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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 月別アーカイブ:2017年08月 」 一覧

【一会】『プリンセスメゾン 4』……真摯さに、祝福あれ

プリンセスメゾン(4) (ビッグコミックス)

 26歳、年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)のマンション購入を主軸に、色々な人物の住まいと暮らしと孤独を描いた『プリンセスメゾン』。昨秋はNHKでドラマ化などもされた本作の4巻が6月に刊行されました。例によっていささか遅いのですが、内容と感想を書いていきたいと思います。

 前巻でついに納得のいく物件を見つけ、これを購入した幸。彼女の今後が気になるところですが、今巻の冒頭では、彼女とは別のエピソードがまず2人分続きます。
 1人目は、グラフィックデザイナー(?)の恩納さん。パソコン・ネット環境・電話・ファックスがあれば、どこでも仕事ができてしまう彼女は、定期的に住まいを移ります。しかも賃貸ではなく、その都度ローンを組み購入して住んでいるのは、「人間が苦手なもんで」と語る彼女の性格によるのでしょう。
 最近は政府も云っているテレワークには、通勤しないで済むなどのメリットがありますし、自分も割と賛成なのですが、一方で“どこにでも行けてしまえる”ということは、孤独を引き受けるということかもしれません。しかし、それが自由の代償なのだとも思います。
 2人目は、バリキャリの竜野さん。年上で社歴も上の部下、沖との微妙なやり取りをしつつ、実家の両親の世話を結婚した姉に押しつけられがちなのが最近の悩みです。親と自分の人生は全く別物ですが、帰るとやっぱり落ち着いたりもする、自分が十分に大人になってからの実家というのは、考えようによっては奇妙なものです。ところで彼女はとてもお利口な「ヤンソン」という猫を飼っています。村上春樹氏が何かで書いていた“旅行好きの猫”の話を思い出します。

(さらに…)

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【一会】『いぬやしき 9』……束の間の平穏、そして迫る大災厄

 普通の人間だった初老男性と男子高校生が、異星人が起こしたアクシデントによって高性能のアンドロイド化。それぞれ極に振れた2人を対比し、人智を超えた能力を誇る機械となった男子高校生・獅子神皓(ししがみ・ひろ)の暴走を食い止めようとする初老男性・犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろ……

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【探訪】コミティア121参加記録…いつもより結構じっくりと

 2017/08/20  漫事探訪

 例によってコミティア121に参加してきた。コミケから1週間ということでビッグサイトも比較的穏やかだった気もするけれど、そんな今回も写真と文章で振り返る。  過去の記録は下のリンクからどうぞ。 【探訪】コミティア120参加記録…原点を楽しむ 【探訪】コミティア1……

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【一会】『月影ベイベ 9(完)』……一切は、楽の音と共に流れていきます

 毎年9月初頭に行われる富山市八尾の風習「おわら風の盆」までの季節を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)を始めとした「おわら」に親しむ高校生たちと、それを見守る光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)を始めとした大人たちの群像も描いた……

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【探訪】コミケ92三日目…熱気に気温もやや上昇

 2017/08/13  漫事探訪

 コミケ92、最終日3日目となった今日も参加してきた。例によって写真と文章を残そう。  C92、3日目の今日の主なジャンルは以下の通り。  男性向、TYPE-MOON、アイドルマスター、ラブライブ!、ギャルゲー、評論・情報、歴史・創作(文芸・小説)、学漫、創作(少……

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【探訪】コミケ92二日目…足取りも軽く場内ひと巡り

 2017/08/12  漫事探訪

 コミケ92、2日目の今日も参加してきた。昨日に続いて記録をお届けしよう。  C92、2日目の今日の主なジャンルは以下の通り。今日は、総じて女性向けがメインと云えそう。  おそ松さん、弱虫ペダル/ダイヤのA、進撃の巨人、ハイキュー!!、ワールドトリガー、血界戦線/……

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【探訪】コミケ92一日目…涼しさに感謝の初日

 2017/08/11  漫事探訪

 今年もお盆の頃がやってきた。云うまでもなく、コミケのシーズンでもある。例に漏れず参加してきたので、写真と文章で記録に留めたい。  C92初日となる今日の主なジャンルは以下の通り。  艦これ、あんさんぶるスターズ!、刀剣乱舞、東方Project、ゲーム(恋愛・RP……

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【一会】『双亡亭壊すべし 4』……彼方から来たらんとするもの

 東京都豊島区に建つ、謎めいて不吉な建築物〈双亡亭〉が引き起こす奇怪な出来事と、そこに巻き込まれ、これを破壊せんとする者たちを描いた『双亡亭壊すべし』。4巻が刊行されたのは4月のことです。既に先月下旬に5巻が出ていますが、追っかけで思ったことを書いておきましょう。  〈……

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【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 4(完)』……ここぞ胸突き八丁、けじめの刻

 戦後まもなくソ連に占領され、共産主義が台頭したパラレルな1950年代の日本を舞台に、擬人化された猫たちによる遊侠活劇を描いた『猫瞽女―ネコゴゼ―』。完結巻となる4巻が、今春刊行されました。  盲目の女芸能者・瞽女(ごぜ)にして三味線に仕込んだ暗殺剣の達人でもある夜梅(……

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