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【一会】『月影ベイベ 3』……大人の感傷と若者の幻滅
1巻以来、楽しみに読んでいますが、ここで言及するのは初めてです。『月影ベイベ』3巻。現状では月影にもbabyにもあまり関係がありませんが、それは作者の前作『坂道のアポロン』(100夜100漫第138夜)でもそうで、それでも全編語られ終わった時にはほんのりと意味が薫るという名付けられ方なので、今はあまり気にしないことにしています。
さて、富山県八尾を舞台とした、伝統舞踊“おわら”を題材に採りつつ、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と、東京からの転校生でありながら巧みに“おわら”を踊る峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)の偽装恋愛にまつわる交々(こもごも)を描いた物語も3巻目。光にとって、自分の伯父にあたる円(まどか)と蛍子の妖しい関係がずっと気になっていたわけですが、その辺りの話も今巻で一応決着と云えるのではないでしょうか。
その真相は、幾ばくか感傷を誘われるものでありました。円と旧友の漸二が酒を呑むシーンには、そのセンチメンタルが凝集しているように思います。まあ、波乱としてはそれで一段落ということでもなく、光は自らの胸の内に鈍い痛みを感じるし、蛍子と円は更に大変なことになっているようにも思えますが…。

