「現在 地球には数百種類の異星人が飛来している/気づいていないのは地球人だけなのだ/彼らの目的は様々で 国家レベルの策略から個人レベルの研究・犯罪まで多岐にわたる/なかには/何のために地球に来たか忘れてしまった奴も いるだろう」 『レベルE』富樫義博 作、集英社『週……
「 100夜100漫 」 一覧
第137夜 波乱の刻を咲き誇った、幾つもの魂…『ベルサイユのばら』
「神の愛にむくいる術ももたないほど小さな存在ではあるけれど…/自己の真実のみにしたがい/一瞬たりとも悔いなくあたえられた生をいきた/人間としてそれ以上のよろこびがあるだろうか」
『ベルサイユのばら』池田理代子 作、集英社『週刊マーガレット』掲載(1972年4月~1973年12月)
1755年、ヨーロッパの3国に、後の激動に翻弄される3つの命が生まれた。
9月4日、スウェーデンに生まれた貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン。11月2日、オーストリアに生まれた皇女マリー・アントワネット・ジョセファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・オートリッシュ。そして、12月25日、フランス王家の軍隊を統率してきたジャルジェ伯爵家の末娘として生まれたオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェである。
男児を切望していたオスカルの父レニエ・ド・ジャルジェ将軍により、男子の名前を与えられ、オスカルは軍人として育て上げられた。従卒のアンドレ・グランディエを軽くあしらう剣の腕と清廉な気質を兼ね備えた彼女は、近衛連隊長付大尉として、オーストリアからフランス王太子へと嫁いできたアントワネットの護衛を勤めることとなる。
オーストリアのハプスブルク家による、フランスとの同盟関係強化のための政略結婚として、フランス国王ルイ15世の孫、王太子ルイ・オーギュストのもとへ嫁いだアントワネットだが、母である女帝マリアテレジアの戒めも空しく、凡庸な夫との日々の退屈を紛らすために放蕩を続け、懇意になった貴族への過大な支援を重ねる。一方で、王太子妃時代に知り合ったフェルゼンとは強く惹かれあい、やがてその恋慕は半ば公然のものとなっていく。
王妃の放縦にたびたび苦言を呈するオスカルだが、貴族たちの爛熟や平民との格差に悩みつつ、フェルゼンに惹かれている自分に気付き、女でありながら軍服に身を包むことにも懊悩する。そんな彼女を目の当たりにしたアンドレもまた、長きにわたり秘めた想いに身を焦がしていく。
王族、貴族、平民。それぞれがそれぞれに惑う中、アントワネットを始めとする王室の贅沢は次第に民衆の憎悪を呼び、やがて戻れぬ革命へと時代は突き進む。自由と平等を謳った燃え盛る革命の炎のさなか、彼らが見出したのは何だったのか――。
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第135夜 白い囲いの中で、我慢の日々…『失踪日記2 アル中病棟』
「恐ろしい/なんか恐ろしいね/恐ろしいと頭で考える自分の声すらも恐ろしいんだよね」 『失踪日記2 アル中病棟』吾妻ひでお 作、イースト・プレス刊行、書き下ろし(2013年10月) 1998年12月28日、かつて失踪した漫画家は、今度は家族の手によって病院に担ぎ込……
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第134夜 願いよ、せめて彼女の前で真実となれ…『純潔のマリア』
「何で邪魔すんのよ!/あたし悪いコトしてないじゃん/お前達は卑怯だ!/地上では皆あちこちで救いを求めているぞ/なのに祈っても祈ってもお前達は全然人を救わない/だからあたしがやっただけだろ」 『純潔のマリア』石川雅之 作、講談社『good!アフタヌーン』掲載(2008……
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第133夜 奇妙奇天烈な食べ物と変な色気で星3つ…『奇食ハンター』
「・・・・・・・・・・残していい?」「ヌ!?/逃げるな! 奇食ハンターとして恥ずかしくないのかッ!!」「な・・何? その奇食ハンターっていうのは?」 『奇食ハンター』山本マサユキ 作、講談社『週刊ヤングマガジン』掲載(2007年6月~2010年3月) 旧車漫画『……
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第132夜 謎と人を愛す、食いしん坊ふたり…『魔人探偵脳噛ネウロ』
「…………ねぇネウロ」「何だ」「難しいね/人間って」「フハハハハ/何を突然我が輩のようなセリフを」 『魔人探偵脳噛ネウロ』松井優征 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(2005年2月~2009年4月) 女子高生、桂木弥子(かつらぎ・やこ)の日常は突如壊された。父……
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第131夜 ままならない日々と自分を嗤う強靱さ…『ゲゲゲの家計簿』
「今日の出費は……/本とコーヒーで八百円…/義姉さんに三千円借りて……/家内に生活費を渡すと…/ゼロだっ!?」 『ゲゲゲの家計簿』水木しげる 作、小学館『ビッグコミック』掲載(2011年5月~2012年10月) 昭和26年6月。武良茂(むら・しげる)は神戸でアパ……
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第130夜 路地裏の泥臭き死闘と不良達の純粋さ…『ホーリーランド』
「はっきり言う/今のままじゃあオマエはもう通用しねえ!!!」「それでも…/それでも僕は街にいたい!/今戻ったら−−−/今戻ったら僕は一生−−−−/あそこから出られない気がする」 『ホーリーランド』森恒二 作、白泉社『ヤングアニマル』掲載(2000年10月~2008年……
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第129夜 行間から浮かぶ、在りし日の彼らの食生活…『文豪の食彩』
「例えば明治期/日本人は何を旨いと思って喰っていたのか?/そこにどんなドラマがあったのか?/それは今どこで食えるのか?/それは今も旨いのか?/…とかね」 『文豪の食彩』五十子肇観→壬生篤 原作、本庄敬 作画、日本文芸社『別冊漫画ゴラク増刊 食漫』掲載(2009年12……
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第128夜 流れる涙は、狂おしい郷愁のゆえか…『地球(テラ)へ…』
「みんな聞け/ミュウは弱い!/傷つくとショックを受け/仲間たちの死に気をとられる/だがこれは戦闘だ!!/勝つことだけを考えろ!!/我々はただひとつのことだけを考えるんだ!/この戦いに勝って地球(テラ)へ…/地球へ行くと!」 『地球へ…』竹宮恵子 作、朝日ソノラマ『月……