【探訪】進撃の巨人展鑑賞記録…五感を以て感じる彼らの世界
2014/12/16
11/28から3日間の先行公開日程を終え、今日12/1から一般公開前期日程(~12/31)が始まった、東京上野の上野の森美術館にさっそく行ってきた。
展示内は一部を除いて写真撮影可能だったので、写真を交えて感想を書き留めたい。
上野駅に降り立ったのは午前11時過ぎ。今展は入場時間が指定されており、この日の初回(10:00~)を予約したのだが、見事に寝坊してしまった。最終入場時間(この回だと11:30)までに入場すればいいので、ギリギリ間に合ったことになる。とはいえ、もうちょっとしっかりと計画を立てないとダメである。。
上野駅公園口改札を出て、左に進むと3分ほどで上野の森美術館だ。
ちなみに持参した前売りチケットにはリヴァイ兵長が。当日券もあるが、数が少ないし余計に並ぶことになるので、やはり前売り券を用意しておきたい。前売り券は全国のローソンやミニストップ設置のLoppiか、電話、ネットで購入できる。詳しくは公式サイトを参照してほしい。
平日だし雨天だし、すんなり入れるかな…、と思いきや、そうはいかなかった。とはいえ、週末に比べたら大した行列でもない。30分程の待機で中に入ることができた。
ちなみにツアー音声ガイドも付けてみた。携帯電話のような端末に数字を打ち込むと、展示ごとに登場人物たちが説明してくれるというもの。前売りでガイドのあり・なしを選べるが、800円で当日でも付けられるようだった(確かめたわけではないので、確証はなし)。
ガイドで喋ってくれるのは、エレン、ミカサ、アルミン、リヴァイ、ハンジの5人。1~16の数字を入れると聞ける通常プログラムと、秘密の番号を押すと聞けるシークレットプログラムが3つあった。シークレットとはいえ、作品に親しんでいれば容易なものばかり。ズバリ書くのも野暮なのでヒントだけ書いておくと、エレンたちの代の訓練兵団は何期か、物語が始まった年号、兵長の誕生日、である。
館内に入ると、そこは作品世界の中。ウォール・トウキョウの紋章が雰囲気を醸し出す。
いきなり全身体感シアターによるオープニングで度胆を抜かれたところで、展示を観て回る。
展示は幾つかのセクションに分かれており、全セクションを通じて、諫山先生の原画が展示されている。幾つかの原画には、先生によるコメントが付されている。
結構コミカルなコメントも多く、原画と見比べて楽しめる。しかしシャボン玉とは…。
『進撃の巨人』のルーツを探るセクションでは、諫山先生の脳内でイメージを醸成することとなった作品なども展示されていた。更に先生の作業風景を机上に投影するという展示も。すぐそこで先生が作業しているようで、誠に不思議。
先生が子どもの頃に描いたものまで展示されていた。この高校時代の書道作品「小腸」の書体には、『進撃の巨人』でたまに見せるカリグラフィ風な飾り文字に通じるものがあると思う。
先生19歳の頃の『進撃の巨人』プロトタイプの原稿も。「人類駆逐計画」という設定が記載されている。「駆逐」という言葉が先生の中でキーワードだったのかもしれない。
エレンがトロスト区を奪還するシーンを、音と光による演出で表現した展示。アニメーションとは別の方向性で、漫画に動きと音をもたらしている、と云える気もする。
壁一面を使って、調査兵団志願者たちの表情を見せる展示。言葉と表情の呼応が素晴らしい。漫画通りなんだけど、漫画とはまた違った味があるのが不思議だ。
その先が階段になっていたので意図が分かった。例のシーンで階段を降りるのをためらうアニを表現しているのだ。
アイテム系の展示もあった。エレンの家の地下室とその鍵、ミカサのマフラー。マフラーには触れることもでき、結構ごわごわとした質感だった。
さらに、サシャが分けた芋なんかもあった。他にイルゼの手帳やリヴァイのブレード、立体起動装置なども。
別のセクションでは巨大な超大型巨人のフィギュアも。
小さな子が傍に居たのだが、他ではしゃいでいた彼らもここでは「怖い…」と足早に去っていった。確かに突き出した手の圧迫感がすごい。
展示の末尾の方では以前発表された、いろいろな作家陣による『進撃の巨人』イラストの展示が。併せて、『進撃の巨人』をテーマにした現代美術作品も幾つか並んでいた。
展示を抜けると、兵団購買部(物販コーナー)が。列が途切れず、かなりの盛況ぶりだった。
音声ガイドを返却し、外へ。記念写真を撮るなら、このタイミングがいいかもしれない。
ちなみに入館してしまえば退出時間は無制限だ。とはいえ、かかる時間はじっくり見ても1時間強といったところだろうか。
そのまま併催の360°体感シアター“哮”(こう)へ。これは、トロスト区奪還戦を、一兵士になって体感できるというもの。進撃の巨人展のチケットを持っていることが前提で、別途600円で視聴できる。自分が並んだ時の待ち時間は30分ほど。
VRヘッドマウントディスプレー(VRHMD)の『Oculus Rift』とヘッドホンを併用して、まさに仮想現実にダイブできるという仕掛けになっている。が、乗り物酔いしやすい人などはやはり気持ち悪くなる可能性があるらしい。
自分は全然平気で楽しむことができた。5分程度の映像だが、立体機動装置で空を駆ける感じとか、すぐそこでミカサやアルミンが話している感じとか、巨人の大きさの絶望感とか、かなりの驚きをもって視聴した。
ちなみに、眼鏡をかけたままVRHMDを付けるのは非推奨(貰ったパンフには可能と書いてはあるけど)なので、コンタクトレンズも使える人はそちらにしておこう。自分は眼鏡しかない人なので、仕方なしに眼鏡を外してVRHMDを付けたが、自分程度の視力(軽い乱視ありの近視、裸眼で両目0.1程度)であれば、さして支障はないように思った。
満喫して、美術館を後にする時に振り返ると、入る前よりも列が伸びているようだった。どうしても時間が押してしまうことが多いので、やはり平日でも早い時間が狙い目かもしれない。
漫画の展示というとやはり静的なものと考えがちだが、今展は演劇的要素や映像的要素を差し挟んだり、平面でなく空間的な展示を試みることで動的な印象を作り出していると思った。触感や空間認識といった五感をもって、エレンや巨人たちの世界を感じることができる展示とも云えるだろう。
それと、撮影不可だったので写真はないが、今後の鍵を握る男のビジュアルも初公開されていたことは特筆すべきだろう。まだ謎が山積みの本編の情報が得られるという意味でも、今展は意義深いものと思う。
なお、年明け後に一般公開後期日程(2015/1/1~1/25)も予定されている。展示内容の換装などがあるかは今のところ分からないが、その間も無休で公開されているので、年末年始の予定に入れてみるのもいいだろう。