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第172夜 不気味で偉大な、その図形から逃げられない…『うずまき』
「最近オレ、この町がいやでしょうがないんだ。/この町にいたらどうにかなっちまうぜ。」「どうして?」「どうしてって…君は何も感じないのか?/オレは昼間、この町を離れているからよけいに感じる…/この町の駅のホームに降りたつたびにめまいを覚える…/この町はオレを幻惑しようとしている…!!」「…私は何も感じないけど…」

『うずまき』伊藤潤二 作、小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』掲載(1998年1月~1999年8月)
海沿いの町、黒渦(くろうず)町で、陶芸家の父、母と弟の4人家族で暮らす女子高生・五島桐絵(ごしま・きりえ)。ある日、彼女は中学時代からのボーイフレンド斎藤秀一(さいとう・しゅういち)から、「一緒にこの町を脱出しないか?」と切り出される。
このところ自らの父が異常だと云い、「この町はうずまきに汚染され始めている」と怯える秀一の言葉に不穏なものを感じながらも、本気にはしない桐絵。しかし秀一の恐れは次第に現実のものとなり、町は“うずまき”に侵されていく。
捻れ、とぐろを巻く万象、捩れ、絡み合い、あるいは蝸牛と化す人間。人々の心の奥底に澱んだ感情をも飲み込み、台風が、バネが、ありとあらゆるうずまきが町を襲う。
すべてが“うずまき”と化した中で、桐絵と秀一が渦の中心で見たものは何だったのか――。
