漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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【一会】『少女終末旅行 5』……最上層、その手前の追憶

少女終末旅行 5 (BUNCH COMICS)

 沈黙が支配する終末間近な未来世界を、履帯式牽引車両ケッテンクラートで旅する2人の少女、黒髪黒瞳・しっかり者のちーちゃん(チト)と金髪碧眼マイペースなユー(ユーリ)。2人の、呑気さと悲壮さの絶妙な混淆に哲学的な問いを散りばめた旅を描いたつくみず氏『少女終末旅行』の、最終巻である6巻が刊行されたのは今年3月です。すぐにも最終巻まで読み通したいところですが、まずは順序通り、昨夏に刊行された5巻について書こうと思います。

 前巻ラストで、地球の終わりが避けられないことを知ったチトとユーリ。2人の終末世界巡りも、大詰めになってきた感があります。行く手に待つものは何かを気にしつつも、とりあえず吞気な空気で旅は続きます。
 「黒い建物」(朽ちた原子力潜水艦)の中には食糧が豊富にあったようで、とりあえず2人の命脈は尽きずにすみそう。水が乏しいみたいですが、周囲の氷を溶かそうというユー案はやめておいたほうがいいですね。とりあえず水路も見つけたし、何とかなるでしょう。
 水路沿いでキャンプして摂る2人の夕食は、魚の缶詰を熱したもの。美味しくて思わず笑みがこぼれる2人が微笑ましいですが、逆に云えば普段はもっと味気ないものを食べているということですね。ローマ字の知識すら伝達されていない世界では、思った以上に色々なものが欠乏しているに違いありません。
 足場が不安定な箇所でチトが怪我をしたものの、ユーの無鉄砲な(!)機転で切り抜け、2人を乗せたケッテンクラートは先へと進みます。当座の目的地は、西にある都市の昇降機。これに乗れば「最上層の手前まで行ける」と、前巻で出会った謎の存在たちが教えてくれました。

(さらに…)

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【一会】『銀の匙 Silver Spoon 14』……想い、叶う。それはそうと急展開

 札幌で勉強漬けだった中学生活から、逃げるように十勝の大蝦夷農業高校に進学した八軒勇吾(はちけん・ゆうご)。彼の価値観の転換と“本当にやりたいこと”の探索を中心に、淡い恋と部活動、そしてひたすら農地と家畜と労働の群像劇を描いてきた『銀の匙 Silver Spoon』の……

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【一会】『Pumpkin Scissors 21』…… 今、押込めていた「正義」を語ろう

 そろそろ刊行が1年前になろうか(2017年8月刊行)という事実に戦きますが、それでも『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』第21巻について、色々と書こうと思います。  長らく続いた“帝国”と“共和国”の戦争。停戦から3年を経ても、その傷痕は種々の……

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【一会】『ダンジョン飯 6』……諍いと死闘、そして更なる深層へ

 古き良きファンタジーRPG的な世界観のもと、地下迷宮で魔物を食べるという要素を中心に据えた冒険物語として始まり、次第にダンジョンという概念自体を再検討する意識が顕わとなってきた九井諒子氏の『ダンジョン飯』。少し間が空きましたが4月に刊行された6巻について書きたいと思いま……

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【一会】『ダンジョン飯 5』……「めでたし」からの急転直下

 まるで往年のコンピューターRPG『ウィザードリィ』あるいは『ダンジョン・マスター』のような迷宮探索と、そういう世界観での食にまつわる記載がミックスされた、九井諒子氏による妙に所帯じみた“剣と魔法”系ファンタジー『ダンジョン飯』。現在6巻まで刊行されていますが、まだ述べて……

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【一会】『進撃の巨人 25』……その信念の意味と価値

 巨人化する能力を有するエルディア人の一種族“ユミルの民”、彼らの力を軍事利用してきた軍事国家マーレ、その両方がそれぞれの思惑から殲滅を願うパラディ島の“壁”の中に逃れたエルディア人たち。当初の“人類VS巨人”という構図から大きくかけ離れた世界の実態が明らかとなりつつある……

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【探訪】コミティア124参加記録…いつもに輪をかけて盛況

 2018/05/05  漫事探訪

 恒例となったコミティア。今回のコミティア124にも無事に参加できたので、記録を残そう。  過去の記録は下のリンクからどうぞ。 【探訪】コミティア123参加記録…西展示棟を上へ下へ 【探訪】コミティア122参加記録…天候も回復、気楽に一回り 【探訪】コミティア121参……

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【一会】『進撃の巨人 24』……あの時、君が思っていたのは

 巨人化する力を持つ“ユミルの民”を擁するエルディア人と、その力を軍事的に利用してきたマーレ、彼らが勢力を維持するために壊滅を狙うパラディ島壁内のエルディア人。そんな構図を成す“物語を規定していた「壁」の外側”から、これまでの戦いが再記述されている『進撃の巨人』。昨年12……

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【一会】『進撃の巨人 23』……遠く離れた壁の内側で

 巨人から逃れ壁の中で生き延びた人類が、その存亡をかけて、壁外から襲い来る巨人と戦う。そんな当初の前提から、大きく変容した世界の構図が明るみに出た『進撃の巨人』。  既に今月25巻が刊行されていますが、プレイバック的な意味合いも含めて、過日の22巻に続き23巻から読んで……

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【一会】『少女ファイト 14』……順調な勝ち上がり、不穏な場外戦

 最強レベルの実力と弱いメンタルを兼ね備えた女子高生バレーボール選手・大石練(おおいし・ねり)と、彼女の所属する黒曜谷高校女子バレー部が、ヒール的役どころを甘んじて引き受けて活躍する様を描く『少女ファイト』。ほぼ13巻時の予告どおり、昨年7月に14巻が刊行されています……

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