漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 青春 」 一覧

第164夜 10代は背伸びし、20代は首をすくめる…『たまりば』

「なんでハルオもまたアイス買ってんの?/さっき食べたじゃん」「オトナは1日にアイス2本食べてもいいんだよ」「いいなぁ〜/オトナ……」「そうでもねーよ」


たまりば 1巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

たまりばしおやてるこ 作、エンターブレイン『Fellows!』掲載(2008年10月~2012年2月)

 「渋谷」を出た東急東横線は、「多摩川」から「新丸子」の間で多摩川を渡り、東京都から神奈川県に入る。そこにかかる丸子橋の下で、小学生の弟、拓也(たくや)が「おっさん」と遊んだと聞き、高校1年生の姉、中原美和(なかはら・みわ)は訝しむ。
 「姉を紹介する」と請け合ってしまった拓也に不機嫌になりつつも、「ジョニデ似」の一言に懐柔され、美和は友人の高津あや(たかつ・——)を伴って橋の下に行くことに。そこで出会った「おっさん」——ハルオはジョニデ似ではなかったが、美和はひと目で恋に落ちてしまう。
 相変わらず河川敷で真昼間から拓也とユルく遊ぶハルオに、身体の発育の割に幼さが残る美和は一途なモーションをかける。ハルオのためだけのアンケートを作って渡したり、ハルオのスーツ姿が見たいために、あやも引っ張り込んで刑事ばりの張り込みをしたり。
 そんな美和の奮闘をハルオは、はぐらかしながらも生温かく見守ってくれる。が、その一方で、恋人サチとの同棲に漂う別れの予感に、ハルオの心中は穏やかではなかった。更に、美和と同じ学校で彼女を狙うチャラ男系イケメンの小杉晴彦(こすぎ・はるひこ)と連れの新城(しんじょう)まで参戦し、河川敷は混迷の度合いを増していく。
 美和とハルオ。16歳と28歳。天真爛漫と天の邪鬼。2人の想いは、果たしていつしか交わる時が来るのだろうか。

(さらに…)

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第163夜 菌と人間、遠いけれども楽しい学びの道…『もやしもん』

「この学校はスゴいよ/いろんな人がいろんな意志で支えあってみんなで遊んでるんだね」 『もやしもん』石川雅之 作、講談社『イブニング』→同『月刊モーニングtwo』掲載(2004年7月~2014年1月)  この春、晴れて東京の某農業大学(これが正式名称)に入学した沢木……

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【一会】『銀の匙 Silver Spoon 11』……年度終わりと、愛すべきシビアさ

 長いようでやっぱり長かった、エゾノーでの1年が終わろうとしています。と云っても、ここでは初めて言及する漫画ですね。少し説明を加えましょう。『銀の匙 Silver Spoon』は、ガリ勉タイプだった少年・八軒勇吾(はちけん・ゆうご)が、進学先の大蝦夷農業高校で、それまでと……

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第157夜 芸術も友情も、無条件だからいい…『ぼくらのフンカ祭』

「なあ…/オレ多分、一生忘れねーわ。/この光景。/ありがとな桜島。/オレをさそってくれて。」 『ぼくらのフンカ祭』真造圭伍 作、小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』掲載(2012年3月~同7月)  地元の東金松(かねまつ)高校に入学した富山剛士(とやま・たけし)……

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第151夜 「楽しさ」を原動力に、痛くっても、進め…『ハックス!』

「「もうね/この人/頭おかしいんじゃないかってくらい」/「楽しいことだけ考えたらいいんですよ」「大変ですけど/それでアニメはうんと楽しくなります」」「やりましょう/こうしてう…/お/いる場合ではないですよ私たち!」 『ハックス!』今井哲也 作、講談社『月刊アフタヌー……

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第150夜 京言葉が語るボケとツッコミ、小さな絆…『京洛れぎおん』

「奴らと戦う力を持っていても小学生だよ/本気の力をモロに受ければ壊れてしまう/体もまだ未熟なのに/使命だから行くんだ/えらい子なんだよね」「別のイミで俺がえらいんですけど!?」 『京洛れぎおん』浅野りん 作、マッグガーデン『コミックブレイドBROWNIE』→『月刊コ……

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第149夜 中学教師と生徒達、全身全霊でぶつかります…『鈴木先生』

「問題児にも/カミサマにも/手のかからないいい子にも囲まれて−−−−/回想モードは終了だ!!/今日も/こいつらに/全力で教えよう/めいっぱい クールに…/せいいっぱい 真摯に-−−−」 『鈴木先生』武富健治 作、双葉社『漫画アクション』掲載(2005年5月~2011……

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【一会】『夜とコンクリート』……自然と人工物を並べる美しさ

 標題作。不眠気味の建築士の、少し疲れてやがて眠れる一夜。  「夏休みの町」。暇暇な大学生たちと、丘の上の戦闘機とお爺さん。からの、反転。  「青いサイダー」。つんけんした母親に色々言われながらも、空想に遊ぶ僕少女。と、屋上のおじさん。  「発泡酒」。その時の“本当……

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第147夜 ぐちゃぐちゃな、自意識と外界の間で…『空が灰色だから』

「物心も付いてない頃/家族で出かけた遠い町 太陽光を浴び黄金色に燃えていた麦畑に今度は私が連れていくから/火が鎮まるまでお話しよう/その後は一緒に流れ星を探そう/古旅館の頼りない窓を優しく開けてせーので見上げた夜空には/星なんてひとつもなくて」 『空が灰色だから』阿……

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【一会】『まるせい 1』……成年漫画描きの青春と苦闘

 刊行から少し経ってしまいましたが、花見沢Q太郎『まるせい』1巻が面白かったので書きます。  タイトルの「まるせい」とは、「○」に「成」と書く、いわゆる成年向け漫画、ようするにエロ漫画のこと。『100夜100漫』は中高生くらいから上の人が読むだろうな、と思って書いて……

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