こぢんまりとしたスパゲティ屋「ランプ」の店員・すーちゃんの日常に、1話あたり1つだけ、5分間の不思議な時空を添えて描かれる、少し不思議系日常漫画『コトノバドライブ』。3巻が出てだいぶ経ってしまいましたが、読みましたので書き留めたいと思います。 今巻では、昨秋から……
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【一会】『ベルセルク 38』……“白”と“光”は、似ているようで違う
現在連載中の漫画では、最高峰のダークファンタジーに数えられる三浦健太郎氏『ベルセルク』の3年ぶりとなる新刊38巻が、先月発刊されました。いくぶん中途半端ではありますが、今巻から言及したいと思います。
長大にして未だ道半ばの物語を要約するのは困難ですが、黒い剣士ガッツと、白銀の騎士グリフィスという正反対な2人の男の関係を中心に置き、ある理由からグリフィスと、ゴッドハンドや使徒と呼ばれる“人ならぬ者”どもに復讐を誓ったガッツの、血みどろの旅路を描いた物語というのが、現状における自分なりのまとめと云えそうです。
当初こそ独りで旅をしていたガッツですが、ひょうきん者の妖精パックを道連れにし、傭兵集団“鷹の団”時代のガッツの戦友/恋人ながら今は心を閉ざしてしまったキャスカと同行するようになったのを皮切りに、次第に他者に心を許すように。もとはガッツを異端と見做して対立したファルネーゼや、その従者セルピコ、ガッツの強さに憧れる少年イシドロ、魔女見習いの少女シールケといった仲間も増え、キャスカが安全に過ごせるというパックの故郷、エルフヘルムを目指す旅を続けています。
片やグリフィスは、かつて率いそして壊滅させた“鷹の団”を新生させ、東方のクシャーン帝国により滅亡に瀕したミッドランド王国を救うと、まるで理想郷のようなファルコニアなる大都市を現出させるまでになりました。前振りが長くなりましたが、今巻は、このファルコニアを訪れた、元“鷹の団”団員リッケルトのエピソードがメインとなっています。
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【一会】『アルテ 5』……“違い”なんて、無いからこそ
16世紀初頭イタリア。女性の社会進出が難しかったこの時代を舞台に、貴族の出ながら画家を目指して奮闘する少女アルテの修行の日々と、当時の人々の生活をつぶさに描く『アルテ』。6月下旬に5巻が出ましたが、このほど読みましたので書きたいと思います。 前巻で、生まれ育った……
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【一会】『七つの大罪 21』……4戦4様、それぞれの大喧嘩
騎士団〈七つの大罪〉や聖騎士達と、〈十戒〉を筆頭とする魔神族との、中世イングランドを思わせる世界ブリタニアでの戦いを描いた『七つの大罪』。鈴木央先生アレンジによる“アーサー王と円卓の騎士”物語とも云われるこの漫画の21巻が出たのは、もう2か月弱前のことですが、読んで考え……
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【一会】『月影ベイベ 7』……なのに、心に沁み入るのは彼の言葉で
富山県八尾を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)の3人による淡い三角関係を中央に置き、八尾の伝統舞踊“おわら”をめぐる人々を描いた『月影べイベ』。一時休載もあったようですが無事に再開され、ひ……
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【一会】『ドリフターズ 5』……“天下分け目”、再演か
古代から第二次大戦まで、数多の英雄がファンタジー世界に集い、2つの陣営に分かれて戦う史実考証重視系浪漫バトル漫画『ドリフターズ』。戦いだけでなく、それに付随してファンタジー世界に文明上の革新がもたらされていく過程がまた見どころの漫画です。新刊5巻が出ましたので、刊行……
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【一会】『少女ファイト 13』……やりかたは、1つじゃない
裏表紙に配された「悪役を演じきれますか?」という警句も小気味よく、図らずも高校女子バレー界のヒール的役どころを引き受ける黒曜谷高校バレー部を中心に描かれるハイセンス&メンタルな女子高生バレー漫画『少女ファイト』。12巻の時の予想通りぴったり1年で、この5月末に最新刊……
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【一会】『白暮のクロニクル 8』……1600歳超えの純情
不老不死に近い吸血鬼っぽい種族“オキナガ(息長)”が存在する世界。見た目は少年ながら88歳の“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)と、彼らを管理する厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)が、12年に1度、未年ごとに若い女性を殺す「羊殺……
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【一会】『いぬやしき 6』……地上で、宇宙で、迫る破滅の時
エイリアンと思しき存在による事故に巻き込まれたため、超ハイスペックなアンドロイドとなってしまった初老の会社員・犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)。銃をものともしない戦闘能力と、難病すら完治させる治療能力を有する彼らそれぞれの、“生きて……
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【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 幻獣の森の遭難者 3』……龍皇顕現。さらに思惑は絡み合う
アジアン・オカルティックバトルを繰り広げつつ、バブル期からゼロ年代という日本の精神性の変容を背景に置いて描かれた伝奇ロマン『3×3EYES』(100夜100漫第100夜)。12年ぶりの発表となった正統的続編『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』の3巻が先ごろ刊行となりまし……