「いつもなら目にもとめないチラシの ありふれた一行が/今夜は あたしたちの胸を打つ/“出会いがすべて”/「会えてよかったね」/他に言葉がみつからない/そんな夜」 『雲の上のキスケさん』鴨居まさね 作、集英社『ヤングユー』掲載(1997年年5月~2003年12月) ……
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【一会】『Pumpkin Scissors 18』……絶望に瀕しながらも動く人間と、死人を造る死人
ここでは初めて言及する『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』。まずは軽く概要を。
長らく戦争を続けていた“帝国”と“共和国”。「薄氷の条約」とも呼ばれる停戦条約が結ばれ、いちおうの戦争終結を見てから3年が経過し、帝国領内はそこそこ復興してきました。が、いまだに国内の混乱は収まらず、難民や兵士の夜盗化、地方貴族の横暴といった「戦災」は続行中。そこで帝国陸軍は戦災復興の専門部隊として陸軍情報部第3課、通称「パンプキン・シザーズ」を設置し、あらゆる「戦災」への対応を任務としました。
とはいえ、実戦部隊ではない情報部のさらに末端ということで周囲は“お気楽陸情3課”呼ばわり。それでも、貴族出の凛然系乙女にして実働部隊隊長アリス・L・マルヴィン少尉と、彼女に拾われた、元特殊部隊での凄惨な過去を持ちつつ普段は心優しい大男ランデル・オーランド伍長を筆頭に、オレルド&マーチスの准尉コンビ、どう見てもまだ少女なステッキン曹長らの活躍で、多くの人為的戦災から人々を救ってきました。
当初こそ単発的な戦災事案に対応する物語でしたが、やがて見えてきた大きな陰謀。“帝国”で開催された西方諸国連盟(ネヴュロ)合同会議の場で帝国に恨みをもつ武装集団“抗・帝国軍(アンチ・アレス)”によるテロ事件が勃発します。燃える帝都で、帝国陸軍の各部署は、そして陸情3課の面々は秩序を取り戻せるのか――?
と、そんな状況で始まったのが、今回の18巻。相変わらず帝国へのテロをめぐる政治的あるいは社会学的な考察が重厚な印象を醸し出しています。正直なところ、これほど説明的だと敬遠する読者も出てくるんじゃないかと思いますが、自分としては面白く読みました。同時に差し挟まれるオレルド&マーチス、ステッキンたちの脱力な一幕も、仲間への理解の深さ、絶望的な状況下でも軽口を叩きながら行動する強さを感じられていい感じですね。
第一次世界大戦後のドイツ(だと思う)をモチーフとしながら、いまだ旧態依然とした貴族意識が幅を利かせているという帝国が舞台のために、「カウプランの特許(パテント)」や電信技術に衝撃を受ける形で“科学化していく各国”への戦慄が描かれ、同時に銃VS剣とか装甲車VS騎馬という戦いを通して人間的な“誇り”を際立たせるというのは、なんともアンビバレントですが、納得してしまうのは語り口の巧みさ故でしょうか。
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