16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族出身ながら画家を志望する元気少女アルテの修行の様子と、師匠であるレオへの淡い恋心、当時の人々の生活描写がそれぞれに興味深い『アルテ』。先ごろ4巻が発刊されましたので、書き留めておきましょう。 前巻では重労働のフレスコ画の助……
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第205夜 ディスプレイに躍る意地と愛と魂と…『大東京トイボックス』
「…それは/直さずにすめばその方が効率がいいからに決まって…」「もうやめろ/効率? プロ? まるでガキだな」「…なんだと?」「そんなのは大人じゃねえ/ただの聞き分けのいい子供だ」
『大東京トイボックス』うめ(小沢高広…企画・シナリオ・演出担当/妹尾朝子…作画・演出担当) 作、幻冬舎コミックス『コミックバーズ』掲載(2006年9月~2013年7月)
※先んじて『モーニング』(講談社)にて第一部に当たる『東京トイボックス』掲載(2005年11月~2006年5月)
代表作『サムライ☆キッチン』の海外版完成と引き換えに、同シリーズの商標権を業界大手のソリダスワークスに譲渡した、秋葉原の零細ゲーム制作会社スタジオG3。かつてソリダスで名作『ソードクロニクル』を作った過去をもつ天川太陽(てんかわ・たいよう)は、出資会社から出向してきた、優秀ながらゲームは素人のOL月山星乃(つきやま・ほしの)に社長の座を譲り、企画チーフとして日銭稼ぎの仕事に当たっていた。
『サム☆キチ2』製作のためソリダスに引き抜かれた谷崎七海(たにざき・ななみ)の分の人員補充を試みるが、太陽が手配を誤り、やってきたのはゲーム好きだが作るのは未経験の百田モモ(ももだ・もも)。温情で試用期間を与えられたモモは、どうにか食らいつきプランナーの道を歩み始める。
そんなG3に、ゲーム販売会社MMGの社長、須田大作(すだ・だいさく)が持ちかけてきたのは、太陽の幼馴染にして今はソリダスAM2局局長に出世した仙水伊鶴(せんすい・いづる)が主導する、次世代ゲーム共同開発事業「SOAP(スープ)」への参加だった。
共同制作することになったのは、池袋に本拠を置く、同人サークルから叩き上げの電算華組。社長の半田花子(はんだ・はなこ)が提出した『デスパレートハイスクール』にG3による大幅な方針転換が加えられ、すったもんだをしつつ開発は進められていく。
しかし、βチェック、αチェック、ソリダスによる独自のソリダスチェックといった関門に引っ掛かかり、さらにスタッフたちのトラブルも続発し、『デスハイ』の開発進捗には常に暗雲が立ち込める。
一方、自分の思惑を達するため、伊鶴は秘書の窪ノ内品子(くぼのうち・しなこ)や『サム☆キチ2』ディレクターとなった七波を使いつつ、社内の改革を進めようとする。そんな伊鶴に対し経営陣は、「首輪」としてソリダスユーロ品証部からやって来た卜部・ジークフリート・アデナウアー(うらべ・――・――)を用いる。が、知られざる過去と野望を抱いたアデナウアーの暗躍は、ソリダス、そして社会全体に影響を及ぼしていく。日本のコンテンツ産業に、静かに幕が下ろされようとしていた。
納期、開発費、レーティング、クオリティ、そして携わるスタッフ達の、魂。全ての問題を解決し、『デスハイ』のマスターアップは成るか?
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