【一会】『東のくるめと隣のめぐる 2』……“隣”の意味を、もう一度
2018/07/21
8日のサイン会にて入手した、『東のくるめと隣のめぐる』第2巻。予想外の刊行の早さは嬉しい誤算でした。
※サイン会については以下に記しています。
【探訪】『東のくるめと隣のめぐる』2巻発売記念サイン会…ついでに聖地探しも
東京都で唯一「平成の名水百選」に選出された湧き水の流れる東久留米市。この街を舞台に、学校ではクール系才媛を演じながらも実は辛い過去を経験していたヒロイン塚原めぐる(つかはら・――)と、そんな彼女を想いつつもイマイチそれを伝え切れない永耕助(えい・こうすけ)の、単なる“隣の席”から始まった微妙な関係を描く……。といった感じのこの漫画、1巻は、めぐるの幼馴染みにして、かつて告白した相手である女の子(!)宝生翼(ほうしょう・つばさ)の登場で耕助驚愕という場面で幕切れとなっていました。ここから物語はどう転がっていくのでしょうか。
今巻の展開を一言で表すならば、それは「めぐるの心の小さな変化」じゃないかと思います。
ショッキングに登場した翼は過去においても現在においても、めぐるの心を掻き混ぜますし、相変わらずのめぐるの妹くるりや、これまた特に耕助にとってインパクトのある登場だった(「洗いっこ! 洗いっこが頭から離れねえ!」)めぐるの姉の2人も、いい具合に次女を翻弄してくれます。さらに、巻の終盤で現れる八重歯の可愛い少女マチコは、めぐるの辛い記憶の原因となった人物だったり。
油断ならない人が次々登場する状況の中、ハロウィンの罰ゲームでメイド服を着たり、風邪をひいて耕助に看病されたりといった挿話もあって、めぐるは少しずつ耕助を意識するように。そういう彼女の、僅かな心境の移り変わりが肝じゃないかと思うのです(思えば、表紙のめぐるの瞳の中に映るハート形に見えなくもないピンク色は、そんな心模様を表しているんじゃないかな、とも)。
そんなめぐるの変化の兆しを、イトー○ーカドーでの何気ない一幕として描いた第13話「寝巻きとカレー」は、今巻で指折りのエピソードだと感じました。これまでも“隣の席”から“隣の住人”と、耕助とめぐるの“隣”関係は移り変わってきましたが、ここではまた違った意味での“隣”が、暖かくも鮮やかに示されています。
ゆるキャラ越しにめぐるを励ます耕助と、兆した気持ちを抱きつつ過去に向き合おうとするめぐる、という、またもや気になる幕切れで今巻はおしまい。次巻は4~5か月後くらいかと思われます。
とはいえウェブ連載(コミックウォーカー)なので、続きの第18話はこちらで閲覧可能です。さらに今日(6/11)は第19話の公開予定日でもありますし、新たに読み始めるなら今ごろが絶妙なタイミングではないでしょうか。ウェブで最新話を追いかけつつ、第9話に出てきた喫茶店はどこなのか探しつつ、3巻の刊行を楽しみに待ちたいと思います。