100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

*

「 バトル 」 一覧

【一会】『進撃の巨人 24』……あの時、君が思っていたのは

進撃の巨人(24) (講談社コミックス)

 巨人化する力を持つ“ユミルの民”を擁するエルディア人と、その力を軍事的に利用してきたマーレ、彼らが勢力を維持するために壊滅を狙うパラディ島壁内のエルディア人。そんな構図を成す“物語を規定していた「壁」の外側”から、これまでの戦いが再記述されている『進撃の巨人』。昨年12月刊行の24巻について書きたいと思います。

 前巻で戦いから帰還したエルディア人戦士隊のライナーやジーク、ガビたち戦士候補生ですが、短い休息を経て、早くも再度の召集が。彼らが本部に集まっていくところから物語は始まります。
 前巻では何も考えていなさそうに見えたガビですが、ライナーの従姉妹でもある彼女は、ライナーに対して思うところがある様子。相変わらず、彼女に対するファルコの気持ちは一方通行気味のようではありますが。
 本部に戻ったエルディア人戦士隊の面々は、珍しくマーレ人抜きの場で打ち合わせに臨みます。
 通常兵器の発展は巨人を凌駕しつつあり、巨人の戦力に依存しているマーレは相対的に弱体化していくことになる。このままいけば、エルディア人を敵視する各国は一気にその生存権を脅かすだろう。戦士長ジークはそう云います。
 彼が提示する解決策は、従来通りパラディ島の攻略による「始祖の巨人」奪還と資源確保。その前振りとして、パラディ島の脅威を強調して世界に印象付けることが必要と考えているようです。
 このパラディ島の脅威を説明する語り手を引き受けてくれる者として、ジークが挙げた一族の名は、タイバー家。「戦槌の巨人」の力を有し、100年前の巨人大戦では最初にフリッツ王に反旗を翻した貴族です。
 そのタイバー家が、各国要人や記者を招いた場でパラディ島制圧を宣言するという「祭事」を、レベリオ収容区で行うとのこと。その運営や警備が、エルディア人戦士隊が従事する次の作戦ということになるでしょう。マーレ人が居ない場で打ち合わせを行ったのは、戦士隊の中に思想的に問題がある者がいないかを確認するため。もっとも、その意図はエルディア人側にも筒抜けだったようですが。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『進撃の巨人 23』……遠く離れた壁の内側で

 巨人から逃れ壁の中で生き延びた人類が、その存亡をかけて、壁外から襲い来る巨人と戦う。そんな当初の前提から、大きく変容した世界の構図が明るみに出た『進撃の巨人』。  既に今月25巻が刊行されていますが、プレイバック的な意味合いも含めて、過日の22巻に続き23巻から読んで……

thumbnail

【一会】『双亡亭壊すべし 7』……2つの再会と、2つの遭遇

 地上の悪意と遙か彼方からの悪意。双方が絡み合って建立されたかのような奇妙な館〈双亡亭〉をめぐり、総理が、能力者たちが、異星からの帰還者が、父を亡くした子どもが、そして絵描きが死力を尽くす宇宙的怪奇熱情活劇『双亡亭壊すべし』。つい先日刊行の7巻に追いつきました。概要と思っ……

thumbnail

【一会】『双亡亭壊すべし 6』……命を振り絞るということ

 呪わしいおばけ屋敷に対抗する人間たちの知恵と能力を結集した、亡者VS生者の物語と思いきや、屋敷に干渉する宇宙の彼方からの意思が明らかとなり、にわかにSFチックホラーアクションの色を帯びてきた『双亡亭壊すべし』。先日に引き続いて、昨年10月刊行の6巻について書きたいと思い……

thumbnail

【一会】『双亡亭壊すべし 5』……黒と哄笑の来歴

 絵描きを目指す凧葉務(たこは・つとむ)、短刀を用いて魔を祓う刀巫覡(かたなふげき)の柘植紅(つげ・くれない)と、その弟・立木緑朗(たちき・ろくろう)、そして45年前の飛行機事故から変貌した姿で生還した凧葉青一(――・せいいち)。その4人を中心に、謎と悪意に満ちた館〈双亡……

thumbnail

【一会】『七つの大罪 29』……動く状況、去らぬピンチ

 年明けから三度アニメ化もされた『七つの大罪』。エリザベスをめぐって歩んできた、メリオダスの3000年にわたる過酷な時間が明かされ、“騎士団〈七つの大罪〉と魔神族との戦い”や“アーサー王伝説にどう繋がるか”ということに加えて、“彼と彼女の終着点”も気になることになってきま……

thumbnail

【一会】『七つの大罪 28』……良くも悪くも、因果は巡る

 多種族による7人だけの騎士団〈七つの大罪〉と、世を滅ぼそうとする魔神族の戦い、そしてその背後にある魔神族と女神族という対立する二種族間に芽生えた愛の悲劇を描く『七つの大罪』。過日に引き続き、昨年10月刊行の28巻について語ります。  ちなみに今巻の限定版はキラキラ缶バ……

thumbnail

【一会】『七つの大罪 27』……憂心去らぬ、再集結

 魔の血を受け継ぎながら平和を願ったメリオダスを団長に、様々な種族が集った7人の騎士団〈七つの大罪〉の戦いと、過去の因縁を解き明かし、アーサー王の伝説へと連なる前日譚『七つの大罪』。27巻が出たのは去年7月です。既に29巻まで出ている本作ですが、まずは今巻から、読んで思っ……

thumbnail

【一会】『ベルセルク 39』……桜舞う里の憩い、彼女の深層への旅

 多くの人が、その成り行きを固唾を飲んで見守るダークファンタジー、三浦健太郎氏『ベルセルク』の、39巻が刊行されたのは今夏の始めの6月末。未完の大作になるのでは、と云われることも多い本作ですが、前巻からは1年余りというハイペースの刊行となりました。相変わらず遅きに失し過ぎ……

thumbnail

【一会】『魔法陣グルグル2 8』……人間いろいろ、魔法もいろいろ

 今夏より三度アニメも放映中の、色モノ(「じゃないとは言わない」と今巻でニケ自身も云ってたりする)RPG風ファンタジー漫画、『魔法陣グルグル2』の8巻が6月下旬に刊行されました。相変わらず遅いですが、概要と思ったことなどを書き連ねたいと思います。  今巻のニケとククリ達……

広告

広告