100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

*

「 ピカレスク 」 一覧

第206夜 それはまるで天鵞絨のような悪…『校舎のうらには天使が埋められている』

「ようこそ/4年2組へ/ずぅ――――っとなかよしでいようね」


校舎のうらには天使が埋められている(1) (講談社コミックス別冊フレンド)

校舎のうらには天使が埋められている小山鹿梨子 作、講談社『別冊フレンド』掲載(2011年8月~2013年5月[本編]、同12月~2014年4月[後日譚〈触〉編])

 赤ヶ瀬小学校4年2組に転校してきた後堂理花(うしろどう・りか)は、内気な性格から周囲に打ち解けられず悩む。そんな彼女に手を差し伸べたのは、美しく優しげな蜂屋あい(はちや・――)だった。
 しかし、理花の安堵は束の間だった。4年2組は、“女王”のように君臨する1人の児童のもとに統制され、「わんこ」とされた者は級友のほぼ全員から苛烈ないじめを受けることとなる恐怖のクラスだったのだ。前の「わんこ」は、夏休み前に校舎から転落死した少女、曽良野まりあ(そらの・――)。彼女の代わりとして、今また新たな「わんこ」が生まれた。
 そんなクラスの状態に、浜上優(はまがみ・ゆう)など内心反感を持つ者もいた。しかし“女王”の粛清は容赦なく、担任や、違和感を抱いた他クラスの教師たちもみな、あしらわれてしまう。“女王”の支配に屈せぬ者はいなかった。ただ1人、「死神」呼ばわりされる黒髪の少女、光本菜々芽(みつもと・ななめ)を除いては。
 小さな友情から、ついに“女王”との対決を決意する菜々芽。合唱コンクール、野外学習、美術館での写生実習。命すら狙われながらも菜々芽の、そして彼女に呼応した児童の戦いは続く。“女王”の君臨する意図とは、何だったのか。
 3年後、名門と云われる月見ヶ峰学園中等部に、菜々芽と優は進学していた。ここでも繰り返される“女王”とその支配によるいじめ。そして、同時に街で頻発する覆面集団による中高生カップルへの暴行「リア充狩り」。かつてと同じく対決しようとする菜々芽だが、事態は思わぬ方向に傾いていく。罪を着せられた彼女と4年2組時代のクラスメイト達が辿り着いた真実とは――。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

第188夜 独りで穏やかに生きていける、つもりだった…『ヒミズ』

「ねぇ・・・・何かないの? ・・・・有名になりたいとか/お金持ちになりたいとか・・・・若者らしいフレッシュなヤツは」「ないね」「オレはモグラのようにひっそりと暮らすんだ・・・・・・・・」 『ヒミズ』古谷実 作、講談社『ヤングマガジン』掲載(2001年1月~2002年……

thumbnail

第132夜 謎と人を愛す、食いしん坊ふたり…『魔人探偵脳噛ネウロ』

「…………ねぇネウロ」「何だ」「難しいね/人間って」「フハハハハ/何を突然我が輩のようなセリフを」 『魔人探偵脳噛ネウロ』松井優征 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(2005年2月~2009年4月)  女子高生、桂木弥子(かつらぎ・やこ)の日常は突如壊された。父……

thumbnail

第95夜 野望を貫き、護ることこそが悪の流儀…『はじめてのあく』

「悪の組織が世界を獲ろうとする理由――わかるか来栖?」 『はじめてのあく』藤木俊 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(2009年1月~2012年5月)  神奈川県の藤沢で暮らす高校生、渡キョーコ(わたり・――)は、ある朝とつぜん体の自由を奪われる。従兄弟の阿久野ジ……

thumbnail

第78夜 戦後復興期の日本が牌に映る…『哲也-雀聖と呼ばれた男-』

「…そうさ/俺達は汚ねえ世界にいるんだ/だけど俺達 玄人は/ここでしか生きられねえのさ…/なァ…/房州さん…」 『哲也-雀聖と呼ばれた男-』さいふうめい 原案、星野泰視 作、講談社『週刊少年マガジン』掲載(1997年33号月~2004年12月)  太平洋戦争での日……

thumbnail

第41夜 豪華で特濃。中華をめぐる仁義なき戦い…『鉄鍋のジャン!』

「料理は勝負だ! 勝てばいいんだ!! 」 『鉄鍋のジャン!』西条真二 作、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(1994年12月~2000年3月)  国内最高峰といわれる東京銀座の五番町飯店に、謎の挑戦者がやってきた。飯店のものよりも美味しい炒飯を手際よく作った、……

広告

広告