バトル | 漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫-10ページ

漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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第35夜 目を逸らさず、歩みを止めないということ…『るろうに剣心

「剣は凶器 剣術は殺人術/どんな綺麗事やお題目を口にしても/それが真実――けれども拙者はそんな真実よりも、薫殿の言う甘っちょろい戯れ言の方が好きでござるよ」


るろうに剣心―明治剣客浪漫譚― モノクロ版 1: 巻之1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

『るろうに剣心』和月伸宏 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1994年4月~1999年9月)

 明治初期の日本。幕末の動乱期に“人斬り抜刀斎”として恐れられた元長州派維新志士、緋村剣心(ひむら・けんしん)は、人を殺すことを自ら禁じた証、逆刃刀を携え、各地を流浪する“るろうに”となっていた。流れ着いた東京で、父の剣術道場を継いだ女師範代の神谷薫(かみや・かおる)と出会い、剣心はしばし留まることを決める。
 新たな首都となった東京の地で、ある者は剣心を慕い、ある者は敵対する。その中には幕末の彼を知る者も少なくなかった。元江戸城隠密方、元新撰組隊長、京都から新政府転覆の野望を燃やす者、“人誅”として幕末の怨みをはらそうとする者たち――。幾多の戦いを経て、剣心は仲間達とともに自らの不殺(ころさず)の誓いを守りながらも人を守る強さを身に付け、生きていく。

贖罪という陰
 メディアミックス展開され、2012年からは三度にわたり実写映画化もされたので、ここで書くまでもない有名作であろう。しかし、第一幕からリアルタイムで読んできた者として、改めて書きたい。
 『武装錬金』(第6夜)と同様、表面的には「努力・友情・勝利」の三原則を守った“正しい”少年漫画であり、ジャンプ漫画として単純に楽しめる。ただし、本作にはどこか暗いトーンが付きまとう感覚がある。主人公である剣心は、戦国時代に開祖を持つとされる飛天御剣(ひてんみつるぎ)流の使い手であり無双の強さを誇るが、それ故に尋常でない数の屍を築いている。それが彼に暗い陰を落としている。
 彼以外の多くの登場人物も、裏切られたり死なれたりといった暗い過去を背負っている。幕末という時代設定上、それはリアルだと思うが、必ずしも少年漫画的ではないと言えるかもしれない。しかし、それによって「贖罪」という本作最大のテーマは強く迫ってくるように思う。

希望へと向かう姿
 そんな影をもつ本作ではあるが、作者の信念は「エンタテイメントの基本は笑顔とハッピーエンド」であり、最後には登場人物たちが絶望から脱し希望へと向かう力強い姿を提示してみせる。その落差が大きいだけに、要所要所での剣心や仲間たちのとる態度と決意に、胸が熱くなるのは自分だけではないだろう。特に物語の終盤、神谷道場唯一の弟子である少年剣士、明神弥彦(みょうじん・やひこ)が闘いの果てに追い詰められた窮地に剣心が駆けつける一幕は、暗鬱とした作中世界に曙光が差し込んだような快場面である。
 ただ一級の幕末バトル活劇というだけで終わっていたら、あるいは本作の人気は限定的なものだったかもしれない。そこに留まらず、少年漫画としてはハンデとも云える重いテーマを扱ったことで、映画化や特筆版の刊行に繋がる根強い人気を得ることとなったのではないだろうか。それは苦しい作業だったに違いない。が、そうした根源的な部分から目を逸らさない制作姿勢がなければ、緋村剣心が自らの罪に目を凝らす姿など、本当の意味で描けるはずはなかったのだ。

*書誌情報*
☆通常版…新書判(17.2 x 11.4cm)、全28巻。電子書籍化済み。最終巻には本編と無関係の短編「メテオストライク」収録。

☆完全版…A5判( 21 x 14.4cm)、全22巻。表紙・花札風口絵・カバー下「剣心再筆」描き下ろし。最終巻に通常版未収録短編「弥彦の逆刃刀」を収録。

☆コンビニ版…B6判(17.8 x 13cm)、全13巻+1巻(データブック『剣心華伝』、完全版ガイドブック『剣心皆伝』の合本)。絶版。

☆文庫版…文庫判(15.2 x 10.4cm)、全14巻。表紙描き下ろし。最終巻に短編「弥彦の逆刃刀」収録。剣心華伝初出の「春に桜」も収録。



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第30夜 霊とも敵とも共に歩む姿こそが強さ…『シャーマンキング

「そのなんでも知ってる“精霊の王”って奴と友達になれば!!/なんの苦労もしないで毎日のんびり楽に暮らせるんだろ…!!」「ドバカモン」 『シャーマンキング』武井宏之 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1998年7月~2004年10月)→完全版にて完結(2009年4月) ……

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第28夜 描かれた円の中は、少女の心を映す混沌…『魔方陣グルグル

「これからあたしたちいよいよ世界を冒険するのね!/あたし世界中の町を見てみたいな/いろんな人に会ったり楽しい事もいっぱい…/どんな世界が待っているのかしら……/……ゆうしゃさまムーンストーンをつかうのよ……」「何考えてんだよ/なんだよムーンストーンって」 『魔方陣グ……

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第27夜 宵闇に燦然と燃えさかる“人間の姿”…『からくりサーカス

「何かあったら心で考えろ…/今はどうするべきか…ってな。/そうして…笑うべきだとわかった時は…/泣くべきじゃないぜ。」 『からくりサーカス』藤田和日郎 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(1997年7月~2006年5月)  両親の都合で中国で暮らしていた青年、加藤……

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第21夜 運命・意志・希望…『ジョジョの奇妙な冒険Part5 黄金の風

「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている/向かおうとする意志さえあればたとえ犯人が逃げたとしてもいつかはたどり着くだろう? 向かっているわけだからな……………違うかい?」 『ジョジョの奇妙な冒険Part5 黄金の風』荒木飛呂彦 作、集英社『週刊少年ジャ……

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第20夜 闘いに臨む覚悟と、その果ての慈悲…『怪奇警察サイポリス

「汝の魂に、幸いあれ…!」 『怪奇警察サイポリス』上山道郎 作、小学館『月刊コロコロコミック』掲載(1991年12月~1995年6月)  新聞部の部長を務める中学2年生、鬼塚勇気(おにづか・ゆうき)。同級生の新聞部員、三原千夏(みはら・ちなつ)に押されつつも部を取……

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第14夜 個人VS個人、その最高水準の衝突…『グラップラー刃牙

 2013/05/18  100夜100漫,

「強くあろうとする姿は――――かくも美しい!!!」 『グラップラー刃牙』板垣恵介 作、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(1991年9月~1999年6月)  東京ドームの地下には闘技場がある。そしてそこでは、各々の世界で現役を担っている格闘家たちが、夜な夜な真剣……

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第11夜 いにしえの倭国で、二人の視る夢は続く…『邪馬台幻想記

「…そうだ/オレは伊予を高天の都へ連れていく……/倭国を統一するために…/そしてオレは見てみたい…/伊予が造る理想の国を…」 『邪馬台(やまと)幻想記』矢吹健太朗 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1999年2月~6月)  幻想の時代――紀元3世紀。倭国は戦乱の……

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第10夜 超古代遺跡を護る闘いに見い出す人の偉大さ…『スプリガン

「どーせ死ぬなら最後まで納得いくまで戦って死んでやる!!/自分の行動に後悔だけはしたくねー!!」 『スプリガン』たかしげ宙 原作、皆川亮二 作画、小学館『週刊少年サンデー』→『週刊少年サンデー増刊号』掲載(1989年2月~1996年1月)  かつて地球上にはいくつ……

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第8夜 弟が愛し憎悪する姉は血と鋼に身を固める…『シリウスの痕

 2013/05/12  100夜100漫, ,

「さて最後のお別れをしなさい/自分の生身の肉体に」 『シリウスの痕(きずあと)』高田慎一郎 作、角川書店『月刊少年エース』掲載(1999年5月~2001年10月)  脳以外を機械化した人間を殺し合わせる闘犬(ドッグファイト)。犬たちには既に闘争本能しか残されていな……



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