漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 バトル 」 一覧

第70夜 シリーズ屈指の異色作に宿る勇気の力…『ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない

「この人は35年間 この町のおまわりをしてきた/出世はしなかったけど 毎日この町を守るのがこの人の仕事だった/今さっきもアンジェロの仕業と思われるニュースをきいたとき/この人は『町を守っている男』の目になった/……/おれが この町とおふくろを守りますよ/この人の代わりに……/どんなことが起ころうと…」


ジョジョの奇妙な冒険 第4部 カラー版 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)

『ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない』荒木飛呂彦 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1992年4月~1995年11月)

 1999年、日本国M県S市杜王町(もりおうちょう)。高校生の東方丈助(ひがしかた・じょうすけ)は不思議な力を持っていた。彼は、かつてディオと闘ったジョセフ・ジョースターの隠し子。空条承太郎(くうじょう・じょうたろう)の年下の叔父にあたる。
 承太郎は、丈助に彼の血縁と財産の相続権について説明するため杜王町を訪れる。だが、彼にはもう1つ目的があった。何者かによって杜王町に危機が迫っている。それが何なのかを見極めることだ。
 スタンド使いはスタンド使いと惹かれ合う。その言葉をなぞるように、街には奇妙な出来事が頻発するようになる。丈助とスタンド使い達は、町を護るために行動を開始する。

町をめぐる冒険
 『ジョジョ』全パートの中でも異色作であろう。「冒険」という言葉には、何らかの形をとっての旅というニュアンスがあると思う。それ故に『ジョジョ』の1部から3部まで、また5部(第21夜)以降でも、何らかの旅という形を取っているが(最新の『ジョジョリオン』については後述)、本編だけはM県S市(恐らくは作者の出身地である宮城県仙台市)の杜王町という1つの町を舞台とし、その場所の特色や由来を掘り下げることで「冒険」たらしめている。
 異色なのはその点だけではない。日本国内を舞台としたことで立ち現れてくるミスマッチさだ。荒木飛呂彦の絵柄(というかセンス)は、海外的なものを多分に含んでいる。そのキャラクターデザインも立ち姿も欧州的なエレガントさを旨としているし、筋肉やスタンドの描き方はアメリカンコミックス的、台詞回しも洋画の吹き替えを髣髴とさせる。そうしたセンスそのままのアイロンパーマをかけて奇抜な制服姿の丈助や、3部から続投の承太郎が、杜王町にいるというミスマッチには、その違和感に快ささえ覚える。同じように、海外的なセンスを持ちながらも純日本的な環境で育った作者が描く日本家屋など“日本的なもの”の姿は、不思議な折衷具合をみせ、新鮮さに満ちていると云えるだろう。
 さらに、作者自身の故郷を舞台としたことで、作中から作者の郷土愛を感じられるという点も特異だ。物語に挿入される“杜王町名所案内”は、荒木飛呂彦による“世にも奇妙な地元紹介マップ”なのだ。それ以上に、杜王町を護る者たちの闘いは、そのまま郷土愛の表現なのだと思え、スタイリッシュさだけが印象として残っていた作者の別の顔を現しているようで嬉しくなる。

“無かったことにする力”と“何度でもぶつかって進む勇気”
 異色作とはいえ、シリーズが湛える正義というテーマについてはいささかのてらいもない。本編での最後の敵として立ちふさがるのは、自分に不都合な事象を“無かったことにする力”の使い手だ。狡猾で、なかなか尻尾を掴ませないが、いざ対峙することになれば、手段を問わずに排除にかかる冷酷さを兼ね備えるこの敵に、“治す力”を持つ丈助を中心としたスタンド使いたちは立ち向かう。
 それは、“無かったことにする”という甘ったれた思想に対する、起こったことが悲劇であろうともそれを受け入れ、更に前に進もうとする凛然たる勇気の挑戦とみなすことができる。どちらに分があるかは明らかだろう。が、どちらがより格好いいかもまた、明らかだ。
 そしてその勇気とは、別にスタンド使いだけが持っているものとは限らない。本作で最も勇敢だったと自分が思うのは、スタンド使いでも何でもない「11歳のちっぽけな少年」だ。彼の、そして丈助たちの勇気に、大いに熱中するだろう。
 本編と直接関係はないものの、作者が現在連載中の『ジョジョリオン』は、パラレル世界とも云える杜王町を舞台としている。本編と表裏一体を成すような物語となるのか、あるいはどこかで流れを違えていくのか、見守りたい。

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第69夜 人が挑む神との闘い、奇跡の前世代譚…『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話

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第66夜 裏世界に咲き誇る、逸脱者たちの毒花…『職業・殺し屋。

「ああ…なんて卑しい仕事なんだ…」 『職業・殺し屋。』西川秀明 作、白泉社『ヤングアニマル嵐』→『ヤングアニマル』掲載(2001年8月~2010年1月)  インターネットの奥底に存在するアングラサイト「職業・殺し屋。」。そこでは、依頼者が提示した金額から値段を下げ……

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第61夜 真摯に生きる生物の姿は時としてスプラッタだ…『寄生獣

「…………この前/人間のまねをして…………/鏡の前で大声で笑ってみた……/なかなか気分がよかったぞ……」 『寄生獣』岩明均 作、講談社『モーニングTHE OPEN』→『月刊アフタヌーン』掲載(1989年8月~1994年12月)  地球上の誰かがふと思った。「生物(……

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第59夜 真の自由を問いかける、古代の拳闘…『拳闘暗黒伝セスタス

「アップライトのベタ足/右拳は槍/左拳は盾/古代拳闘には体重(ウエイト)制も回戦(ラウンド)制も存在しない/採点(ポイント)制の判定など概念さえ無かった/時間無制限・完全(K・O)決着が唯一の掟(ルール)だ」 『拳闘暗黒伝セスタス』技来静也 作、白泉社『ヤングアニマ……

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第49夜 愛のため正義のため、少年達は神々に挑む…『聖闘士星矢

「いくぞ!!/地上の愛と正義のために!!/命と魂のすべてをそそぎ込んで!!/今こそ燃えろ黄金の小宇宙よ!!/この暗黒の世界に…/一条の光明を!!」 『聖闘士星矢』車田正美 作、集英社『週刊少年ジャンプ』→『Vジャンプ』(完結編のみ)掲載(1985年12月~1990年……

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第39夜 化物と人の野蛮な高貴さに酔いしれろ…『HELLSING

「私にとって日の光は大敵ではない/大嫌いなだけだ」 『HELLSING』平野耕太 作、少年画報社)『ヤングキングアワーズ』掲載(1997年5月~2008年9月)  大英帝国王立国教騎士団。通称ヘルシング機関は、永くイギリスと王室を怪物――ことに吸血鬼――から守護し……

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第35夜 目を逸らさず、歩みを止めないということ…『るろうに剣心

「剣は凶器 剣術は殺人術/どんな綺麗事やお題目を口にしても/それが真実――けれども拙者はそんな真実よりも、薫殿の言う甘っちょろい戯れ言の方が好きでござるよ」 『るろうに剣心』和月伸宏 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1994年4月~1999年9月)  明治初期……

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第30夜 霊とも敵とも共に歩む姿こそが強さ…『シャーマンキング

「そのなんでも知ってる“精霊の王”って奴と友達になれば!!/なんの苦労もしないで毎日のんびり楽に暮らせるんだろ…!!」「ドバカモン」 『シャーマンキング』武井宏之 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1998年7月~2004年10月)→完全版にて完結(2009年4月) ……

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第28夜 描かれた円の中は、少女の心を映す混沌…『魔方陣グルグル

「これからあたしたちいよいよ世界を冒険するのね!/あたし世界中の町を見てみたいな/いろんな人に会ったり楽しい事もいっぱい…/どんな世界が待っているのかしら……/……ゆうしゃさまムーンストーンをつかうのよ……」「何考えてんだよ/なんだよムーンストーンって」 『魔方陣グ……

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