漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 仕事 」 一覧

【一会】『アルテ 4』……想いを残し、新天地へ

アルテ 4 (ゼノンコミックス)

 16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族出身ながら画家を志望する元気少女アルテの修行の様子と、師匠であるレオへの淡い恋心、当時の人々の生活描写がそれぞれに興味深い『アルテ』。先ごろ4巻が発刊されましたので、書き留めておきましょう。

 前巻では重労働のフレスコ画の助手を何とかこなし、男社会である工房の同業組合に認められたアルテですが、今巻もまた変化の予感が漂っています。それをもたらしたのは、やはり前巻のラストで登場した貴族らしき青年でした。名門ファリエル家のユーリと名乗った彼は、自身の地元であるヴェネツィアへとアルテを連れて行きたいと申し出ます。名目はファリエル家の肖像画家、兼、彼の姪っ子の家庭教師。アルテを誘う理由は「女」で「貴族」出身だから、と、この辺りも予想通りですね。
 一度は断ったものの、結局アルテはユーリの誘いを受け、レオのもとを一時離れることに。レオとお供の人たちと一緒に、陸路と海路を乗り継いでヴェネツィアに到着、というところまでが今巻本編の内容ですが、そのプロセスにはやはり、仕事と女性をめぐるエピソードが配置されておりました。

(さらに…)

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【一会】『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 3(完)』……原子炉建屋へ。そして一旦の中締め

 2月発刊の2巻から8か月。この10月に『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』のとりあえずの最終巻となる3巻が刊行となりました。前巻について書いた時は、発刊予告があまりアテにならないかも、と書きましたが、思いがけず予告通りのリリースでした。  作中の内容が現実に追……

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【一会】『白暮のクロニクル 6』……異質達はすれ違い、物語は加速する

 いわゆる吸血鬼的存在“オキナガ”と、それを管理する厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)という構図を遠景に、夜衛管の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、88歳の少年“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)のコンビがオキナガ絡みの事件を追っていく『白暮のクロニクル』。もう……

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【一会】『孤独のグルメ 2』……18年ぶり。無邪気さと、変わらぬ自由さ

 個人で輸入雑貨を商う井之頭五郎(いのがしら・ごろう)が、主に都内の街で見知らぬ飲食店に入り、そこでの食事や湧き起こってくる想念を淡々と描き流す食事漫画『孤独のグルメ』(100夜100漫第63夜)。その第2巻が、実に18年の歳月を経て刊行されました。1996年までの連載で……

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【一会】『黒博物館 ゴーストアンドレディ 上下』……意思を貫く戦いと、絶望を望んで希望を成すということ

 「100夜100漫」カテゴリにしようか迷いましたが、シリーズとしては続きがありそうなので「一会」にて書くことにします。藤田和日郎先生の新刊(といっても刊行からだいぶ経ってしまいましたが)『黒博物館 ゴーストアンドレディ』です。 あらすじ  大英帝国で捜査されたす……

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【一会】『銀の匙 Silver Spoon 13』……部活引退。そして彼が動き出す

 進学校の私立中学から受験に失敗し逃げるように農業高校に進学した八軒勇吾(はちけん・ゆうご)とエゾノー生たちの農業&畜産青春グラフィティ『銀の匙 Silver Spoon』。遅くなりましたが新刊の13巻を読了しましたので書かせて頂きます。  前巻後半から作中の時間の……

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【一会】『アルテ 3』……難仕事の顛末は、よく寝、よく食べ、よく鼻血

 ここでは初めて言及する漫画ですが、第3巻が先日発刊されたので触れたいと思います。  盛期から後期ルネサンスへと移りつつある16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族の少女でありながら“自分自身の力で生きる道”を目指し、偏屈な画家のおしかけ弟子となったアルテ。そんな彼……

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【一会】『まるせい 3(完)』……それぞれの道、そしてStand by Meの結末は

 成年漫画(いわゆるエロ漫画)にかける作者の分身、花比野Q一朗(はなびの・キューいちろう)こと日比野龍一朗(ひびの・りゅういちろう)の、仕事関係の女性と深い仲になっても彼女はできない哀感と、一方で漫画執筆にかける熱い姿を描いたこの漫画。自分としては何となく、エロ漫画編集者……

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【一会】『白暮のクロニクル 5』……研修のち悪意不在の罪、ときどきラブコメ

 吸血嗜好と長命性を持った“オキナガ”がいる世界を舞台に、厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)の新人、伏木あかり(ふせぎ・――)と、古参の“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)を中心に描かれる、ファンタジック社会派公務員ミステリ(?)なこの漫画、予告通り4月末の5巻刊……

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第201夜 槌音が背を押す、それぞれの決意…『誰がために鋼は鳴る

「ケンちゃんさんの打つ音は/とてもキレイです/私 あの音を聞くと/がんばれるって思えるんです」「  そっか……」 『誰がために鋼は鳴る』天乃タカ 作、エンターブレイン『Fellows!』掲載(2009年2月~2010年6月)  神戸の北西、山裾に広がる三木市は打刃……

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