前巻からやはり3か月で刊行となった『白暮のクロニクル』第3巻。今巻は、日付の入ったやや唐突な導入から。その夜、岐阜県矢尻沢(やじりさわ)集落で、ある終結を見た事件の発端へと、話は遡ります。 全国で“オキナガ”の失踪(というか転出届を出さない引越し?)が続出し、主人公……
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【一会】『まるせい 2』……真摯にエロスを追い求めるということ
成年漫画に青春をかける、作者の経験(色々な意味で)と創作を混濁させて生み出された青年、花比野Q一朗(はなびの・キューいちろう)の物語『まるせい』も、無事2巻の刊行を迎えました。前巻の最終盤で大変かわいそうなことになったQ一朗ですが、どうにか持ち直して仕事(成年漫画の執筆)を進めつつ、やっぱりあの女性この女性と桃色なことになったりしております。桃色なだけでなく、とある電撃的な生活の変化とその余りにも短い終結もあったりして、妙に疾走感のある作風に仕上がっているのも、なにやら魅力的だったり。
元アシスタントの下丸子まるこ(しもまるこ・――)、元彼女で現アシスタントの麻生朋絵(あそう・ともえ)、編集者の吉永櫻子(よしなが・さくらこ)に新担当の市岡愛未(いちおか・あいみ)といったQ一朗の周囲の女性たち(およびQ一朗氏との関係)が創作なのかノンフィクションなのか、幻惑された自分は1巻について書いた時に思わず取り乱したものですが、今巻のあとがき漫画によれば創作とのこと。ただし、やっぱりモデルは存在するようで、現実に存在する人を元にしたキャラクターを脱がせたりカラませていいのか、という辺りに、先生もそれなりに困惑というか呻吟というか、されているのが新鮮に思えます。
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第183夜 その苦界を愛した男の、稚気と危機と機知…『じょなめけ』
「癖かな……」「癖?」「俺ぁ子供の頃から茶屋で働いて/客が望むものをまず考えろとたたきこまれて育った/そういうのはもう抜けねぇよ/ずっと裏方でやってきたんだ/“板元”って稼業は世の中全部を客にした茶屋さ/だから俺はやれば最高の板元に……/日本一の裏方になる自信があるんだ」 ……
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【一会】『白暮のクロニクル 2』……“オキナガ”たちの日常的な悔恨
早いものでもう『白暮のクロニクル』の2巻が出ました(出たのはGW前の4/30ですが)。とはいえ1巻から3か月経ってますので、週刊連載としては普通のペースですかね。 さて、今巻で描かれた要素は、羊殺しの犯人は誰か…という話は置いておいて、大きく云うと2つかと。不死であ……
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【一会】『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 1』……収束はしてない。だから働いてます
GWも後半、いかがお過ごしでしょうか。 昨日は憲法記念日でしたね。だからというわけではありませんが、今日は社会派(?)なこの漫画、竜田一人先生の『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』を。 9.11にまつわる漫画はこれまでも結構な数が出版されているかと(商業……
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第173夜 その軽さに隠された、真摯な心と苦い過去…『ガキ教室』
「あの…先生/何か変なことおっしゃってません?」「大人の事情ってヤツでさぁ…/ガキ嫌いだけど教師やらねーとオレ ガチヤバイんだよ!!/だからお前ら…/ぜーーったいオレに面倒かけんなよ!!/な!」 『ガキ教室』小沢としお 作、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(20……
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第167夜 誰もが旅人で、だから帰る処が必要だ…『ホテルポパン』
「客室は10/でも1日に予約をいれるのは8組まで/夫婦かカップル/女性同士のみ/そんなんでもやっていけた時代の話だ」 『ホテルポパン』有間しのぶ作、竹書房『まんがくらぶ』掲載2003年12月~2008年11月)+書き下ろし スキー客すら寄り付かない山奥に建つ小さ……
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第163夜 菌と人間、遠いけれども楽しい学びの道…『もやしもん』
「この学校はスゴいよ/いろんな人がいろんな意志で支えあってみんなで遊んでるんだね」 『もやしもん』石川雅之 作、講談社『イブニング』→同『月刊モーニングtwo』掲載(2004年7月~2014年1月) この春、晴れて東京の某農業大学(これが正式名称)に入学した沢木……
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第159夜 ともあれ、二人、生きていくのだ…『娚(おとこ)の一生』
「……私は……昔…」「もうええわ/君の過去のなんのは/つまらん/幸せの話をすると君は下を向くんや/過去には戻れへんのに/どうして目の前のぼくを見いひんのや?」 『娚の一生』西炯子 作、小学館『月刊フラワーズ』→『フラワーズ増刊 凛花』(スピンオフ)掲載(2008年7……