漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 悲壮 」 一覧

【一会】『少女ファイト 11』……誰だって古傷が堪えていないわけじゃない

少女ファイト(11)特装版

 今回も新たに言及する漫画です。100夜100漫の方でも『BAMBOO BLADE』(第182夜)を語ってますし、“女子高生部活モノ(体育系)”がマイブームなのかもしれません。
 さて、この漫画、概要としては、姉(既に故人)への複雑な感情を紛らわすためにバレーを続ける少女、大石練(おおいし・ねり)と周囲の人々の、故人の影や家庭の事情や自分自身の性質による試練系な高校バレー生活という感じかと。主役は練ですが、脇を固める友人・知人・ライバルにも濃厚なエピソードが散りばめられた群像劇と云うこともできるでしょう。バレーの内容についてもかなり突っ込んだ描き方がされていると思います。

 色々あって春高(春の高校バレー)で是が非でも結果を出さないとならない練たち黒曜谷高女子バレー部(本気でバレーやってるなら当たり前でもありますけど)。前巻ラストで練は突然、全日本の合宿への招集を打診され、それを受けることにしました。
 春高の選抜大会で陣内監督が仕掛けた采配のためにチームがギクシャクしてましたが、その辺は各自が自省することで乗り越えていく姿が挟まれつつ、メインは黒曜谷をしばし離れた練の方へ。日本のバレーの最前線と云える全日本合宿で、練も“自分がスタメンより全然弱い”という、今まで体験したことのない環境で己を見つめ直します(その実力差に、文字通り五体がバラバラにされるシーンが物凄い)。練習はもちろん、栄養や休養にまで目が配られ、細かな数字までも明確にしてデータを積み上げることで勝率を上げる、現代スポーツ科学の実践が垣間見られるという意味でも、この合宿は興味深く読みました。

(さらに…)

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第179夜 夜明けを呼ぶのは、異能ではなく決意…『黎明のアルカナ

「この力は奇跡なんかじゃないわ/だから私が/奇跡に変えてやるの」「私の命は/あなたのもの/ナカバ様の心のままに」「ありがとう/ロキ」 『黎明のアルカナ』藤間麗 作、小学館『Cheese!』掲載(2009年1月~2013年6月)  人と、半獣半人の種族、亜人が暮らす……

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【一会】『おるたな 宇河弘樹短編集Ⅱ』……三味線と、硝子の靴と、ピー○君

 作者の代表作『朝霧の巫女』(100夜100漫第56夜)の外伝(というか自己パロディ?)が収録されている、というのが恐らく一番の話題であろう短編集が発売されました。「~短編集Ⅱ」とされているのは、2000年に出た『妖の寄る家』が短編集Ⅰに当たるためでしょう。  ……

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第170夜 千々に乱れる世界にその死を想え…『さよならもいわずに

「昨日現像に出した写真を取りに行く/いつもの道/いつもの駅前/何故……/一体 何故/何故キホが!?/何故 あなたではなく………」 『さよならもいわずに』上野顕太郎 作、エンターブレイン『月刊コミックビーム』掲載(2009年7月~2010年4月)  「ヒマだからな!……

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第165夜 かつてこの国が経験した、凄絶な季節に…『夏のあらし!

「それでも/夏の間だけでも/生きて再びこの世界に居られることを感謝したいわ/だから精一杯/楽しく生きるわ/命短し/恋せよ乙女/紅き唇/褪せぬ間に…ってね/生きてるあなたは/恋をしなよ!」 『夏のあらし!』小林尽 作、スクウェア・エニックス『月刊ガンガンウイング』→『……

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第158夜 狂わざれば、その時代を生きること能わず…『シグルイ

「士(さむらい)の命は/士の命ならず/主君のもの/なれば/主君のために死場所を得ることこそ/武門の誉れ/封建社会の完成形は/少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」 『シグルイ』南條範夫 原作、山口貴由 作画、秋田書店『月刊チャンピオンRED』掲載……

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第155夜 親愛と憎悪、その全てで向き合おう…『含羞(はじらひ)−−我が友 中原中也−−

「小林ィ」「はっ はい」「おまえ“幸福”ってやつを知ってるかい」「“幸福”……ですか」「ああ そうだ/おまえが文章を書くのも/おれが詩をうたうのも/心の底で幸福をさがしているからなんだよ/あくせく働くのも/旅に出るのも/悩んだり/笑ったり/人生について考えたり/悲しみにうちひしが……

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第137夜 波乱の刻を咲き誇った、幾つもの魂…『ベルサイユのばら

「神の愛にむくいる術ももたないほど小さな存在ではあるけれど…/自己の真実のみにしたがい/一瞬たりとも悔いなくあたえられた生をいきた/人間としてそれ以上のよろこびがあるだろうか」 『ベルサイユのばら』池田理代子 作、集英社『週刊マーガレット』掲載(1972年4月~19……

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第134夜 願いよ、せめて彼女の前で真実となれ…『純潔のマリア

「何で邪魔すんのよ!/あたし悪いコトしてないじゃん/お前達は卑怯だ!/地上では皆あちこちで救いを求めているぞ/なのに祈っても祈ってもお前達は全然人を救わない/だからあたしがやっただけだろ」 『純潔のマリア』石川雅之 作、講談社『good!アフタヌーン』掲載(2008……

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第130夜 路地裏の泥臭き死闘と不良達の純粋さ…『ホーリーランド

「はっきり言う/今のままじゃあオマエはもう通用しねえ!!!」「それでも…/それでも僕は街にいたい!/今戻ったら−−−/今戻ったら僕は一生−−−−/あそこから出られない気がする」 『ホーリーランド』森恒二 作、白泉社『ヤングアニマル』掲載(2000年10月~2008年……

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