100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

*

【一会】『進撃の巨人 15』……それは誰が為の“選択”か

進撃の巨人(15) (講談社コミックス)

 考えてみたら、作品そのものについて言及するのは初めてです、『進撃の巨人』。
 人類を脅かす強大な巨人が闊歩する“壁”の外と、母を殺され全ての巨人を駆逐せんと怒りに燃えるエレン・イェーガー、その幼馴染で卓越した戦闘能力を有すミカサ・アッカーマン、同じく幼馴染で体力的には劣りながらも切れ者のアルミン・アルレルトの3人を含む“兵団”や一般市民、王侯貴族の暮らす“壁の中”。
 当初は圧倒的な人類の敵に対して戦いを挑み続ける、悲愴さの中にも人間の誇りを謳ったダークファンタジーの体を成していた物語は、そのジャンル性を次々に拡張し、単純に絶望的な戦いを描くだけでない、巨人と人類をめぐる大きな秘密を追究していくものとなってきています。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『3月のライオン 10』……今ばかりは、“読み”は不要だ

 17歳の少年プロ棋士、桐山零(きりやま・れい)と、彼が独り暮らしをしている「六月町」(東京月島あたりがモデルと思われる)の対岸「三月町」に住むあかり・ひなた・モモの川本家3姉妹との交流を中心に、それぞれの家族の事情とか、個性的なプロ棋士たちの描写が興味深い本作『3月のラ……

thumbnail

第191夜 逆巻く風雪は、ふたりのために…『千年万年りんごの子』

「留まる力と/変わる力/それでも/すべてのものは無慈悲に終わる/小さな切欠によって/朝日/君だけが確かだ」 『千年万年りんごの子』田中相 作、講談社『ITAN』掲載(2011年12月~2014年2月)  1970(昭和45)年。一組の夫婦が誕生した。  東京の大……

thumbnail

【探訪】進撃の巨人展鑑賞記録…五感を以て感じる彼らの世界

 2014/12/01  漫事探訪

 11/28から3日間の先行公開日程を終え、今日12/1から一般公開前期日程(~12/31)が始まった、東京上野の上野の森美術館にさっそく行ってきた。  展示内は一部を除いて写真撮影可能だったので、写真を交えて感想を書き留めたい。  上野駅に降り立ったのは午前……

thumbnail

第190夜 海を渡った会津者たちの夢の果て…『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜』

「黄金を夢見た者も/故国で行き場をなくした者も/覚悟して海を渡りここに行きついた/ここで生きていくほかないのだ/異国で生きるとはそういう事だ」 『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜』夏目義徳 作、集英社『グランドジャンプ』→「GRAND JUMP WEB」掲……

thumbnail

【探訪】コミティア110参加記録…30周年の大盛況

 2014/11/23  漫事探訪

 1984年11月から数え満30周年となるコミティア110に、例によって行ってきたので書き留めておこう。  過去の記録は下のリンクから。 【探訪】コミティア109参加記録…ゆるゆると参加、嬉しい出会いも 【探訪】コミティア108参加記録…午前から参加は初めて 【探……

thumbnail

【一会】『新世紀エヴァンゲリオン 14(完)』……たなごころを、きみに

 超が付くメジャー作品の漫画版で、自分がここで語ることなどもはや無いようにも思うけれど、やっぱり直撃世代として、語りたいので語ります。『新世紀エヴァンゲリオン』、その漫画版の最終巻となる14巻です。  ちなみに通常版の発売はまだちょっと先(26日)です。自分は限定版(2……

thumbnail

【一会】『いぬやしき 2』……孤独と恍惚を抱え、戦う機能をイメージする

 刊行からはや1か月弱ということで、かなり出遅れた感がしますが、『いぬやしき』2巻について一くさり語ります。  会社でも家庭でも肩身の狭い、歳よりもかなり老けて見られる犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)58歳が、ふとしたアクシデントによって、自分の記憶や意識を保ったまま……

thumbnail

【一会】『ドリフターズ 4』……“武士”は、それと認めた相手の首をしか欲しがらない

 遅くなりましたが書きます。歴史上の英雄・豪傑たちがファンタジー世界で一堂に会し、地域も時代も越えて共闘あるいは対決するという、男子なら誰もが一度は妄想したことがあるだろうストーリーを、作者の前作(100夜100漫第39夜)同様の洋画チックな台詞回し&一線を超えたマッドネ……

thumbnail

第189夜 霊との日々、それが“少年”を了えさせる…『花田少年史』

「いいからちんちんしまえよ/いい大人が・・・・!/おばけだからってナニしてもいいと思ったら大間違いだぞ!」「へへへ―――/おいちゃんは裸がいち~~ばん好きなの!」 『花田少年史』一色まこと 作、講談社『ミスターマガジン』掲載(1993年9月~1995年8月)、のち『……

広告

広告