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【一会】『七つの大罪 29』……動く状況、去らぬピンチ

      2019/03/04

七つの大罪(29) (講談社コミックス)

 年明けから三度アニメ化もされた『七つの大罪』。エリザベスをめぐって歩んできた、メリオダスの3000年にわたる過酷な時間が明かされ、“騎士団〈七つの大罪〉と魔神族との戦い”や“アーサー王伝説にどう繋がるか”ということに加えて、“彼と彼女の終着点”も気になることになってきました。昨年12月刊行の29巻に追いつきましたので、読んで思ったことを語りましょう。
 今巻の限定版付録はというと、年末年始の頃の刊行では恒例になった感のある月替わりカレンダー。『七つの大罪』の限定版では、このカレンダーがいちばん有効活用できているかも。

 さて、本編。劣勢に見えたエスカノールでしたが、正午きっかりに発動する“天上天下唯我独尊(ザ・ワン)”によって何とかメリオダスを無力化。しかしこれは、殆ど相打ちのようなものでした。前にも(第19巻第23巻)書きましたが、エスカノールの力とは何なのだろうと思います。ただの人間が最強クラスの魔神をも上回る、というのは希望に他なりませんが、そんなことが有り得るのでしょうか。彼の力の意味が語られる時が待たれます。
 ともあれ、マーリンが云うように状況は深刻です。メラスキュラ打倒により、キャメロットを包んでいた次元のひずみは消失したようですが、相打ちによってメリオダスとエスカノールは戦闘不能。メリオダスは闇の力で自然回復するようですが、それは再び暴走するということでもあったり。
 メリオダスを案じたエリザベスは、一緒に“完全なる立方体(パーフェクト・キューブ)”の中に入り、それをマーリンが見張っていることになります。そうすると、敵が来て即座に戦えそうなのはキング、ディアンヌ、ゴウセル、そしてバンの4人ということになります。戦力はほぼ半減と云っていいでしょう。
 しかし、立ち止まるわけにもいきません。エリザベスにかけられた呪いは、記憶を取り戻したあと3日で死に至るというもの。一行はキャメロット解放を急ぎます。

 一方、キャメロットの地下では、謎の侍“ななし”と、その指導を受けて成長したアーサーが、生き残った人々とともに反攻の時を待っていました。アーサーの希望は、キャメロットの城内に遺された聖剣エクスカリバー。ついに登場したアーサー王伝説ゆかりの剣です。アーサーがこの剣を手にした時が、恐らく物語のクライマックスなのでしょう。

 キャメロット地上では、〈十戒〉サイドにも新たな動きがありました。メリオダスを新たな魔神王として迎えるという、現・魔神王の意向を受け、ゼルドリスは〈十戒〉に集結を命じます。が、その多くは既に〈七つの大罪〉に無力化され、モンスピートとデリエリは生存しているものの命令に応じるつもりはない様子。グロキシニアとドロールも〈十戒〉から抜けた今、今すぐ動ける〈十戒〉はゼルドリスだけのようです。
 しかし、ゼルドリスの元に馳せ参じた2体の高位魔神がありました。かつてゼルドリスの師であったキューザックと、メリオダスの師であったチャンドラーです。今でもメリオダスを溺愛しているチャンドラーは、ただちにメリオダス奪還に急行。なかなか愉快な性格のようですが、当然、〈七つの大罪〉にとっては新たな強敵に違いありません。
 そして、彼ら以外の脅威として、以前エスカノールにやられ傷を癒やしていた〈十戒〉の一角、「慈愛」のエスタロッサがいました。キューザックがモノローグで語ったように、腹の読めないエスタロッサは、もしかしたらラスボスになるのかもしれない、と勝手な予想を立てておくことにします。メリオダス、ゼルドリスと兄弟関係にあるようですし、今後の展開に絡んでくることは間違いありません。

 かくて〈七つの大罪〉陣営を急襲してきた〈おしゃぶりの鬼〉ことチャンドラー。好々爺っぽい印象ではありますが、やはり実力は強大です。マーリンは早々に本来の姿(!)に戻されてしまい、ディアンヌも無力化。以前ならまず有り得なかったキングとゴウセルのコンビが対抗しますが、老獪さに苦戦を強いられます。
 バンも加わり、戦いは総力戦に。ゴウセルを始め、大きな手傷を負いながらも辛うじて撃退…と思いきや、相手にはまだまだ奥の手があった模様。
 あわや全滅といったところで、キングを緩く励ます先代の声が響きます。かつては〈十戒〉に身をやつしていた古き王、グロキシニアとドロールは、恐らくその命と引き替えに、後進たる〈七つの大罪〉を救おうとしているのでしょう――というところで、今回はお開き。
 巻末の「番外編/呪いの婚約」では、行方不明となっているギルサンダーとビビアンの閉じた世界が描かれつつ、闇のいや増す次巻へと、物語は続きます。
 次なる30巻は、2月16日に刊行予定。迫るクライマックスをどきどきして待ちたいと思います。

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