非常な長命と不死性を有する“オキナガ”と、それを管理する厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)が存在する世界。夜衛管の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、88歳にして外見は少年な“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)の2人が、未年ごとに若い女性を殺害する連続殺人者“羊……
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【一会】『プリンセスメゾン 2』……シャンソン人形とヘドバンと
居酒屋「じんちゃん」に勤める年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)。彼女の“運命の物件”探しを中心に置きつつ、それ以外の女性の“住まいと孤独”についてのエピソードも散りばめた池辺葵氏の『プリンセスメゾン』の2巻が、先ごろ発刊されました。物件探しの実際的なポイントを押さえつつも、いわゆる業界紹介漫画とは一線を画した、抒情と余韻が感じられる漫画です。
1巻では都内のマンションを検討しつつ、要さん、亜久津さんといった持井不動産で働く派遣社員の2人と仲良くなって「沼ちゃん」と呼ばれるようになった幸。今巻ではさらに条件を絞った(=現実的な)物件を見ていきます。色々とサポートしてくれる持井不動産のチーフ格の男性・伊達さんは、幸を「ちょっといいな」と思っているようですが、なかなかもう一歩が踏み込めない様子。今巻の帯にもなっていますが、結婚について「夢のまた夢でしょうけど」と語る幸に何も云えないのは、スワンボートに乗れないこと以上に、冷静で理性的過ぎる彼のウイークポイントだと感じました。
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第205夜 ディスプレイに躍る意地と愛と魂と…『大東京トイボックス』
「…それは/直さずにすめばその方が効率がいいからに決まって…」「もうやめろ/効率? プロ? まるでガキだな」「…なんだと?」「そんなのは大人じゃねえ/ただの聞き分けのいい子供だ」 『大東京トイボックス』うめ(小沢高広…企画・シナリオ・演出担当/妹尾朝子…作画・演出担……
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【一会】『アルテ 4』……想いを残し、新天地へ
16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族出身ながら画家を志望する元気少女アルテの修行の様子と、師匠であるレオへの淡い恋心、当時の人々の生活描写がそれぞれに興味深い『アルテ』。先ごろ4巻が発刊されましたので、書き留めておきましょう。 前巻では重労働のフレスコ画の助……
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【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 幻獣の森の遭難者 2』……「世界崩壊」の真相と、まだ知れぬ深遠
アジアン・オカルティックな伝奇ロマン『3×3EYES』(100夜100漫第100夜)の12年ぶりの正統的続編『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』、予告よりも気持ち早く、11月初旬の2巻刊行となりました。獣魔の卵の存在を掴んでやってきたパリで、八雲を捕獲しようとする謎の女……
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【一会】『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 3(完)』……原子炉建屋へ。そして一旦の中締め
2月発刊の2巻から8か月。この10月に竜田一人先生の『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』のとりあえずの最終巻となる3巻が刊行となりました。前巻について書いた時は、発刊予告があまりアテにならないかも、と書きましたが、思いがけず予告通りのリリースでした。 作中の……
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【一会】『3月のライオン 11』……対峙の果てと残された者の虚脱
17歳の少年プロ棋士、桐山零(きりやま・れい)の孤独な戦いと棋士の世界、そして、そんな零を家族のように受け入れる、あかり・ひなた・モモの3姉妹を中心とする川本家のドラマを描く『3月のライオン』。前巻から9か月ほどで11巻の刊行となりました。刊行からひと月ほど経ってしまい……
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【一会】『白暮のクロニクル 6』……異質達はすれ違い、物語は加速する
いわゆる吸血鬼的存在“オキナガ”と、それを管理する厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)という構図を遠景に、夜衛管の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、88歳の少年“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)のコンビがオキナガ絡みの事件を追っていく『白暮のクロニクル』。もう……
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【一会】『月影ベイベ 6』……大人の強さ、大人の弱さ
富山県八尾の伝統舞踊“おわら”を遠景に、“おわら”の踊り手である高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父である佐伯円(――・まどか)の三角関係を中心とした人間模様を描く『月影べイベ』も、先月6巻の発刊となりました。実際の富山市八尾町での……
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【一会】『孤独のグルメ 2』……18年ぶり。無邪気さと、変わらぬ自由さ
個人で輸入雑貨を商う井之頭五郎(いのがしら・ごろう)が、主に都内の街で見知らぬ飲食店に入り、そこでの食事や湧き起こってくる想念を淡々と描き流す食事漫画『孤独のグルメ』(100夜100漫第63夜)。その第2巻が、実に18年の歳月を経て刊行されました。1996年までの連載で……