「空木宗也、キミは知らないようだから言っておくが――/人に使命感を抱かせしめるものは主義などではない。/誰かの期待だ。」 『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。』田中ほさな 作、小学館『ゲッサン』掲載(2011年9月~2014年1月) 何事においても「ちゃんとしたい……
「 SF 」 一覧
【一会】『いぬやしき 2』……孤独と恍惚を抱え、戦う機能をイメージする
刊行からはや1か月弱ということで、かなり出遅れた感がしますが、『いぬやしき』2巻について一くさり語ります。
会社でも家庭でも肩身の狭い、歳よりもかなり老けて見られる犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)58歳が、ふとしたアクシデントによって、自分の記憶や意識を保ったまま強力な武装を持ったアンドロイドになってしまった、というのが物語の冒頭。既に人間ではなくなってしまったという絶望を味わいながらも、暴力にさいなまれる人の命を救った時、自分が人間として「生きてる感じ」を感じられたことから、引き続き今まで通りの生活を送りつつ、人の命を救おうと決意するところまでが1巻のお話でした。
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【一会】『ギガントマキア』……全存在を巻き込んだリングのただ中で、咆える
『ベルセルク』があまりにも有名な、というか、それ以外の作品はこのところ手がけておられなかった三浦健太郎氏ですが、数えてみれば今作『ギガントマキア』が実に24年ぶりとのこと。武論尊氏の原作で書いた『ジャパン』以来ということになるんでしょうか。24年という年月を思え……
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第180夜 “内”で“外”で、立ち尽くす…『ハツカネズミの時間』
「感情ってさ/経験しないとよくわからないものだよね/小説や物語を読んで頭ではわかっていても/やっぱり よくわからないや」「……/例えばどんな?」「人を好きだと思う事とか……/同じ好きでもイロイロあるみたいだけど/どう違うのか俺には今ひとつ理解できないよ」 『ハツカネ……
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【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?
気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である『いぬやしき』1巻が刊行となりました。 事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりました……
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第178夜 奇抜さをうっちゃる相撲魂…『大相撲SF超伝奇 五大湖フルバースト』
「この技のキレ……………/そして この土俵さばき!!/もはや間違いありません!!/遂に!!/ついに…/還って来たッッ(カム・バック)!!!/デトロイトの英雄が/全米相撲の聖地に/ご帰還だ――――ッ(カム・バ――――ック)!!!」 『大相撲SF超伝奇 五大湖フルバース……
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第177夜 磁気仕掛けな少女の憧憬と、少年たちの惑い…『電影少女』
「ちょっ/ちょっと/キミはなに者なのかちゃんと説明してよ!」「ん/「ビデオガール」だってば/キミをなぐさめるために出てきたの/ビデオの中でもそう言ったろ」「そーいうことじゃなくてさ」「いいじゃね――か/どういう事だって/こまかいんだよおまえ!」 『電影少女』桂正和 ……
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第156夜 コピーに始まり終わる日々…『星のポン子と豆腐屋れい子』
「銀河のあちこちで食べ歩きしてきた私が保証します/あの卵焼きはハヒセに次ぐ美味ですわ/絶対に売れます!!」「うーーん/このままじゃ何も変わらねェしなあ」「やってみようよ!」「ねえ/うちの卵焼きよりおいしい/−−ハヒセって何?」 『星のポン子と豆腐屋れい子』小原慎司 ……
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第154夜 状況の千変万化に踊らず信念を貫け…『絶園のテンペスト』
「愛花が殺されたのは不合理だ/魔法も不合理だ/なら二つをぶつければ辻褄が合う/愛花を殺したやつを/この手で殺してやれる」 『絶園のテンペスト』城平京 原作、左有秀 構成、彩崎廉 作画、スクウェア・エニックス『月刊少年ガンガン』掲載(2009年7月~2013年3月) ……
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第148夜 神様の原作から名手が描く、機械達の挽歌…『PLUTO』
「その角の意味……なんだと思う?」「ヨーロッパの古き神々……/死の神には、角がついていた……」「角……戦士の魂を奪う狩人ハーンは“角の王”と呼ばれた……/ギリシア神話においては、冥界の王ハデス……あるいは、/ローマ神話の冥王……」「冥王……」「プルートウだ。」 『P……