漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 大人 」 一覧

第117夜 地に澱む神代の穢れに抗うは、筋肉質な純情か…『天顕祭』

「木島/戻って来いよ/たった1年だけどよ/お前のいねェ足場はさみしいもンだ」


天顕祭 (New COMICS)

天顕祭白井弓子 作、同人誌発表(2006年2月~2007年8月)→サンクチュアリ出版より単行本

 かつて、この国は「汚い戦争」を経験し、フカシとよばれる毒物に汚染された。そこかしこが高レベル汚染地域という絶望的な状況の下、フカシを自らの中に吸って浄化する竹の登場にも助けられ、人々はどうにか生活可能な地区を確保して生きてきた。
 鳶職集団「坂本組」若頭の真中修二(まなか・しゅうじ)は、1年前から自分の下で働いている少女、木島咲(きしま・さき)の様子が地下の現場に入るとおかしくなることに気付く。これから地下の仕事が増えると云う修二に、咲は自分の処遇を、来月に迫った天顕祭(てんけんさい)まで待って欲しいと食い下がる。
 今年50年に一度の大祭を迎える天顕祭。今でこそ、フカシ除けと無病息災、職人にとっては「点検」とかけて安全の祈願もする、クシナダ姫の行列も華やかな祭だが、それはかつて、スサノオ神とヤマタノオロチとの戦いの伝説と混交され、大地の浄化のために若い娘を人身御供に捧げた因習の名残だという。
 その天顕祭まで待てとは、どういうことなのか。咲が第三北山地区の家出人として捜索されていることを知った修二は彼女を問い詰める。彼女は真実を語り出す。
 スサノオ、オロチ、クシナダ。三者の因縁が、近づく祭とともに2人を引き離していく。しかし、納得のいかない修二は、第三北山地区へ単身おもむくのだった――。

(さらに…)

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第112夜 大人の男に大切な事…『LA QUINTA CAMERA 〜5番目の部屋〜』

 2013/10/05  100夜100漫, ,

「あの貼り紙の下宿先ってあんたの所?」「ああ、俺とこのチェレと残りふたりの/男4人で暮らしてるアパートの一室だ。/4人とも働いてるし/お互いの生活に干渉はしてない。/部屋は使いやすいよ/家賃もウチは安めだ」 『LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ……

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第108夜 複雑な感情が、シンプルな関係性に現れる…『式の前日』

「……だって/泣いてんじゃん?」 『式の前日』穂積 作、小学館『月刊flowers増刊 凜花』→『月刊flowers』掲載(2010年10月~2012年7月)  結婚式を前日にひかえた女と男、久方ぶりに再会する幼い娘と父親、高校時代の想い人を亡くした初老の双子の兄……

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第86夜 旅人が迷い込む、叙情と禍福と幻想の万華鏡世界…『紅い花』

「あのみごとな紅い花はなんというのだろう」「知らん」 『紅い花』つげ義春 作、青林堂『ガロ』掲載(1967年10月[表題作])  林と川のある里にやってきた釣り人の主人公は、親の代わりに茶屋を切り盛りするキクチサヨコに出会う。彼女の元同級にあたるシンデンのマサジは……

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第63夜 街をさまよう、まだ見ぬ郷愁の味を求めて…『孤独のグルメ』

「モノを食べる時はね/誰にも邪魔されず/自由で なんというか救われてなきゃあ/ダメなんだ」 『孤独のグルメ』久住昌之 原作 谷口ジロー 作画、扶桑社『月刊PANJA』掲載(1994年8月~1996年4月) ※2008年1月より扶桑社『SPA!』にて不定期掲載  井……

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第51夜 ふたりでいるって、割と素晴らしいこと…『くらしのいずみ』

「俺らももう長いし/そろそろする? 結婚」 『くらしのいずみ』谷川史子 作、少年画報者『YOUNGKING アワーズ増刊アワーズプラス』『YOUNGKINGアワーズ』掲載(2006年4月~2008年1月)  世の中には色々な夫婦がいる。友達のような夫婦、文科系優男……

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第45夜 新鋭機と“お役所的仕事”の流儀…『機動警察パトレイバー』

「よくみとくといいや。/志望がかなえばこいつに命預けることになる。」「じゃ……じゃあこれが……/新型の警察用レイバー!?/こ…これは…/趣味の世界だねえ……」「とかいいながらわりと気に入ってるだろ。」 『機動警察パトレイバー』ゆうきまさみ 作、小学館『週刊少年サンデ……

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第44夜 恋と夢と。彼らが選んだのは…『部屋(うち)へおいでよ』

「ねェ……/これから……/いっしょに…/観よっか…/部屋(うち)においでよ…」 『部屋においでよ』原秀則 作、小学館『週刊ヤングサンデー』掲載(1990年月~1994年月)  東京、阿佐ヶ谷のとあるパブ。ピアノを弾く水沢文(みずさわ・あや)と、客なのに店の手伝いを……

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第40夜 神職だって、お金は欲しいし恋もしたい…『神社のススメ』

「神社は宗教だがビジネスなんです/そしてアミューズメントだ」 『神社のススメ』田中ユキ 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(2004年4月~2006年6月)  大神社の宮司の次男、里見信二郎(さとみ・しんじろう)。実家の神社は兄に任せ、自分は好きな舞を仕事にしよう……

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第38夜 杯を満たす葡萄の香に、人生の喜怒哀楽は映る…『ソムリエ』

「本当に正しい組合せというのは/料理とワインの間ではなく/ワインとお客様の間にあるんじゃないかな」 『ソムリエ』城アラキ 原作、甲斐谷忍 漫画、堀賢一 監修、集英社『MANGAオールマン』掲載(1996年1月~1999年6月)  パリで暮らす日本人、佐竹城(さたけ……

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