漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 人生 」 一覧

第181夜 人生の何気ない1コマに微笑せよ…『雲の上のキスケさん

「いつもなら目にもとめないチラシの ありふれた一行が/今夜は あたしたちの胸を打つ/“出会いがすべて”/「会えてよかったね」/他に言葉がみつからない/そんな夜」


雲の上のキスケさん (1) (ヤングユーコミックス)

『雲の上のキスケさん』鴨居まさね 作、集英社『ヤングユー』掲載(1997年年5月~2003年12月)

 雨が嫌いな石井眉子(いしい・まゆこ)は大企業に勤める28歳のOL。同僚で恋人の城戸暎(きど・あきら)に勧められ事務から営業職に移ったが、営業部のホープだった暎の営業成績も追い抜いてしまい、そのことがしこりとなって振られてしまう。
 その夜、やけ酒を飲む眉子に声をかけてきたのは、日光アレルギーのお笑い漫画家、小寺器裕(こでら・きすけ)。キスケさんは眉子の話を面白がり、眉子は「ギャグ漫画のモデルとして」スカウトされる。そうして、2人の日々は始まった。
 穏やかに、仄かにエロく。逢瀬を重ねる2人。やがて眉子は会社を退職し、高校時代の同級生の2人、ゲイで元美容師の岡本太郎(おかもと・たろう)と、華僑系シンガポール人のマニー・ンーの誘いで死海エステに勤め始める。
 怖い店長と面倒なお客に悩まされながらも、徐々にエステの仕事を覚え自分の体調も上向いていく眉子。担当編集が替わり、その相性の悪さに辟易しつつも自分の作風を深めていくキスケさん。それぞれの課題と向き合ったり向き合わなかったりして、2人の恋と、色々な人との関わりの日々が続いていく。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?

 気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である本巻が刊行となりました。  事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりましたが、冒頭こそそ……

thumbnail

第176夜 夢現と血まみれの刃の向こう、優しさの咲く…『竹光侍

「要するに、今の某(それがし)に刀は無用。」「大事な子を一人忘れておいでだよ、お前様」「ん……/見慣れぬ子だな……」「覗いてごらんな、ふふふふふ…」 『竹光侍』永福一成 原作、松本大洋 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(2006年8月~2010年3月) ……

thumbnail

【一会】『月影ベイベ 3』……大人の感傷と若者の幻滅

 1巻以来、楽しみに読んでいますが、ここで言及するのは初めてです。現状では月影にもbabyにもあまり関係がありませんが、それは作者の前作『坂道のアポロン』(100夜100漫第138夜)でもそうで、それでも全編語られ終わった時にはほんのりと意味が薫るという名付けられ方なので……

thumbnail

第170夜 千々に乱れる世界にその死を想え…『さよならもいわずに

「昨日現像に出した写真を取りに行く/いつもの道/いつもの駅前/何故……/一体 何故/何故キホが!?/何故 あなたではなく………」 『さよならもいわずに』上野顕太郎 作、エンターブレイン『月刊コミックビーム』掲載(2009年7月~2010年4月)  「ヒマだからな!……

thumbnail

第167夜 誰もが旅人で、だから帰る処が必要だ…『ホテルポパン

「客室は10/でも1日に予約をいれるのは8組まで/夫婦かカップル/女性同士のみ/そんなんでもやっていけた時代の話だ」 『ホテルポパン』有間しのぶ作、竹書房『まんがくらぶ』掲載2003年12月~2008年11月)+書き下ろし  スキー客すら寄り付かない山奥に建つ小さ……

thumbnail

第166夜 ひと皿ひと皿に込められた、“本当の私”…『寿司ガール

「寿司ごときに私の生き方が変えられるなんて/認めたくないけどね!!」 『寿司ガール』安田弘之 作、新潮社『月刊コミック@バンチ』掲載(2011年1月~2012年5月)  深夜の回転寿司で、ふと入った寿司屋で、行きつけの店のカウンターで。それぞれの人生を抱えつつも、……

thumbnail

第164夜 10代は背伸びし、20代は首をすくめる…『たまりば

「なんでハルオもまたアイス買ってんの?/さっき食べたじゃん」「オトナは1日にアイス2本食べてもいいんだよ」「いいなぁ〜/オトナ……」「そうでもねーよ」 『たまりば』しおやてるこ 作、エンターブレイン『Fellows!』掲載(2008年10月~2012年2月)  「……

thumbnail

第163夜 菌と人間、遠いけれども楽しい学びの道…『もやしもん

「この学校はスゴいよ/いろんな人がいろんな意志で支えあってみんなで遊んでるんだね」 『もやしもん』石川雅之 作、講談社『イブニング』→同『月刊モーニングtwo』掲載(2004年7月~2014年1月)  この春、晴れて東京の某農業大学(これが正式名称)に入学した沢木……

thumbnail

第162夜 憎しみと受容と愛をもって全天を仰げ…『ほしにねがいを

「私達みんなひとつだったんです」「あ! もしかして……ビッグバンの前の事?」「今もひとつです/私達みんな違うけどひとつ−−/ここの宇宙もその他の宇宙も/草木も虫も/鳥も魚も海も土も/マグマも時間も/空間も暗黒も/私も輝くんも/有るのはみんなひとつ−−/ただ/それを言葉で分けている……

広告

広告