漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 悲壮 」 一覧

【一会】『いぬやしき 7』……殺戮のさなか、再びの邂逅

いぬやしき(7)【電子限定おまけ付き】 (イブニングコミックス)

 エイリアンと思しき存在が引き起こしたアクシデントにより、人智を超えたスペックのアンドロイドとなってしまった初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と、高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)。彼らの活躍あるいは暴走を描いた『いぬやしき』の、前巻の予告からして嫌な予感しかしない7巻が8月下旬に刊行されました。だいぶ時間が経ってしまいましたが概要と感想を記します。

 今巻は、日本全体に対して宣戦布告した皓の力によって引き起こされるパニックの様子がメインといえるでしょう。「宣戦布告」という言葉は、戦争状態に入るという宣言ですが、皓の能力が現在の地球人類のそれを大きく上回っていますので、繰り広げられるのは戦争ですらない、一方的な虐殺に他なりません。
 皓がとった攻撃手段は、電波でした。原理は不明ですが、まずは新宿周辺を中心とした地域に、スマホを介して所持者を殺傷する力が猛威を振るいます。当然、被害は拡大していきます。某フリーアナウンサーを思わせるミヤノも、その攻撃対象から逃れることはできません。
 皓の幼馴染ながら壱郎に協力する安堂直行(あんどう・なおゆき)の機転により、スマホを介しての虐殺は一応、防御されることになりますが、それで終わるはずもなく。すぐさま次の一手を打って、皓は明日から1日に1000人を殺す、と何だか日本神話のイザナミのようなことを云い放ちます。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『七つの大罪 22』……世界を覆う、そのものの名は絶望

 つい先日21巻について書いた『七つの大罪』ですが、早くも一昨日に22巻が刊行となりました(自分が読むのが遅かっただけですが)。珍しく早めに読みましたので、レビュー&思ったことを書きたいと思います。  その前に、恒例の限定版付録ですが、今回はミニキャラが描かれたペットボ……

thumbnail

【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 3』……その過去に、戦慄と涙

 戦後まもなくソ連に占領され、共産主義が台頭したパラレルな日本を舞台に、擬人化された猫たちによる遊侠活劇を描いた『猫瞽女―ネコゴゼ―』。盲目の女芸能者・瞽女(ごぜ)にして三味線に仕込んだ暗殺剣の達人でもある夜梅(ようめ)と、ロシア正教に由来すると思われる“機密”により対象……

thumbnail

【一会】『ベルセルク 38』……“白”と“光”は、似ているようで違う

 現在連載中の漫画では、最高峰のダークファンタジーに数えられる三浦健太郎氏『ベルセルク』の3年ぶりとなる新刊38巻が、先月発刊されました。いくぶん中途半端ではありますが、今巻から言及したいと思います。  長大にして未だ道半ばの物語を要約するのは困難ですが、黒い剣士ガッツ……

thumbnail

【一会】『いぬやしき 6』……地上で、宇宙で、迫る破滅の時

 エイリアンと思しき存在による事故に巻き込まれたため、超ハイスペックなアンドロイドとなってしまった初老の会社員・犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)。銃をものともしない戦闘能力と、難病すら完治させる治療能力を有する彼らそれぞれの、“生きて……

thumbnail

【一会】『進撃の巨人 19』……“壁”の内外、覚悟の対比

 予定通り今月8日に『進撃の巨人』19巻が刊行となりました。遅れ馳せですが概要と感想を書き留めていきます。  ちなみに、今巻の限定版の付録は全52枚のポストカードです。特に新規描き下ろしは無いようですが、これまでの単行本や月マガの表紙イラストはもちろん、『FRaU』『ミ……

thumbnail

【一会】『Pumpkin Scissors 20』……蜈蚣のように殺し、厳として屠る

 “帝国”とフロスト共和国の戦争によって生じた「戦災」への対処を旨とする帝国陸軍情報部第3課、通称「パンプキン・シザーズ」。“お祭り部隊”と揶揄される課にあって、真の戦災復興と正義とは何かを問い続ける貴族出身のアリス・L・マルヴィン少尉と、特殊部隊群「不可視の9番(インヴ……

thumbnail

第206夜 それはまるで天鵞絨のような悪…『校舎のうらには天使が埋められている』

「ようこそ/4年2組へ/ずぅ――――っとなかよしでいようね」 『校舎のうらには天使が埋められている』小山鹿梨子 作、講談社『別冊フレンド』掲載(2011年8月~2013年5月[本編]、同12月~2014年4月[後日譚〈触〉編])  赤ヶ瀬小学校4年2組に転校してき……

thumbnail

【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 2』……温泉地の勝負の行方はロシア式

 巫女に次いで猫耳という、ある意味で近年のヲタク界隈の要求を飲み込んだ上で、見事に渋み溢れる作品世界を描き出す宇河弘樹先生の『猫瞽女―ネコゴゼ―』第2巻が先日刊行されました。  描かれるのはパラレルな195X年。戦争に勝利したソ連によって支配され「日本自治ソビエト社会主……

thumbnail

【一会】『いぬやしき 5』……それは、果たして贖罪なのか

 地球外生命体らしき存在たちの事故に巻き込まれ、現在の人類には不可能な能力を付与されたアンドロイドとして復活した、初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)の、それぞれの“生きている感じ”をめぐる活躍と殺戮を描く『いぬやしき』。先月後半に……

広告

広告