100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

*

【一会】『少女ファイト 13』……やりかたは、1つじゃない

ポストカードブック付き 少女ファイト(13)特装版 (プレミアムKC イブニング)

 裏表紙に配された「悪役を演じきれますか?」という警句も小気味よく、図らずも高校女子バレー界のヒール的役どころを引き受ける黒曜谷高校バレー部を中心に描かれるハイセンス&メンタルな女子高生バレー漫画『少女ファイト』。12巻の時の予想通りぴったり1年で、この5月末に最新刊の13巻が刊行となりました。
 今巻の特装版の付録はポストカードブック。表紙は黒曜谷が対戦している山吹矢高校チームより柴田このみ(しばた・――)と早乙女花子(さおとめ・はなこ)のコンビです。ちなみに通常版は、黒曜谷最強世代から村上環(むらかみ・たまき)。今巻後半では繭と一緒に楽しく(?)春高を観戦する様子が描かれています。また、毎度なにかしらのネタが仕込んである各話サブタイトルですが、今巻は新旧織り交ぜた映画のタイトルのパロディかと思います。

 中身に入りましょう。今巻では2つの試合とその間のエピソードが描かれていますが、ページ数的にメインは前巻から継続の黒曜谷VS山吹矢戦と云っていいかと思います。
 全員が元漫研、作中のバレー漫画『エドガワ排球団』へのファン心が高じて春高出場を果たしてしまったという異色の山吹矢高校ですが、彼女達に対するギャラリーの反応は結構辛辣だったり。バレー一筋に取り組んできた側からすると、「オタクチーム」呼ばわりしたくなる気持ちも解ります。
 しかし、彼女たちが実力でのし上がってきたことは紛れもない事実です。実際、チームの精神的支柱であるレフト・このみは、白雲山学園にいる姉・あかりに比肩する身体能力の持ち主ですし、同じくレフト・花子のスパイクは練を魅了してしまうほど。決して色物チームではなく強敵です。
 そんな山吹矢のプレーから、“なぜバレーをするのか”という根本的な問いにとらわれたルミは動揺しますが、これまでも何かと対話する機会が多かった志乃が力付けます。自分なりの答えを出した彼女の表情は、以前より晴れ晴れとしているような。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『白暮のクロニクル 8』……1600歳超えの純情

 不老不死に近い吸血鬼っぽい種族“オキナガ(息長)”が存在する世界。見た目は少年ながら88歳の“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)と、彼らを管理する厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)が、12年に1度、未年ごとに若い女性を殺す「羊殺……

thumbnail

【探訪】コミティア116参加記録…立夏らしい天気に賑わい

 2016/05/06  漫事探訪

 こどもの日だった昨日、今年2度目のコミティアに行ってきた。5月のコミティアはGW中の開催となるためか、規模も人出も多い方である。いつもの通り記録を残したい。  過去の記録は下のリンクから。 【探訪】コミティア115参加記録…手堅くまとまって充実感 【探訪】コミティア1……

thumbnail

【一会】『いぬやしき 6』……地上で、宇宙で、迫る破滅の時

 エイリアンと思しき存在による事故に巻き込まれたため、超ハイスペックなアンドロイドとなってしまった初老の会社員・犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)。銃をものともしない戦闘能力と、難病すら完治させる治療能力を有する彼らそれぞれの、“生きて……

thumbnail

【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 幻獣の森の遭難者 3』……龍皇顕現。さらに思惑は絡み合う

 アジアン・オカルティックバトルを繰り広げつつ、バブル期からゼロ年代という日本の精神性の変容を背景に置いて描かれた伝奇ロマン『3×3EYES』(100夜100漫第100夜)。12年ぶりの発表となった正統的続編『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』の3巻が先ごろ刊行となりまし……

thumbnail

【一会】『七つの大罪 20』……迷宮の果てに集う、勇者・猛者・達人・強者

 中世イングランド的な地・ブリタニアを舞台に、〈七つの大罪〉を始めとする聖騎士達と〈十戒〉を筆頭とする魔神族との、技と魔力の応酬が激化しつつある『七つの大罪』の20巻が刊行となりました。予告通り今月15日の刊行でしたが、ちょっと遅くなりつつ概要と感想を書きたいと思います。……

thumbnail

【一会】『進撃の巨人 19』……“壁”の内外、覚悟の対比

 予定通り今月8日に『進撃の巨人』19巻が刊行となりました。遅れ馳せですが概要と感想を書き留めていきます。  ちなみに、今巻の限定版の付録は全52枚のポストカードです。特に新規描き下ろしは無いようですが、これまでの単行本や月マガの表紙イラストはもちろん、『FRaU』『ミ……

thumbnail

【一会】『アップルシードα 2(完)』……新世界は素敵ですか?

 2巻の発刊から早や2か月ほど経ってしまいましたが、じっくりと読みましたので書いておきましょう。『茄子』(100夜100漫第1夜)の黒田硫黄先生による、士郎正宗先生の未完の代表作『アップルシード』のリブートという異色作『アップルシードα』の2巻にして最終巻です。  ……

thumbnail

【一会】『Pumpkin Scissors 20』……蜈蚣のように殺し、厳として屠る

 “帝国”とフロスト共和国の戦争によって生じた「戦災」への対処を旨とする帝国陸軍情報部第3課、通称「パンプキン・シザーズ」。“お祭り部隊”と揶揄される課にあって、真の戦災復興と正義とは何かを問い続ける貴族出身のアリス・L・マルヴィン少尉と、特殊部隊群「不可視の9番(インヴ……

thumbnail

【一会】『七つの大罪 19』……“傲慢”かまして、おやりなさい

 中世イングランドを思わせるブリタニアを舞台に、騎士団〈七つの大罪〉や聖騎士達と、〈十戒〉なる魔神たちを筆頭とする魔神族との戦いが繰り広げられている『七つの大罪』。予告通り先月17日に19巻が刊行されました。今巻の限定版付録は手帳型スマホケース。スマホはあれどケースは使わ……

広告

広告