【随想】節分にかこつけて、鬼にちなんだ漫画について語ろう
2017/09/11
昨日は節分でしたね。我が家では簡単に豆まきをしてお茶を濁しましたが、皆さんのところはどうだったでしょうか。調べて驚いたのですが、苗字が渡辺さんの家は、豆まきしないところもあるそうです。平安時代の渡辺綱(わたなべの・つな)が有名な鬼切りで、今も鬼が恐れているから、らしいです。
節分では「鬼は外」と追い出される鬼だけど、漫画の世界ではかなり人気の題材であることも確か。伝奇モノの作品なら必ずと云っていいほど出てきますね。今回は、ちょっとその辺を語ってみます。
とはいえ、単純に「鬼が登場する作品」というのであれば相当な数にのぼると思われるので、その中でも「鬼が主要な題材になっている作品」に絞ることにします。
自分の世代でまず思い出されるのは、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた『地獄先生ぬ~べ~』じゃないでしょうか。封印した鬼の手を自らの左手に持ち、生徒を守るために霊能力を振るう、日本唯一の霊能力小学校教師ということで長く連載されていた漫画ですね。“鬼の手”の強さもさることながら、毎回登場する妖怪に絡めた教育的なエピソードが秀逸な一作。そのくせ、小学校が舞台なのに当時の『ジャンプ』の中でも振り切れたお色気ネタが印象的でした。
「100夜100漫」でこれまで扱った作品の中では、なんといっても『怪奇警察サイポリス』(100夜100漫第20夜)が筆頭かと。『月刊コロコロコミック』での連載ながら、鬼の血を引く主人公の鬼塚勇気(おにづか・ゆうき)が霊的事象専門の警察サイポリスの戦闘員として妖怪たちと戦う様子は、なかなかの迫力。加えて決め台詞「汝の魂に幸いあれ…!」がしびれます。
「鬼の力を持つ主人公」という意味では、ジャンプで連載されていた、故しんがぎん『鬼が来たりて』なんて作品もありました。惜しくも大成しなかった作品ですが、主人公の鬼部雷矢(おにのべ・らいや)の強さと渋さは記憶に残っています。
同じジャンプ(こちらは月刊でしたが)では『鬼神童子ZENKI 』もありましたね。主人公が伝説的な修験者、役小角(えんの・おづの)の子孫の女の子、役千明(えんの・ちあき)で、ご先祖に仕えた前鬼(プライド高い)を無理やり使役しようとする辺りは同じ頃に連載されていた(今でも連載中です)『BASTARD!!』のヨーコとダークシュナイダーっぽいですが、仏教的モチーフが独特でした。
「鬼と戦う」タイプでは、やはり楠桂『鬼切丸』が有名ですね。名刀「髭切り」、またの名を「鬼切丸」なる刀を携えた少年が、人が負の感情によって変化した鬼を討つ伝奇的な作品。救いの無いエピソードも多く、人が鬼となるという、鬼という概念の扱い方がこの上もなく恐ろしい。
最近のものでは、昨年の『週刊少年サンデー』に読切掲載された当時15歳の鯖之猫による『鬼姫』(←本編閲覧可能)を思い出します。作品としては王道中の王道ですが、完成度がすごい。その画風・ネームから、藤田和日郎(第27夜、第64夜)の後継ではないかとの指摘も出てますね。今後が楽しみすぎる描き手です。
吸血鬼を鬼の範疇に含めるのなら、『HELLSING』(100夜100漫第39夜)や『吸血聖女キリエ』(100夜100漫第122夜)、他にも数多い作品があります。「鬼」よりも「吸血鬼」がモチーフの作品の方が多いというのは意外な気もしますね。
こうして挙げてみると、単なる鬼にせよ、吸血鬼にせよ、“鬼が鬼を殺す”という同族殺しのモチーフが複数の作品でみられます。『キリエ』の記事でも少し書いたのですが、この出どころはどこにあるのだろう、と不思議に思ったり。その辺りはまた調べてみたいと思います。
最後に、直接的な「鬼」ではありませんが、「グラップラー刃牙(100夜100漫第14夜)」を始めとする『バキ』シリーズにおける主人公の父“史上最強の生物”範馬勇次郎が、異様に発達した背中の筋肉が「鬼の貌」に見えることから“オーガ(≒鬼)”という異名で呼ばれていることも思い出して、終わりにしたいと思います。
というわけで、今夜はここまで。
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Gosh, I wish I would have had that iniaomrtfon earlier!