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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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【一会】『進撃の巨人 22』……覚悟の海

進撃の巨人(22) (講談社コミックス)

 “正体不明の巨人との戦い”に始まり、次第に物語の全貌が明らかになってきている『進撃の巨人』。4月の話ですが22巻が刊行されました。遅れ馳せもいいところですが、流れを追いつつ思ったことを書き留めようと思います。

 前巻に引き続き、エレンの意識に混濁した父・グリシャ・イェーガーの回想が続きます。実の息子ジークに密告されたグリシャと仲間たちには過酷な仕打ちが待っていました。マーレ当局の内部にスパイとして潜みつつ、グリシャたちエルディア復権派を手引きしている「フクロウ」とは誰なのかを吐かせるための拷問は凄惨ですし、終身刑として流刑地「パラディ島」で「無垢の巨人」として生き続けるという処分も酷いものです。
 グリシャは息子に裏切られたと云えますが、逆にそうならないためには、どう教育していれば良かったのだろうと思います。見る限り、幼い頃から親2人がかりで詰め込み教育をしていたようですが、グリシャが後悔混じりに述懐しているように、ジーク自身と向き合うことが出来ていれば少しは違った結果になっていたのでしょうか。「もしも」というのは無意味な考察かもしれませんけれど。
 仲間達は注射により、かつての仲間を喰おうとする「無垢の巨人」へと変わっていきます。グリシャの妻ダイナもまた同様でした。何故こんなことをするのかというグリシャの問いに、処刑の現場を仕切る「曹長」は云います。「面白いから」「残酷な世界の真実と向き合い理解を深める」と。この「曹長」の理屈の前提となっているのは、エルディア人は絶滅すべしという思想です。

(さらに…)

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