昨日、関東に降った雪はすごいものでしたね。その日は交通機関など使わなかったものの、外出する用事があったので、普段とは違った街の様子がよく分かった次第です。 十数年に一度の大雪だったことも受けて、今日は雪が印象的な漫画をずらずらとあげつらってみようと思います。……
第149夜 中学教師と生徒達、全身全霊でぶつかります…『鈴木先生』
「問題児にも/カミサマにも/手のかからないいい子にも囲まれて−−−−/回想モードは終了だ!!/今日も/こいつらに/全力で教えよう/めいっぱい クールに…/せいいっぱい 真摯に-−−−」
『鈴木先生』武富健治 作、双葉社『漫画アクション』掲載(2005年5月~2011年11月)
東京都内の区立緋桜山中学校の二年A組担任の国語教師、鈴木先生。中堅と云うには若いくらいのキャリアながら、独特の指導と洞察力で生徒の信頼を集めている。
とはいえ、多感な中学二年生の担任を勤めるのは並大抵のことではない。生徒たち、時には教師や地域社会も巻き込んで勃発する事件の数々に、鈴木先生を始め職員室の面々は大わらわだ。
それでも鈴木先生は腐らない。自分が憧れにも似た気持ちを抱いている“カミサマ”小川蘇美(おがわ・そみ)、お転婆だけど芯の通った中村加奈(なかむら・かな)たち生徒の力も借りながら、思考に思考を重ねて問題との対話を繰り広げていく。恋人の秦麻美(はた・あさみ)との私生活にも気配りをしながら。
些細な、けれど当事者の生徒には大きな幾つもの出来事。恋愛と性愛について。なんの事情もない生徒ということ。避妊は是か非か。教師の乱心と暴力について。民主主義と選挙というシステムについて。人々が演じることの集合体としての社会と、そこに愛想を尽かすことについて――。
事件は山積みだ。しかし、だからこそ己の経験と信条と全身全霊で、鈴木先生は生徒たちに向き合う――。
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【随想】大雪が降ったので、“雪”を感じる漫画を挙げてみる
 2014/02/09  随意散漫
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第148夜 神様の原作から名手が描く、機械達の挽歌…『PLUTO』
「その角の意味……なんだと思う?」「ヨーロッパの古き神々……/死の神には、角がついていた……」「角……戦士の魂を奪う狩人ハーンは“角の王”と呼ばれた……/ギリシア神話においては、冥界の王ハデス……あるいは、/ローマ神話の冥王……」「冥王……」「プルートウだ。」 『P……
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【一会】『夜とコンクリート』……自然と人工物を並べる美しさ
標題作。不眠気味の建築士の、少し疲れてやがて眠れる一夜。 「夏休みの町」。暇暇な大学生たちと、丘の上の戦闘機とお爺さん。からの、反転。 「青いサイダー」。つんけんした母親に色々言われながらも、空想に遊ぶ僕少女。と、屋上のおじさん。 「発泡酒」。その時の“本当……
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第147夜 ぐちゃぐちゃな、自意識と外界の間で…『空が灰色だから』
「物心も付いてない頃/家族で出かけた遠い町 太陽光を浴び黄金色に燃えていた麦畑に今度は私が連れていくから/火が鎮まるまでお話しよう/その後は一緒に流れ星を探そう/古旅館の頼りない窓を優しく開けてせーので見上げた夜空には/星なんてひとつもなくて」 『空が灰色だから』阿……
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【随想】節分にかこつけて、鬼にちなんだ漫画について語ろう
 2014/02/04  随意散漫
昨日は節分でしたね。我が家では簡単に豆まきをしてお茶を濁しましたが、皆さんのところはどうだったでしょうか。調べて驚いたのですが、苗字が渡辺さんの家は、豆まきしないところもあるそうです。平安時代の渡辺綱(わたなべの・つな)が有名な鬼切りで、今も鬼が恐れているから、らし……
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【探訪】コミティア107参加記録…大遅刻だけど結果オーライ?
 2014/02/03  漫事探訪
昨日のコミティア107に参加してきたので、例によってルポを残そうと思う(過去の記録は以下のリンクからどうぞ)。 【探訪】コミティア106参加記録…冷たい雨だけど熱かった 【探訪】コミティア105(自主制作漫画展示即売会)に行ってきました 前日、「今回は朝から……
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第146夜 スパイスの香りに、みんなが集まる…『今日、カレー!』
「やっぱりおなじがいいね」「ん?」「あのね/やっぱり/おなじものを おいしいって おもうって/なんか うれしいね」 『今日、カレー!』縞野やえ 作、マッグガーデン『月刊コミックブレイド』掲載(2011年9月~2012年2月) 美しい自然に囲まれ、採れる魚も野菜も……
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【一会】『まるせい 1』……成年漫画描きの青春と苦闘
刊行から少し経ってしまいましたが、花見沢Q太郎『まるせい』1巻が面白かったので書きます。 タイトルの「まるせい」とは、「○」に「成」と書く、いわゆる成年向け漫画、ようするにエロ漫画のこと。『100夜100漫』は中高生くらいから上の人が読むだろうな、と思って書いて……
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第145夜 非現実への色欲に隠した、承認への欲望…『ルサンチマン』
「まだ現実に未練があるのか?」「あっ、あたりまえだ。/大体、そんな話/信じられっかよ。」「お前が、/現実の何に期待してるかわからんが、/あきらめろ。現実に期待するな。」「ぐっ、よ、余計なお世話だ。」「30年生きて、お前もわかっているはずだ。現実世界でおれ達に勝利はない!/おれ達は……