストイックな拳法使い杉村弘樹(すぎむら・ひろき)――。
 ゲームに乗った“ヤル気”の者、絶望して死を選ぶ者、仲間を信じて呼びかける者。交錯する意思と血しぶきの中、秋也は典子を護れるのか。そして、川田の云う“ゲーム脱出のプラン”とは。

(さらに…)

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第200夜 かつての罪と命の重さ、抱えてなお歩け…『鋼の錬金術師』

「目に見えない大きな流れ――/それを「世界」と言うのか「宇宙」と言うのかわかんないけど/オレもアルもその大きい流れの中のほんの小さなひとつ/全の中の一/だけどその一が集まって全が存在する/この世は想像もつかない大きな法則に従って流れている/その流れを知り/分解して再構築する…/そ……

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【一会】『いぬやしき 3』……完全なるか、勧善懲悪

 ふとしたきっかけから超強力な戦闘能力を有する改造人間(というよりほぼロボット?)となってしまった初老男性の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と男子高校生の獅子神晧(ししがみ・ひろ)。そんな2人それぞれの「生きてる感じ」を味わうための行動を対比して描く、奥浩哉先生の『いぬ……

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【一会】『七つの大罪 13』……覚醒はヒロインの証

 予定通り2か月おいての新刊刊行となりました『七つの大罪』。はやいもので13巻となりました。ちなみに今回の限定版は〈7つの大罪〉メンバーの手配書の似顔絵をあしらったメタルマグネット7つやシールとなっています。  13という数は7と同様、キリスト教的に“いわくつき”の……

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【一会】『アップルシードα 1』……ヘタった世界、の2人、の交錯と乖離

 刊行から2週間ほど空きましたが、ようやく読めたので書きます。  『攻殻機動隊』と並ぶ士郎正宗の代表作で、未完で凍結されている『アップルシード』のリブート(新たに一から語られ直し)版を、『茄子』(100夜100漫第1夜)の黒田硫黄先生が描くという離れ業な漫画『アップルシ……

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【一会】『七つの大罪 12』……絶大なり、漆黒の力

 アニメの人気が盛り上がっていますが、漫画本編の物語も一つのクライマックスと思われる『七つの大罪』、前巻から2か月おいての12巻刊行となりました。ちなみに限定版には、全キャラ誕生日付き2015年日めくりカレンダーが付いています。  今巻は、バンとメリオダスによる“大……

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【一会】『進撃の巨人 15』……それは誰が為の“選択”か

 考えてみたら、作品そのものについて言及するのは初めてです、『進撃の巨人』。  人類を脅かす強大な巨人が闊歩する“壁”の外と、母を殺され全ての巨人を駆逐せんと怒りに燃えるエレン・イェーガー、その幼馴染で卓越した戦闘能力を有すミカサ・アッカーマン、同じく幼馴染で体力的には……

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第190夜 海を渡った会津者たちの夢の果て…『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜』

「黄金を夢見た者も/故国で行き場をなくした者も/覚悟して海を渡りここに行きついた/ここで生きていくほかないのだ/異国で生きるとはそういう事だ」 『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜』夏目義徳 作、集英社『グランドジャンプ』→「GRAND JUMP WEB」掲……

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【一会】『いぬやしき 2』……孤独と恍惚を抱え、戦う機能をイメージする

 刊行からはや1か月弱ということで、かなり出遅れた感がしますが、『いぬやしき』2巻について一くさり語ります。  会社でも家庭でも肩身の狭い、歳よりもかなり老けて見られる犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)58歳が、ふとしたアクシデントによって、自分の記憶や意識を保ったまま……

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【一会】『ドリフターズ 4』……“武士”は、それと認めた相手の首をしか欲しがらない

 遅くなりましたが書きます。歴史上の英雄・豪傑たちがファンタジー世界で一堂に会し、地域も時代も越えて共闘あるいは対決するという、男子なら誰もが一度は妄想したことがあるだろうストーリーを、作者の前作(100夜100漫第39夜)同様の洋画チックな台詞回し&一線を超えたマッドネ……

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