漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 地域 」 一覧

第175夜 水面に映る明朗快活…『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』

「ここで泳ぐ意味ないことないよ/レベルとか/そんなこと言っちゃダメだよ/ここではみーーんな/楽しいから泳いでるんだよ」


ケンコー全裸系水泳部 ウミショー(1) (少年マガジンコミックス)

ケンコー全裸系水泳部ウミショーはっとりみつる 作、講談社『週刊少年マガジン』掲載(2005年7月~2008年4月)

 “ウミショー”こと県立海猫(うみねこ)商業高等学校は、神奈川県海猫市の緒ノ島(おのしま)にある商業高校。そのウミショーの2年生で、水泳部の数少ない男子部員の1人、沖浦要(おきうら・かなめ)は、膝より深い水に入ると人魚の幻影が見えて泳げないためにマネージャーを務めている。
 5月のある暑い日、後輩部員のマキオこと生田蒔輝(いくた・まき)から、緒ノ島の海岸に家のような物体が流れ着いたことを知らされ野次馬に向かった要たちは、そこで家付きの筏と、そこから出てきた父娘に出会う。大胆にして天真爛漫、人魚のような泳ぎをみせる少女の名は蜷川あむろ(にながわ・——)。はるばる沖縄から筏で緒ノ島にやってきた彼女は、ウミショーへの転校生だという。
 まさに魚のような泳ぎを見せるあむろは水泳部に入部し、その泳ぎと不思議な魅力で部のムードメーカーになっていく。とはいえ、部長のくせに露出癖があって剃毛マニア気味でもあるイカマサこと碇矢雅(いかりや・まさ)を筆頭に、あむろを迎えるウミショー水泳部メンバーも個性派ばかり。
 副部長でS気味な織塚桃子(おりづか・ももこ)、淑やかなお嬢様なのに下着と妄想が過激な2年生の静岡みれい(しずおか・——)、同じく2年で弓道もたしなむ凛然系美人の姫川佳織(ひめかわ・かおり)、人気モデルにして背泳の実力派だけど小生意気な1年生の魚々戸真綾(ななこ・まあや)——。元気印な女子達に、ひたすらエロを探求する武田聖斗(たけだ・せいと)たち少数派の男子も混ざり、毎度ドタバタ騒動を繰り広げながらもインターハイや関東大会に青春をかけるウミショー水泳部なのだった。
 そんな騒がしい日々の中、要はあむろの様々な面に触れ、次第に惹かれていく。それはいつしか、要がトラウマを克服し再び泳ごうとする気持ちに繋がろうとしていた。

(さらに…)

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第174夜 現代に咲く古式ゆかしい心地よさ…『チマちゃんの和箪笥』

「名前って……/私は和久井朝子ですが」「じゃあよく聞いて/朝子さん/朝子さんが この道を望んでるんじゃなくて/朝子さんの中の童(わらべ)が この道を望んでるの/その童が入部したのよ/敬意をはらって命名させてもらったわ」 『チマちゃんの和箪笥』佐野未央子 作、集英社『……

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第172夜 不気味で偉大な、その図形から逃げられない…『うずまき』

「最近オレ、この町がいやでしょうがないんだ。/この町にいたらどうにかなっちまうぜ。」「どうして?」「どうしてって…君は何も感じないのか?/オレは昼間、この町を離れているからよけいに感じる…/この町の駅のホームに降りたつたびにめまいを覚える…/この町はオレを幻惑しようとしている…!……

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第165夜 かつてこの国が経験した、凄絶な季節に…『夏のあらし!』

「それでも/夏の間だけでも/生きて再びこの世界に居られることを感謝したいわ/だから精一杯/楽しく生きるわ/命短し/恋せよ乙女/紅き唇/褪せぬ間に…ってね/生きてるあなたは/恋をしなよ!」 『夏のあらし!』小林尽 作、スクウェア・エニックス『月刊ガンガンウイング』→『……

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第164夜 10代は背伸びし、20代は首をすくめる…『たまりば』

「なんでハルオもまたアイス買ってんの?/さっき食べたじゃん」「オトナは1日にアイス2本食べてもいいんだよ」「いいなぁ〜/オトナ……」「そうでもねーよ」 『たまりば』しおやてるこ 作、エンターブレイン『Fellows!』掲載(2008年10月~2012年2月)  「……

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第159夜 ともあれ、二人、生きていくのだ…『娚(おとこ)の一生』

「……私は……昔…」「もうええわ/君の過去のなんのは/つまらん/幸せの話をすると君は下を向くんや/過去には戻れへんのに/どうして目の前のぼくを見いひんのや?」 『娚の一生』西炯子 作、小学館『月刊フラワーズ』→『フラワーズ増刊 凛花』(スピンオフ)掲載(2008年7……

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第157夜 芸術も友情も、無条件だからいい…『ぼくらのフンカ祭』

「なあ…/オレ多分、一生忘れねーわ。/この光景。/ありがとな桜島。/オレをさそってくれて。」 『ぼくらのフンカ祭』真造圭伍 作、小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』掲載(2012年3月~同7月)  地元の東金松(かねまつ)高校に入学した富山剛士(とやま・たけし)……

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第153夜 全ては、街の中で過ぎていく…『今日も渋谷のはじっこで』

「わたしはちょっと東京に染まりすぎたのかな/戻れないんだよ/わたしはもう/きっと/地元の習慣は合わない/……/いいね/きみにはまだ/帰れるところがある/夏休みが終われば帰れるんでしょ/わたしには/終わりなんてないけど」 『今日も渋谷のはじっこで』平尾アウリ 作、祥伝……

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【一会】『乙嫁語り 6』……戦う男と幕を引く婆

 もう発売から1週間が経ってしまったけど、読んだので森薫『乙嫁語り』6巻について。  だんだんと成長していくカルルクは、妻のアミルがいつまでも子ども扱いするのが気に入らない。アミルはカルルクを心配するからこそ、新しい服にもお守りの刺繍を施そうとするのに。家族の間で刺……

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第140夜 ただ走れ! 働く人と自分のために…『ダンダリン一〇一』

 2014/01/15  100夜100漫, ,

「ん…そろそろ逮捕の執行に向かうぞ!!」「!!」「警察では被疑者逮捕の手柄は手錠をかけた者のものだそうだ/ここは段田さんに譲ろう」「本当ですか!?」「え!?/段田はこれでも女ですで!?/万一被疑者から凶悪な抵抗を受けたら…」「凶悪な抵抗を受けたらなんなんですか?/私は…/監督官で……

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