100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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第180夜 “内”で“外”で、立ち尽くす…『ハツカネズミの時間』

「感情ってさ/経験しないとよくわからないものだよね/小説や物語を読んで頭ではわかっていても/やっぱり よくわからないや」「……/例えばどんな?」「人を好きだと思う事とか……/同じ好きでもイロイロあるみたいだけど/どう違うのか俺には今ひとつ理解できないよ」


ハツカネズミの時間(1) (アフタヌーンKC)

ハツカネズミの時間冬目景 作、講談社『モーニング』→『月刊アフタヌーン』掲載(2004年7月~2008年3月)

 世間から隔絶され、一般人には知られることすらない私立蒼崚(そうりょう)学園。「優秀な人間を育てるために国が資金援助をして設立した」と云われるここでは、親元から離れた生徒達が寮生活をしていた。
 友人の室樹棗(むろき・なつめ)が脱走騒ぎを起こした直後、高等部の高野槙(たかの・まき)は、“外”から転入してきたという氷夏桐子(ひなつ・きりこ)に不思議な既視感を抱く。それを伝えた槙に桐子は告げる。それは錯覚ではなく、槙たち生徒は、学園が配布する薬によって、記憶を始めとした心身を操作されている、と。そして、かつてここにいた自分は、12年前にここから逃げ出し、いま連れ戻されてきたのだ、と。
 今度は一緒に逃げようと云う桐子に槙は戸惑うが、勘が鋭い新山椋(あらやま・りょう)、槙に仄かな好意を寄せる園倉茗(そのくら・めい)たち友人と共に、桐子の誘いに乗ることを決意する。脱出の手引きにやって来たのは、桐子の脱走時代に共に暮らしていた男、梛(ナギ)だった。
 学園の経営陣と浅からぬ因縁をもつ梛と、彼に複雑な感情を抱く桐子。初めての“外”に戸惑いながらも適応し始め、桐子への気持ちに困惑する槙。静かに強く槙を慕い続け、ついには行動にでる茗と、見守る涼。
 籠の内外で、それぞれの思いが募る中、学園にはカタストロフィが訪れようとしていた――。

(さらに…)

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【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?

 気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である『いぬやしき』1巻が刊行となりました。  事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりました……

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第179夜 夜明けを呼ぶのは、異能ではなく決意…『黎明のアルカナ』

「この力は奇跡なんかじゃないわ/だから私が/奇跡に変えてやるの」「私の命は/あなたのもの/ナカバ様の心のままに」「ありがとう/ロキ」 『黎明のアルカナ』藤間麗 作、小学館『Cheese!』掲載(2009年1月~2013年6月)  人と、半獣半人の種族、亜人が暮らす……

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【一会】『Spotted Flower 1』……ヘタレヲタ夫とカタギ強気妻の「そんな未来」

 刊行からだいぶ経って(1か月ちょっと?)しまいましたが、自分的にはつい先日やっと読んだのでここに書きます。『Spotted Flower』の第1巻ですね。  木尾士目先生と云えば、やはり『げんしけん』(100夜100漫第3夜)が有名ですが、その後の『ぢごぷり』での、育……

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第178夜 奇抜さをうっちゃる相撲魂…『大相撲SF超伝奇 五大湖フルバースト』

「この技のキレ……………/そして この土俵さばき!!/もはや間違いありません!!/遂に!!/ついに…/還って来たッッ(カム・バック)!!!/デトロイトの英雄が/全米相撲の聖地に/ご帰還だ――――ッ(カム・バ――――ック)!!!」 『大相撲SF超伝奇 五大湖フルバース……

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第177夜 磁気仕掛けな少女の憧憬と、少年たちの惑い…『電影少女』

「ちょっ/ちょっと/キミはなに者なのかちゃんと説明してよ!」「ん/「ビデオガール」だってば/キミをなぐさめるために出てきたの/ビデオの中でもそう言ったろ」「そーいうことじゃなくてさ」「いいじゃね――か/どういう事だって/こまかいんだよおまえ!」 『電影少女』桂正和 ……

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【一会】『月光条例 29(完)』……そして、物語は円環する

 「ヒジョーにメイワクな話をしよう」から始まった、おとぎ話(というか全ての物語)を巻き込んだ、ある意味で傲岸不遜、ある意味では史上最後の物語『月光条例』も、遂に語り終えられる時が来ました。最終巻だけに、頭の中を整理してから書きたいことも色々ありますが、あまり時間をおくのも……

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【一会】『おるたな 宇河弘樹短編集Ⅱ』……三味線と、硝子の靴と、ピー○君

 作者の代表作『朝霧の巫女』(100夜100漫第56夜)の外伝(というか自己パロディ?)が収録されている、というのが恐らく一番の話題であろう短編集『おるたな 宇河弘樹短編集Ⅱ』が発売されました。「~短編集Ⅱ」とされているのは、2000年に出た『妖の寄る家』が短編集……

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【一会】『せっかち伯爵と時間どろぼう 2』……ネタと時間移動の振幅

 最近、当ブログへやってくる方の検索ワードでとみに増えている『せっかち伯爵と時間どろぼう』の2巻が刊行となりました。  「※ギャグ漫画です。」という帯が逆に意味深に思えたりもしますが、2巻の内容としてはその通りかと思います。この漫画に限らず、1巻は物語の導入として、どう……

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第176夜 夢現と血まみれの刃の向こう、優しさの咲く…『竹光侍』

「要するに、今の某(それがし)に刀は無用。」「大事な子を一人忘れておいでだよ、お前様」「ん……/見慣れぬ子だな……」「覗いてごらんな、ふふふふふ…」 『竹光侍』永福一成 原作、松本大洋 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(2006年8月~2010年3月) ……

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