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【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 鬼籍の闇の契約者 2』……世界平和のための一試行
12年前の本編の続編として綴られた「幻獣の森の遭難者」の終了後、ほどなく開始された『3×3EYES 鬼籍の闇の契約者』。現在3巻まで刊行されている単行本の、昨年12月刊行の2巻から、その展開を追って行きたいと思います。
ちなみに、第1巻については以下を参照ください。間が空いてしまったので念のため。
【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 鬼籍の闇の契約者 1』……暗黒の“神”は何を望む
連れ去られた三只眼
前巻のラスト間際、自らに宿した別人格達によって昏倒してしまったパイ(=三只眼[ここでは八雲のパートナーであるパールバティーⅣ世…以後、個人名として三只眼と云う時はこのパイの別人格を指します])。彼女はそのスキに乗じて連れ去られてしまいました。
連れ去ったのは、今回の黒幕と思しき闇の者、スキウロス。彼(多分)は、12年前の闘いの舞台となったサンハーラ神殿の直上に建つ海上プラント「エディアカラ」に取り入って暗躍し、そこで生じた「サンハーラの闇」とでも云うべき闇の意識体と、その意識体が依り代に選んだ日本の動画配信青年・鳥谷喜一(とりたに・きいち)を用いて、人類と月の鬼眼王を同士討ちさせようとしているのでした。
ここまで事態は、割とスキウロスの思い通りに進んでしまっているように思います。が、それはともかく、三只眼を奪われた時の八雲の回想の続きから、今巻は始まります。
言葉を覚えだした闇の意識体――ウロボロスの望みは、世界に散らばった“闇”の統合。『3×3EYES』本編の結末を踏まえた願望のように思えますが、ウロボロスはそれを叶える前に、人類の望みを叶える、と嘯(うそぶ)きます。
訝しむ八雲を尻目に、三只眼カーリーが攻撃を仕掛けますが、効果なし。今のままでは、ウロボロスは八雲にすら倒すことの叶わない存在のようです。ピンチと思いきや、喜一の仲裁で事態に収拾がつく格好に。
自分は難しいことは分からず、戦争や争い事を企てる者の「被害者」であり、とにかく「平和な世界」が望みだという彼には、いかにも現代の日本人という感覚を抱きます。ところで、闘いの最中に唐突に入り込んだ彼の記憶は、「木星になりたい」と語りながらも、居なくなってしまった兄についてのものでした。木星は1巻冒頭にも出てきましたし、今作を彩るモチーフの1つとして注意しておきたいところです。
「平和な世界」という喜一の望みを叶える方法なんて、きっと誰にも分かりません。が、ウロボロスは「当事者」を探すと云い出します。
一方、スキウロスの部下ビヨールカの奇策「置換(ザミユエナ)」により、三只眼は囚われの身に。この「置換」という術ですが、一見よく分かりませんでした。単純に、三只眼とビヨールカの位置を入れ替えた、ということでしょうか。
ともあれ、こうしてスキウロスと喜一らは、動きを封じた三只眼を連れて東京を去ったのでした。残された八雲もカーリーも、真意の知れない相手に表情は冴えません。