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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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第138夜 2人の日々は、あのスイングとともに…『坂道のアポロン』

「んふっ/相棒?/いやですよこんなの」「最高じゃないか/一緒にバカやれる友達なんて/大事にしろよ/恋愛と違って/友情ってのは一生もんだからな」


坂道のアポロン (1) (フラワーコミックス)

坂道のアポロン小玉ユキ 作、小学館『flowers』掲載(2007年9月~2012年7月)

 船乗りである父の仕事の都合のため、神奈川県の横須賀から長崎県の佐世保にある伯父の家へとやってきた西見薫(にしみ・かおる)。同じように住む街を転々としてきた彼の胸中は、倦怠で満たされていた。しかし、転校先の佐世保東高校での“ふだ付きの不良”川渕千太郎(かわぶち・せんたろう)との出会いにより、全ては変わっていく。
 クラシックピアノをたしなむ薫は、千太郎の幼馴染・迎律子(むかえ・りつこ)に誘われ、レコード店を営む彼女の家を訪れる。そこで見たのは、ジャズドラムを叩く千太郎の姿だった。喧嘩っ早く、バンカラ気風な普段の千太郎とはかけ離れた、その生き生きとした姿に触れ、ジャズピアノにのめり込んでいく薫。
 薫と千太郎。それぞれ家庭に複雑な事情をもった2人を中心に、律子、上級生の深堀百合香(ふかほり・ゆりか)、トランペットを吹く大学生の桂木淳一(かつらぎ・じゅんいち)たちによる、ジャズと祈り、恋と友情の日々は紡がれていく。
 時に1966年。パソコンもケータイも、コンビニすら無かった時代の、坂の街の物語。

(さらに…)

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第136夜 エイリアンたちと、黒く楽しく異文化交流…『レベルE』

「現在 地球には数百種類の異星人が飛来している/気づいていないのは地球人だけなのだ/彼らの目的は様々で 国家レベルの策略から個人レベルの研究・犯罪まで多岐にわたる/なかには/何のために地球に来たか忘れてしまった奴も いるだろう」 『レベルE』富樫義博 作、集英社『週……

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第121夜 舞台で融け合う笑いと真剣のエチュード…『犬神もっこす』

「…1か0かなんですね/でも/その間にも割り切れない多くの感情が広がっているって思いませんか/1と0の間に広がる/感情の豊穣の/海……」 『犬神もっこす』西餅 作、講談社『モーニング』掲載(2011年10月~2013年2月)  幼い頃から喜怒哀楽の感情が表に出ず、……

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第55夜 控え目な瞳が映す、国際都市の温もりと傷跡…『神戸在住』

「――神戸より。」 『神戸在住』木村紺 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(1998年9月~2006年3月)  辰木桂(たつき・かつら)は神戸の大学に通う美術科生。父の仕事の都合で東京から引っ越してきた、昔の洋楽と文庫本を愛する真面目で小柄な女の子だ。  大学の……

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