「神と戦うのか」「おお そうとも/わたしは相手がなに者であろうと戦ってやる/この わたしの住む世界を滅ぼそうとする者があるのなら/それが神であろうと戦ってやる!」 『百億の昼と千億の夜』光瀬龍 原作、萩尾望都 作、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(1977年7月……
「 哲学 」 一覧
第105夜 開かれた瞳に映る世界は、本質か、かりそめか…『魔女』
「あなたにも きっとみえるはずよ。/わたし達は皆……/“彼女たち”の眷族なのだから。/あなた自身のからだで/世界を確かめていきなさい。」
『魔女』五十嵐大介 作、小学館『月刊IKKI』掲載(2003年4月~2004年11月)
彼女たちはどこにでもいる。文明と歴史の堆積に、気だるい森の只中に、辺境の村の外れに、経済大国となったこの国に。
その力は、世界の秘密に連なっている。その力は、情け容赦のない、原初の荒ぶる光。その力は、天に至る科学をすら翻弄する蠱惑の虚(うろ)。その力は、あらゆるものを理解するまったき調和。
言葉という倫理は、なんの軛(くびき)にもならない。善悪を超えて、彼女たちは生きる。時には自らの復讐のために、時には救うべき世界のために。
彼女たちは、どこにもいない。現代という時代に葬られるという意味でなく、秘密を秘密として、ひっそりと息づいているために。
トルコ、熱帯、北欧、日本。それぞれの時代、それぞれの地域の魔女たちを、幻想的に描いた連作オムニバス。
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第91夜 鈍く終局する世界を見て歩くもの…『ヨコハマ買い出し紀行』
「この数年で世の中も随分変わったわ/時代の黄昏が/こんなにゆったり来るものだったなんて/私は多分/この黄昏の世をずっと見ていくんだと思う/私には/時間はいくらでもあるからね」 『ヨコハマ買い出し紀行』芦奈野ひとし 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(1994年4月[……
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第82夜 旅の最果てを目指し、少年と彼女は行く…『銀河鉄道999』
「あなたは機械の体をくれるという星へ行くのね/もし私をいっしょにつれていってくださるならパスをあげるわ/私と同じパスをあげるわ」「パス?」「そう/パスよ/無限期間有効の銀河鉄道の定期よ」 『銀河鉄道999』松本零士 作、少年画報社『少年キング』掲載(1977年1月~……
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第72夜 猫による夏宵の永遠軌道…『銀河鉄道の夜-最終形・初期形』
「カムパネルラ また僕たち二人きりになったねえ/どこまでもどこまでも一緒に行こう」 『銀河鉄道の夜』宮沢賢治 原作、ますむらひろし 作、朝日ソノラマ(最終形1983年10月、初期形1985年8月) 学校へ通うジョバンニは、漁に出て消息が分からない父と、病気で臥せ……
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第65夜 日常的な夢想に遊ぼう…『COJI-COJI(コジコジ)』
「コジコジだよ/コジコジは/生まれた時からずーっと/将来も/コジコジは/コジコジだよ」 『COJI-COJI(コジコジ)』さくらももこ 作、ソニー・マガジンズ(現エムオン・エンタテインメント)『きみとぼく』掲載(1994年11月~1997年4月) メルヘンの国で……
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第63夜 街をさまよう、まだ見ぬ郷愁の味を求めて…『孤独のグルメ』
「モノを食べる時はね/誰にも邪魔されず/自由で なんというか救われてなきゃあ/ダメなんだ」 『孤独のグルメ』久住昌之 原作 谷口ジロー 作画、扶桑社『月刊PANJA』掲載(1994年8月~1996年4月) ※2008年1月より扶桑社『SPA!』にて不定期掲載 井……
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第62夜 彼方に挑む者達と、一切をただ抱擁する者達…『プラネテス』
「そのオッサンはな/地球(おか)の上で満足できる人じゃねェんだよ/オレにはわかる」「独りで生きて/死んで/なんで満足できるんですか/バカみたいよ/宇宙は独りじゃ広すぎるのに」 『プラネテス』幸村誠 作、講談社『モーニング』掲載(1999年1月~2004年1月) ……
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第61夜 真摯に生きる生物の姿は時としてスプラッタだ…『寄生獣』
「…………この前/人間のまねをして…………/鏡の前で大声で笑ってみた……/なかなか気分がよかったぞ……」 『寄生獣』岩明均 作、講談社『モーニングTHE OPEN』→『月刊アフタヌーン』掲載(1989年8月~1994年12月) 地球上の誰かがふと思った。「生物(……
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第57夜 ブラックなCG世界で真理の探究…『みんなのトニオちゃん』
「あーあ/オレ達ってCGだったんだ…」「全てが虚しいでちゅ」「自分の価値が分かっちゃうと何もやる気出ねーなぁ…」 『みんなのトニオちゃん』菅原そうた 作、扶桑社『週刊SPA!』、集英社『週刊少年ジャンプ ギャグスペシャル2002』掲載(1999年~2001年) ……