「あの貼り紙の下宿先ってあんたの所?」「ああ、俺とこのチェレと残りふたりの/男4人で暮らしてるアパートの一室だ。/4人とも働いてるし/お互いの生活に干渉はしてない。/部屋は使いやすいよ/家賃もウチは安めだ」 『LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ……
第113夜 命のため、“異端者”はメスを振るう…『アスクレピオス』
「一般的に“外科医”と呼ばれる人達の仕事は/創傷治療や肢体切断術…解剖手などです/胸腔内や腹腔内の手術は/教会の認める医術の中には存在しません…/ぼくらはそれを1000年以上も続けてきました/だから/追われているんだと思います…」
『アスクレピオス』内水融 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(2007年4月(読切)~2009年2月)
中世ヨーロッパ。キリスト教会が絶対的な権力を保持していたこの時代、教会から異端と認識されることは死とほぼ同義だった。そんな時勢にあって、教会から「切り裂き魔」として忌み嫌われ、人々からは恐れられた異端の家系があった。
メディル家。それは、当時の医療としては決して認められなかった“人の身体に刃を入れる”外科的手術のノウハウを独自に積み上げ、怪我や病気に苦しむ人々を救ってきた“アスクレピオス”の家系だった。
その現当主、バズ・メディル・アスクレピオスは、教会に追われる身であることから、なるべく目立たないことを旨として隠遁していた。しかし、メディル家の従者の家系であるテレスフォス家の当主の少女、ロザリィ・テレスフォスと出会い、自らの左手に備わった人体の命を視る力“神の目”とともに、正式に“アスクレピオス”の名を受け継ぐことを決心する。
お調子者の道連れパレを加えた一行は、教会権力とその配下である聖騎士に常に追われながらも旅を続ける。多くの患者を救い、その署名で血命録(ビブロス)を埋めた時、“アスクレピオス”の異端認定が解除される、その日まで――。
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第111夜 「今、ここ」から逃げ出したい、全ての人へ…『彼方から』
「なんでこういう事態になったのかわかりませんが/とにかくっ/ぐじぐじしてたって仕方がないと考えましてね/こうしてお世話いただいているのも何かのご縁かと存じますし/この際 腹すえてついていかせていただきたいと決意した次第なわけでして」「………/何を言っているのかわからん」 ……
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第110夜 少年よ、選択肢を切り抜けろ…『Doする!?パラダイス』
「ど ど ど どうするよ/オレ~~~……!?」 『Doする!?パラダイス』玉越博幸 作、講談社『コミックボンボン』掲載(2005年8月~2006年10月) クラスのアイドル、腐れ縁の幼馴染、ちょっと近寄り難かったはずの委員長……。そんな彼女たちに、気付けば少しだ……
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第109夜 筋肉&グロテスクに神魔の大戦は続く…『ゴッドサイダー』
「そうじゃ しかし彼はめざめてしまった…/神の側の人間(ゴッドサイダー)と悪魔の側の人間(デビルサイダー)の間の子という自らの宿命と戦う為に!!」 『ゴッドサイダー』巻来功士 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1987年5月~1988年11月) かつて、天使長……
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第108夜 複雑な感情が、シンプルな関係性に現れる…『式の前日』
「……だって/泣いてんじゃん?」 『式の前日』穂積 作、小学館『月刊flowers増刊 凜花』→『月刊flowers』掲載(2010年10月~2012年7月) 結婚式を前日にひかえた女と男、久方ぶりに再会する幼い娘と父親、高校時代の想い人を亡くした初老の双子の兄……
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第107夜 その惨状だけは、忘れずに憶えていよう…『はだしのゲン』
「ぼくは/おとうちゃんがいうた麦のように/なりたいと思っています」 『はだしのゲン』中沢啓治 作、集英社『週刊少年ジャンプ』→市民誌『市民』→日本共産党中央委員会『文化評論』→日本教職員組合機関紙『教育評論』掲載(1973年5月~1985年) 1945年、広島市……
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第106夜 湯を介し、癒しで繋がる彼方と此方…『テルマエ・ロマエ』
「浴場の中で心安らげるかどうかは/共に浸っている人間にかかる部分が大きい…/湯に対して全身全霊を捧げる平たい顔族は/一緒に風呂に入るのに最高の人種ではないか!?」 『テルマエ・ロマエ』ヤマザキマリ 作、エンターブレイン『月刊コミックビーム』掲載(2008年1月~20……
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第105夜 開かれた瞳に映る世界は、本質か、かりそめか…『魔女』
「あなたにも きっとみえるはずよ。/わたし達は皆……/“彼女たち”の眷族なのだから。/あなた自身のからだで/世界を確かめていきなさい。」 『魔女』五十嵐大介 作、小学館『月刊IKKI』掲載(2003年4月~2004年11月) 彼女たちはどこにでもいる。文明と歴……
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第104夜 ただ白球を追うだけで笑えた日々…『高校球児ザワさん』
「おい守口ィ!! 何でアイツは練習後なのにビミョーにイイ匂いすんだよ、ああ゛!?」「いっ…いでででで。知らねッスよ自分は……!」 『高校球児ザワさん』三島衛里子 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ増刊号Casual』→『ビッグコミックスピリッツ』掲載(2008年5……